2009年3月4日水曜日

スペースインベーダーゲーム筐体型バンク

 私はタカラトミーのファン、ってわけでもないのですが、せんせい買ったり、リモコンカー買ったり、ミニカー買ったりしたからみで、メールマガジンを購読するようになっていまして、そして今日届いたメール、それが実に奮っていました。なんと、スペースインベーダーのゲーム筐体を模した貯金箱が出るらしい。見た目は、まさに子供の時分、街の喫茶店に見たテーブル筐体そのもので、これが百円入れると、実際に遊べるというすぐれもの。ああ、これは面白いなあ。お金いれると遊べる貯金箱は、今やもう珍しいものではなくなっているけれど、ノスタルジーに訴えるという、そこが面白いなと思って、もし私がこれのターゲットとなるような世代であったら、きっと買ってたろう、そう思わせるものがありました。

ターゲットとなる世代というのは、いったいどれくらいであるか。このゲームのリリースされたのは、1978年であったといいます。そしてブームを作り出したのは、サラリーマンが中心だった。つまり今の四十代五十代あたりが直撃世代であるのでしょう。若い頃、ゲームセンターに通いつめた。彼女を待つ喫茶店で、営業をサボって喫茶店で、ゲームに没頭したという人もいるのではないでしょうか。私の幼い日の思い出に、うちからちょっと離れた喫茶店、窓際席がこのテーブル筐体で、プレイヤーを待つインベーダーどもが、右に左に動いて、けれどプレイしている人は見たことがない。それは、子供の時間と大人の時間が違っていた、すみわけがはっきりしていた当時のゆえかも知れません。父といったスーパーマーケット、ニチイのすみのゲームコーナーで、1プレイだけ遊ばせてもらったこともありました。あっという間に全滅させられてしまうのだけど、子供にとっては馬鹿にできない百円という金額があっというまに消える、その様をずいぶんな贅沢だと思ったことを思い出します。

ちょっと懐かしい昭和を懐古させてくれる、吉田美紀子の『70's 愛ライフ』でも、インベーダーゲームの狂乱が描かれたことがありましたっけね。この漫画を読むと、ああそんなこともあったっけねえ、懐かしさに目を細めてしまう。けれど、これは私より少し上の世代の人たちの話であるなというのもわかります。私を直撃する懐古ものというと佐波まおの『物持ちがいいにも程がある』でありますが、これも厳密にいうと若干上。『70's 愛ライフ』が私より十年、『物持ちがいいにも程がある』は五年ほど上の世代。共感性という点では後者だなあ。でもどちらも好きなんだよ、っていうのはまあ別の話。

ある程度年がいくと、若い頃をしみじみと思い出したくなるものなのかも知れません。青春のころ、自分という物語の主人公を夢見ることができた頃。そんな時代もあったねと、悲しかったことも辛かったことも、笑って話せるようになった今だからこそ、若かりし日を(ある意味、無責任に)懐かしむことができる。その人たちが人生の主人公を降りただなんて思わない。けれど、私の人生の中では私が主人公だと、あらためて気付くのは、こうした忘れかけていた青春の輝きを思い出すときなのではないかとも思うんです。ああ、俺、若い頃、ミュージシャンになりたかったんだよ。実家に電話をして、母さん、俺のギター、まだ置いてあったっけ — 。

ゲーム筐体貯金箱がそうしたきっかけになるかはわからないけど、昔を懐かしむのは、後ろ向きな営為でなく、時に前向きな気持ちを思い起こさせるものであるかも知れない。これは事実だと思います。だから、もしかしたら、もう五年から十年ほどして、私の世代を直撃するこうしたなにかが出てきたら、買ってしまうのかも知れないなあ。そうしたら、その時、私はなにを思い出すのだろう。まだ来ぬ日のことを思います。

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