2009年6月2日火曜日

『まんがホーム』2009年7月号

6月にはいりました。毎月2日は『まんがホーム』の発売日、ということで、買いました。もちろん買っただけでなく読んでます。さて、ネタばれ緩衝地帯だけれども、ちょっとだけ本編に関係することを書きますと、毎号の柱に掲載されている、作家さんにいろいろ聞いてみましたっていう企画、今月のテーマは「新スイーツ開発♥」でした。回答は、実際にこんなの作ってみました、作ってますという実践派から、こういうのがあったら試してみたいなというような夢を追い求める派にまで広がりを持って、こういう回答に作家さんそれぞれの個性というのが見えてくるようで、面白いものだと思います。といったところで、ネタばれ緩衝地帯終わりです。

メルヘン父さん』は衣替えから服のアレンジ? イメージチェンジに話が膨らんで、いつもとはちょっと違った衣装が、似合ってたり、なかったり、そうしたちょっとした変化、面白かったです。背広の父は競輪場とかにいそうだなあ。母はふわふわもいいけれどカッチリスーツのほうがよりらしくて魅力的だと思います。

『さくらんぼ。』は、少女たちの夢、アイドル独り占めだぜ! しかし正座させられるアイドル、なんか殊勝でいいなあ。『恋愛ラボ』はもうちょっと引っ張るかと思ってたんだけど、今回でひとまず解決。あんまりしつこくするよりも、こうして一気に落着させながらエピソードを多く重ねていくほうが、よいかも知れません。しかし、進化型はちょっと凄い。けど、旧タイプの方が好みです。青春ねー。しかし、マキ、凛々しいいい娘だなあ。『天子様が来る!』、変わらずしびれる面白さです。最初のページめくったとこのインパクトが最高です。そしてユキジのわびしさ極まって、なんかささやかなしあわせを大切にしてる、そんなところがぐっときます。『おかあさんがいっしょ』の、かたつむりを手にするみいこさん。ちょっと『ぐーぱん!』の未理さん彷彿とさせました。なんでだろう? 台詞かな?

ささやかなしあわせを大切にする、『天子様』ではユキジ、『あかるい夫婦計画』では影田くんなんでしょうね。私は人生に期待することをあきらめて久しいですが、それゆえか、人の親切がしみます。泣くほどではないけれど。だから、影田くんの気持ちもちょっとわかるよ。『イエス・マスター!』はとわさんのお菓子をくおんが食べちゃってたことが判明、ってちょっと違うんだけど。けど、意外にプライドの高いとわさん、そのアピールする様子は結構微笑ましい。そして魂。魂の存在を認めない私は、もし今後、とわさんのような知性、知能、感情を有したなにかと出会ったとき、どのように感じるのだろう。きっと私は、それを人と同じかそれに準ずるものとして遇するだろう、そんな風に思います。それは、空っぽの自分と、自分は空っぽなのではないかと思い悩む彼女の間に、生物、非生物という違い以上のものを見出せないだろうから、なんていうようなことを思いました。もし、私に魂があるなら、とわさんにも魂はある。ロボットに魂がないなら、私にもないのです。

『いろどりーまー』。新作です、ゲストです。うだつのあがらないアイドル志望と、これまたうだつのあがらない漫画家志望。そうしたふたりとルームシェアしているヒロインの苦労話なのかな? うだつのあがらない、そのふたりが愛せるキャラクターと感じられればいける、そんな予感がしています。

『ヨメけん』。ジンジャーエールって、禁酒法時代に酒の代用品として生まれた飲みものなんだそうですってね。カルピスストレートは、喉を傷めます。それはそうと、この部のひとたちは、生徒や教師という枠に収まらない、ちょっと不思議な友人関係にあるんだと感じられて、だからきっとこの先、卒業したとしても、こうした関係は続くんだろうなあ。そんなこと思わせるところ、いいなあって思いました。

『OHでりしゃす!!』は、眼鏡の娘が魅力的。ミリメシ、レーションについて人差し指たてて説明するコマ、あの表情が素晴しい。つい食べちゃって謝る、そのコマもまた素晴しい。基本的に私は、いろいろ教えてくれる人を好きになる傾向があるので、こういう解説しよう的な描写、大好きです。ところで、いきなりのどれもこれも食欲をそそらない!! 明るく元気に酷いコメント、そのそのまんまな感じがすごく面白かったです。うん、この漫画、好き。

『お江戸とてシャン』は、やれ夜這いだやれ押し倒せだ、ひでえ兄貴にひでえ師匠だなあ、おい。って、先月面倒くせえから、さっさと手籠めにしちまえよ虎吉なんていってたのは誰なんだ。でも、おヒナ見てたら誰でもそう思うわなあ。というか、度肝を抜かれる思いでしたよ。まさか、本当にこうくるとは……。

『てんたま。』は掃除にまつわるよくある話。けど、最後に思いもしなかったものがあらわれて、そうか、ここになにか仕込みがあるのか。そうか、そーやにとっては、るーは確かに姉である、そう思わせる人であったのかも知れないなあ。ちょっと次回への期待が高まります。『ちまさんちの小箱』は、うとまれる兄貴の話。でもあれはうとまれても仕方のないレベルだと思う。けど、とり子可愛いなあ。月光さま、たしかになにか引き付けられるものがあります。プリンが好きってのがいいなあ、あと、あの、目。あれがいいです。

『となりのなにげさん』、単行本化されるそうです。それは嬉しいなあ。しかし、この人はもう妖怪の域なのか。けど、なにげさんになら魂を取られてもいいな。あと、お茶漬け食べたくなりました。『今夜は七夕』。この仙石寛子という人は、よくよく辛気臭い恋愛話がお好きなようで、ところが私も結構嫌いじゃなかったりして、このもやもやを抱えながら、悪い感情を渦巻かせる、そうしたところは嫌いじゃないんです。恋愛、感情、思いなんてものは、どうしてもそうなりがちなもの。端々にエゴが現れる、そうであってこそ感じるものもあるのだと思います。

『カフェDEびじん』、もし残る人生、うどんしか食べられないという呪いがかけられたとしても、むしろ望むところだ、そう思ってしまう私にはなんとも目の毒な回でした。うどん、数年前に讃岐うどんがはやって、あちこちに店ができたけれど、すっかり淘汰されてしまいましたね。一件くらい残ってくれてもよかったのに。私は、京都や大阪のちょっとくたっとしたうどんが好きなのですが、あのもちもちしたとでもいいましょうか、腰の強い讃岐うどんも好きなんですね。私はうどんを食べるときは、なるたけ具はいれたくありません。うどん本来の味わいが損なわれると思ってしまう。だから、ベーコンはちょっとないなあ、なんて思ったけど、一度くらいは試してみてもいいかな、なんて思ったくらい。でも食べてみて、やっぱりそのまま、つゆのみの方がおいしいな、なんて思うんでしょうね。ああ、うどん食べたい。今、無性に食べたいです。

『ひなばと』は急展開。ひかれあいながらも、ちっとも進展しないカップルに関しては、もう面倒くせえから、さっさと手籠めにしちまえよあおいさん、なんてことはさすがに思わない。ともあれ、失踪した夫、旬介が見付かって、しかしこれ、もしかして記憶喪失? だとしたらそれもまた王道でありますね。

『おきらくママ』は、お父さんがテレビについて、でも夜帰ってちょっと見るだけだからなぁなんていってますが、ええ、私もそう思ってましたよ、テレビ買うまでは。大きくて綺麗なテレビがやってきて、私の世界、日常は変わりました。それくらい衝撃的でした。だから、旦那、思い切って買っちゃいなよ。すごいよ、ハイビジョン。

『ぷちたみ』、先生の結婚話で生徒たち震撼。結局お見合いなんですが、けれど25歳ならまだまだ余裕ですよね。しかしこの先生、生徒大好きー、って感じの人なのですが、こうして改めて見るとしゃんとしたいいお姉さんですね。倉持母もさばけた感じで、こうした大人の側の表現、結構いいなあなんて思ったのでした。

『物持ちがいいにも程がある』。私もついついものを溜め込んでしまう、そんな性格で、本やら雑誌やら捨てられずに、大変なことになっていますが、そしてこうした傾向は悪癖、悪徳の類だと思っていますが、そう感じるのは、猫がそうであるように、人も究極的には物を所有しない、できないものだからだと思っているからなんです。いずれ手放さなければならない時がくる。嫌だといっても、手放す日がくる。持ち物も身体も心もすべて手放す時がきます。今私が所有していることになっているもの、それらはすべて借り物だと思っています。この世界から借りているものだと思っています。だから、それらはいつか返します。けれど、それまでは手元に置くことを許して欲しい。そう思うのは、自分の弱さなんだと思います。そのものにまつわる思い出、そうしたものにすがっているんだと思います。だから、今、本当の意味で強くなれれば、手放してそれを苦にしない、そんな風になれるのかも知れない。ずっとそんなことを思ってきました。

そんな私には、今回の話は身に、心に沁みました。ペットを失う、身近な人と別れる、その喪失感は計り知れないものがあると思います。心が欠けたと思うほどに辛い、その事実がそのものの存在感だったんだと思うんですね。だから、今はお辛いだろうと思います。元気を出してくださいなんて簡単にはいえないけれど、いつかその辛さがやわらぐ日もくれば、ありし日のことを思い出して、懐しむ、そんな気持ちにもなれるのだろうと思います。私がいうまでもなくご存じでありましょうが、けれどそれでもあえていわずにはおられなかったのは、悲しみが癒えますように、そうした思いゆえかと思います。

宝石箱は覚えています。競輪場のそばの駄菓子屋? の前に、色褪せたポップが残っていたのが今も思い出されます。

『のぞみ☆みらくる』、面白かったです。『夫婦な生活』、ささやかなしあわせ、それをしあわせと感じる。そうした心がしあわせなのだと思います。人生に期待しないからとか、普段があまりに不幸だからとかでなく、喜びや嬉しさに対する感受性、それが人をしあわせにするのだと思います。どうぞ身近なしあわせを感じとれますように。そして、今辛い目にあっている人があれば、その辛さが去りますように。そうした思いのする『まんがホーム』2009年7月号でした。

  • 『まんがホーム』第23巻第7号(2009年7月号)

引用

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