2009年3月16日月曜日

こえでおしごと!

 tsawada2氏の購入記録に現われたのを見ましてね、ああ、そういえば買ってたなあ、思い出したのでした。紺野あずれの『こえでおしごと!』。発売は昨年末、12月の23日で、私の購入記録を振り返れば、同月25日に買っています。これはたまたま出くわして買ったのではなくて、ちょうどこの頃に出ると把握した上で買ったのでした。しかし、私が事前に知っていたのは、声優を志す? そんな女の子がヒロインの漫画ということぐらいで、残念ながらこの設定は私の興味をそそるものではなく、だから場合によっては流そうかな、そんなことさえ思っていたのですが、結局買いました。それは、なんのかんのいって、紺野あずれが気にいっているから、なんだろうと思います。

紺野あずれのどこが気にいってるか。この人の描く漫画に関しては、さほど詳しいわけでもないのですが、以前にいってました『思春期クレイジーズ』。ええと、車はぶつけるものってやつですが、あの漫画の馬鹿馬鹿しくも楽しいところ。無茶を無茶のまま通してしまう、そんな強引な展開は、下手すりゃ悲劇なんだけど、それを最後には悲劇でなくしてしまう、そんな楽天的なところがよかったのだと思います。変にポジティブというか、この人の漫画に見受けられるそういうところがどうも私は好きなようでして、それで『こえでおしごと!』も買ってしまったわけです。

この人の漫画は、主人公が無茶なこという人に振り回されて、巻き込まれていく。そういうのが得意のパターンであるらしく、『思春期クレイジーズ』では友人、『こえでおしごと!』では肉親、年の離れた姉のやむにやまれぬ事情? のために、急遽声優としての階段をのぼらなければならなくなったっぽいヒロイン。最初は嫌で嫌で、頭っから拒否するのだけど、だんだんに引き込まれていって、抜き差しならなくなってしまうというのも基本どおりで、だから紺野あずれのパターン、それが好きという人なら楽しめるところは多いかと思います。

ああ、いいそびれました。声優といってもアニメやなんかのそれではなくて、18歳未満はプレイできない類いのゲームの声優です。世に声優は多くとも、エロゲーの仕事を引き受ける人は少ない。東京、せめて大阪ならともかく、地方となると壊滅的な悪状況。そこで、妹に白羽の矢が立った。手元に使える声優を育てればいいんじゃん! なんというナイスアイデア! って、姉さん、あんたがやればいいじゃないか。ジャンルの特性といえばいいのでしょうか、この漫画、登場人物は圧倒的に女性過多。実際のゲームの現場の男女比率がどうなのかなんて知りませんが、あんだけ女性が多ければ、なんとか自社スタッフでまかなえるんじゃないのんか? などと突っ込むのは無粋だと思うのでやめときますが、だってヒロインにこの仕事が渡されなければ、漫画が進みません。

最初は嫌がっていたヒロイン柑奈ですが、巻き込まれて、揉まれているうちに、なんとなくその気になっていく、というか、その気にはなってないけど、なんとなく板についてきて、最初はとても無理と思っていたようなこともできるようになっちゃう、というのは、やっぱり紺野あずれらしさと思えます。そして、この人の漫画の魅力とは、無理といいながら頑張る、そうした際の照れであるとかもどかしさであるとかがかもし出す表情、その可愛さなんだろうなと思って、だからヒロインにひかれるところがあれば、きっといい漫画です。それからあと、声優というものに興味があれば、ぐっと面白さは増すのではないだろうか、という私は、声優にさほど興味があるわけでなく、さらには卑語の連呼に対する嗜好もちょっとないものだから、今はまだのりきれていない、そんな風に感じています。

ところで、この人の漫画といえば、同級生に背が低めのツインテールと背が高めのロングヘアーというのも定番っぽいですが、そのあたりもちゃんと押さえられてるのはさすがと思いました。多分、好きなんでしょうね。あ、そうそう、私は、この人の漫画に出てくる、やわらかで自然な感じの関西弁が好きです。

  • 紺野あずれ『こえでおしごと!』第1巻 (ガムコミックスプラス) 東京:ワニブックス,2008年。
  • 以下続刊

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