『まんがタイムきららミラク』2017年12月号、発売されました。表紙は『うらら迷路帖』。メインの5人が、いや6人が、ああ、これは正装ですね、勢揃いして手を振ってくれていて、ええ、これには意味がある。『まんがタイムきららミラク』、今号にて休刊であります。ああ! 最後の表紙に、こうして華やかな表紙を彩ってくれて、また寂しい別れもある休刊を、ほがらかに、笑顔をもって告げてくれて、ええ、せめてもの慰め、さみしさの中にはなやぎもある、卒業式に似た感触を得ましたよ。それでもちょっと切ないですね。好きな雑誌だったからこそ、なおさらでありますよ。
思えばミラク Vol. 1は、2011年の3月に創刊されたのでした。大変な時期でしたね。色々と不安に心が揺れる中、職場の昼休み、誰もいない会議室で目を落としたミラクの誌面、その印象は今もなお心の中に残っています。その独特の誌面、いかにもこれまでなかった四コマを切り開こうという意気が感じられて、新鮮で、ああこれは好みだって思ったものでした。そうだ、ドキドキ☆ヴィジュアル進化型、FreeStyle 4komagazineとかいうキャッチフレーズでしたね。なんか懐かしい。スタート当時の印象は、かたちを変えながらも今も確かに残っている。長期掲載があった。新しく現れる漫画たちがあった。そうしていろいろが変わりながらも、変わらぬチャーミングな雑誌、他では生まれなかったものに出会える、それがミラクだったと思っています。
今月は4回に分けて感想を書いていくつもりでいます。他の雑誌の感想もあるので、飛び飛びで、長くかかる、下手したら月をまたぐかも知れない、そんな気の長い感想になると思いますが、途中で力つきないよう、最後までじっくり読んでいけたらと思います。
『うらら迷路帖』、八番占試験、決着しましたね。ひとり戻ってこない千矢。果たして彼女は今どこにいるのか!? ええ、やはりりらのことを追っていて、自分の望みを占わせる少女、しかしそれはうらら達への嫌がらせ? ずっと怖れられていたこの子のこと、放っておけなくて食い下がる千矢の粘り勝ちでしたね。いや、勝ち負けなんかじゃないね。むしろ、りら自身、自分も思わぬかたちで、ずっと助けを求めてたんだと思う。そんなりらの迷いを引き受け、見事解決への道筋を見出した千矢、ほんと、りらのこと親身になって考えていたんだなあ。見どころはくろう占いですよ。どうやってもできなかったくろう占いを、この土壇場で成功させて、そして自身蓋をしていたりらの本心を引き出して、この大逆転劇。ただ逆転した、最後のギリギリで試験に合格しただけではない、もっと豊かなものを描いて見事でしたよ。欲をいえば、りらのその後も今後語られたりしたら嬉しいですね。ええ、りらが千矢たちの仲間になってたりしたら、それはそれは素敵じゃないですか。
『mono』、ちょっとメタな感じではじまりましたよ!? 撮影だけじゃなくそろそろなにか展開が欲しいというの、まさかここでハルの側に動きがあるとは予想もしませんでしたよ。ハルのところに現れた謎の人物。高校時分の友人、カコがハルを攫ってバイクに乗せて、疾走! ああ、これ、モトブログっていうんだ。車載カメラですよね。オンメットのカメラでもって撮影した景色やらなんやらを公開しとるのね。ああ、こういうのも面白いなあ。しかも、ちゃんとこの漫画のテーマに沿ってるっていうね! ハルの来歴、その奔放さが語られた今回ですが、カコのモトブログはじめるにいたった理由なんていうのも、なんというのだろう、ちょっとわかる。新しい風を求めたのかい? マジメな話は柄じゃないってタイプみたいですけど、その感触、理解できる人多いと思うんですよ。でも、それを実際にはじめられる人は決して多くない。だから憧れるのだと思うんですね。ピンチを機転で解決したりという本編の展開もとてもよかったですよ。アップダウンの展開におだやかさ、心情に踏み込んで語る描写が加わり、胸に迫るものありました。
『城下町のダンデライオン』。扉の茜様、お美しい! ああ、茜様! 茜様! かと思えば、本編はすごく重苦しいよ! ああ、アンジェの父は、威圧し屈服させる父であるのですね。子供時分の抑圧、それを今も夢に見るんだ。ああ、そうか。この抑圧から解き放ってくれる人、それが茜様でありましたね。アンジェにとっての茜様、その大切さが思い返されます。でも今回のメインの展開は、もうちょっと軽やかですよ。茜様の不在に落ち込むアンジェです。そんなアンジェについての気になる話題。遥のことが気になってるですって!? 葵さん、それは誤解ですよ! でも岬には充分な揺さぶりになったようで、ああ、冷静さ失っちゃった。というか、その顔! しかも奏もいい加減で、岬の情報に振り回されて、私は気づいてたわよ? って、ほんといい加減! 一番ちゃんとアンジェのこと見てたのが光だったのがおかしかった。でも、光らしいですよね。岬、奏のブラコン押し付けあいもおかしかった。あんな奏の顔、はじめてじゃない!? さて、本編を楽しく見ていたら、エピローグにアンジェの父が再登場して、この櫻田父との対面がなにか変化をもたらすのだろうか。そうであればいい、アンジェ編の鍵となるポイントになればいいって思いましたよ。
『がんくつ荘の不夜城さん』。白仙あかりのクラスメイト、羊ケ丘めざめ、この子もなんか面白いですね。あかりのこと、自分のこれまで思っていた印象と違うところに触れて、ちょっと狼狽。これ、足で興奮したから? いや、まさかねと思ったら、いやいや、本当に足が好きなの? めざめの風貌それから名字から、不夜城さんの担当編集に当たりをつけたんですね。それですぐさま家に遊びにいくというあかりの行動力。すごいな。でもって実際、眠はめざめの姉で、あのふたりが顔を見合わせた時の描写、おお、そんなに驚くものなんだ! そこまで気になってたんですね。めざめの姉であることを強調する眠、なんかよかったですね。ふたりの交流も盛り上がって、自然めざめとの仲も深まったようで、というか、めざめのあかり理解が促進された感がある。ええ、こうやって人間関係が混み合っていくの、面白いですね。ちょっと不穏な展開も匂わされていますが、不夜城さん、打ち切り? ともあれ、そうなった時のあかりの役割など。眠と繋がりをもったことが重要になったりするのかも知れませんね。
『星守様におねがいっ!』。きれいに終わりましたね! 蛇遣い座の星守になるべく頑張っている青。でも、ほんとネガティブだな! 最終試験をすると聞かされて、お腹が痛くなるっていうだけでなく、もう落ちる気でいるっていうね。ああ、これ、ずっと落ち続けてきたこと、その不成功体験とでもいうべきものが、この子の心に澱のように溜まってしまってるんだろうなあ。しかもね、最終試験の課題、患畜に噛まれて以来、動物が怖くなってしまったという獣医さんを治そうというのですが、共感こそはこの上もなく、でも治療となると相性最悪じゃないですか! 動物が怖い。ということは当然、蛇遣い座のシンボルのヘビ、白のことも怖いってことだよ! リラックスなんてできないよ! この課題に取り組む中で、青の口から星守に憧れるその理由が語られて、そして自分が不合格になってもクライアントを助けようとする、その思い切り。ああ、この姿勢こそは青の星守になろうとしたきっかけ、そこにあるんだって思わされるものでしたよ。そして最後にハッピーエンド。これまでの要素が最後に見事に縒り合わされて、ええ、とてもきれいな終わり方だったと思います。最も自分の合格した姿を見せたかったろう憧れの相手からかけられた祝福の言葉。それを受ける、一歩先に進んだ青と白の姿、本当にきれいなラストだったと思います。
- 『まんがタイムきららミラク』第6巻第12号(2017年12月号)
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