2010年8月31日火曜日

『月刊アフタヌーン』2010年10月号

 『月刊アフタヌーン』2010年10月号、発売されています。表紙は『おおきく振りかぶって』。どういうシチュエーションなんだろう。練習のあと? それとも試合後? 夕方のグラウンドに疲れ果てた10人が集まっている。そんなイラストです。どうも練習後っぽく感じますね。夏といえば高校野球にぐっと注目集まるわけですが、そりゃ開催されてるわけですから当然ですけど、そうしたタイムリーな表紙、といっていいのでしょうか? いいんですよね。

『ブレット・ザ・ウィザード』、第2回目です。前回、撃たれてしまったティティアリス。これでもって、正体を現したティティアリスにギャング殲滅させられたりするのか!? などと思っていましたが、そんなことはありませんでした。普通に脱出して、ホテルに潜伏して、そしてティティアリス、復活。というか、最初から死んでなかったわけで、やっぱり先月号表紙にあった妖精、あれがティティアリスの正体であるわけですね。今回は、主人公ブレットを追うFBI捜査官が出てきたり、これで主人公、ギャング、FBIという大きな対立要素が揃ったんでしょうね。そしてもうひとつ重要そうなのが、ブレットには呪いがかかっているらしい。呪いをかけたのは誰なのか、こうした秘密はまだ語られることなく、かわってポーラがブレットの仲間に引き入れられる。これでオープニング、状況の説明はなされたって考えてよさそうですね。

百舌谷さん逆上する』、百舌谷さんの策略なのかなんなのか、千鶴のグループに寄せてほしいといいだした。はいいのだけれど、今回は主にムーちゃんと従姉のタマちゃん側の状況が描かれて、千鶴、タマちゃんに遭遇。実に酷い出会いであるのですが、それでも千鶴、タマちゃんをデザイナーかなんかと勘違いしたらしく、しかも巧みなホット・リーディングでもって篭絡されるというのだから、タマちゃん酷い、本当に酷い人だ。今回は結局こうして千鶴がコスプレ仲間に引き込まれました、ということで、つまりはパープルローズに変身させられる布石が打たれたってことなんだと諒解したのですが、しかしこの動きが百舌谷さんにどう関わっていくというのか。それがちっともわからないっていうね、そのわからなさ。それが妙にわくわくとさせてくれるんですね。いや、はらはらかも。こういう予測できなさ、篠房六郎の魅力であろうなあと思うのでした。

それはそうと、ムーちゃんがめちゃくちゃ可愛い。もう、どうしようもなく可愛いです。この人の描いてきたキャラクターの中でも、トップクラスなんじゃないだろうか。そう思うくらいに可愛いです。

いもうとデイズ』はちょっとした事件を描いて、小学校から女子の上履き、靴下が盗まれるという事案なんですが、この犯人をつかまえようとする大人たちの、どうしようもないどたばたでもって笑わせて、一息ついたと思わせたところでちょっとした危機、ディアナに迫る犯人を登場させる。いやあ、兄貴頑張れと思わないではおられない。いつも頑張ってる兄さんですが、いつになく必死でシリアスで、けれどこの出来事でディアナと兄さんの距離が一層縮まるっていう。その描かれ方。兄に守られてるって実感したのかな、ディアナの表情の変化、それが実によかったです。

『アストライアの天秤 — 砕動風鬼』、砕動風鬼のシリーズ、これで完結ですね。裁判員裁判を扱った漫画なんですが、これが面白いんです。ぐぐっと引き込んで、読ませる。最初のシリーズも素晴しいなって思ってたんですけど、今回のもよかったです。感情というよりももっと濃厚な、情念とでもいった方がよさそうな、そんな気持ちがぐっとためこまれた末に、どどうっどうと放出される。その迫力、素晴しかったなあって思うのですね。ちょっと濃い目とでもいいましょうか、そんな漫画だから好き嫌いはあるだろうと思うんですが、私には強烈に訴えましたね。裁判の状況もそうなら、事件の周辺の描写、そして主人公の過去や現在についての描かれかたなど、そのどれもが迫力たっぷり、素晴しかったです。

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