2023年11月24日金曜日

『まんがタイムきららフォワード』2024年1月号

 『まんがタイムきららフォワード』2024年1月号、発売されました。表紙は『アネモネは熱を帯びる』。凪紗と茉白、ふたりが描かれているのですが、いつもとはずいぶん雰囲気が違って、これ、一見しただけだと『アネモネ〜』と気づけない可能性あるな! と思ってしまうくらいに印象が違うんですね。モノクロームの衣装に蛍光ピンクの差し色がサイバーな雰囲気感じさせて、ちょっとダーク、ちょっとハード。いつものふわりと明るくやわらかな印象とはまるで違うのです。

今月は新規ゲストが1本です。

『放課後のライミングガール』

なにをしても普通。これといって個性や長所があるわけでもない西村宏美は、自分の置かれている状況に不満を感じていて、といってもこの子自身がとりわけ個性的なわけでもないんだけど、そうか、あれか、ちょっとした自意識過剰。自分は他の子たちと違って、ハイセンスで知的だと思ってる。なのに注目を集めることがないからと、ちょっと知ったかで他の子たちが知らないジャンル、ヒップホップを振り回してみたら、最初はすごいと注目されて、そしてすぐにめんどくさいやつ扱い!

これ、アレだ。はやめの中二病だ。後々、黒歴史とかいわれるようになるやつだ。

でも、こんな付け焼刃のなんちゃってラップ好きが、本当にコアなラップファンに出会ってしまったからさあ大変。出会ってすぐさま、放課後フリースタイルラップやろうぜなんて持ち掛けられて、えらいことピンチやな? ほんと、無理な背伸びは身を滅ぼすというやつなのか、あるいはそれでも自分をさらけだすことでピンチをチャンスに変えられるというやつなのか。

ええ、見事に後者でした。そのやけっぱちラップで妹相手に披露していた宏美のハイセンスが活かされるところなんかは、これ、伏線だったんか! みたいに驚かされたものでしたが、なんだかんだでありのままの自分を見つめて、それを相手にぶつけていくことで認められるくだりなどは、そうだよ、これでいいんだよ。退かず前に出た宏美もよければ、それを馬鹿にせず受け止めてくれたアキラもよかった。ええ、この顛末になにかさわやかさ感じさせるものあって、ちょっと気にいっちゃいましたよ。

『スローループ』

今回は一花と楓がメインのお話。ふたり、思い立ってマゴチを釣りにいきます。はいいんだけど、そのきっかけが猫に邪険にされるからっていうところからもう面白い。ええ、猫の気を引きたい、それが大本だったですね。

さて、夏に釣るマゴチ、照りゴチというそうなんですが、サイマキという小さな車海老を使う。って、すごいな、海老で鯛を釣るとかいうけど、こうして車海老出されると、そのまま天ぷらにすれば? って思ってしまう。

しかし今回面白かったのは、楓がいきなりクサフグ釣ってしまって、キングオブ外道と酷い扱いするところ。これが今回のテーマで、そしてふたりの腐れ縁といっていいのか、そうした関係を象徴するキーワードになっていたんですね。

これはもうふたりともといっていいんだと思うんですが、大人げなく張りあってみたり、フグさばいてやらないぞなんてヘソを曲げてみたり、みたいな子供じみた感情の応酬がね、腐れ縁なのかも知れないし、気の置けない、悪口なんかいっちゃってもこじれたりしない、そんなこなれた関係であるんだなって感じさせれてくれたりして、ええ、ふたりともに仲がよい。

もう気を使わなくってもいい、それくらいに馴染んだ仲なんだなっていう話だったのですね。

『球詠』

ヨミと詩織、ふたりの対話の様子。珠姫が見ていなくてよかった! なぜ本気で投げてこないのかと抗議する詩織に、その理由を説明していくヨミ。あくまでも冷静であろうとするヨミに、自分の底にある思いをありったけぶつけていく詩織。

ふたりの気持ちが交錯して、まさかそこでヨミが大好きだよと詩織を抱きしめるにいたるだなんて。そこからの未来の詩織を見たいというヨミの言葉が響くところ。それまで練習につきあうからというくだりなども、もう本当に心情がしみじみとあふれるようで、そして抱きついたまま離れない詩織!

ああ、珠姫が見ていなくてよかった! ほんとのほんとによかった、そう思ったシチュエーションでした。

ここで試合に戻りまして、ヨミが降板、ここからは小町が投げます。この子、実力はあるんだろうなと思わせるのは、2回をしっかり抑えてみせるところなど、きっちり仕事ははたします! でも、この子の悪い癖。強打者となると、勝負したがる、ど真ん中に投げてしまう、というのが仇となって、見事相手の4番にホームランを許してしまって……。

さあ、新越谷4-1のビハインド。ここからどう逆転に向かうのか。ヨミは落ち着いてますね。なんらかの策などあるのか。本当にヒリヒリさせる試合が続きます。

『魔法使いロゼの佐渡ライフ』

故郷エトワールとの繋がりを示すものがないかと訪れた民俗博物館。しかし大きな収穫は得られず、と思ったら、月渚もこの場所を訪れていた! やはりここにはなにかあるのか!? エトワールとの繋がりが!?

ロゼ、月渚に声をかけてみれば、なんと月渚がここにいた真相が判明!

ただの迷子でした。

って、いや、マジか。そんなことってある!?

なにか謎の風格感じさせる月渚ですが、その行動のはしばしに感じさせるポンコツさ。そいつが本当に可愛いですよね。今回もポンコツ全開。そんな月渚がロゼたちに同道することになって、一緒に向かうは佐和田。佐和田っていうのは、佐渡島の繁華な場所なんですね。

その途上で食事に寄ったお店でのやりとりもにぎやかで楽しかった。ソフトクリームに感動する月渚もよかった。そして最後の紗菜のスマホ購入に月渚が一役買うくだり。おお、実に頼もしい! というか、それを評してスマホ廃人ってのがもう本当にどうしたものかって感じであるのですが、月渚の月渚らしいところ、短所なのか長所なのかよくわからんよさ、よくよく出ていてたまらなく愛らしかったです。

今回は、月渚がこちらの世界にやってきた状況を知ることができたり、ロゼも月渚も帰る気がないこと確認しあえたりと、それなりの収穫はありましたね。そして紗菜のスマホの顛末も!

いやもう、ほんとに、なかなかうまくはいかないものです。というか、それまで無線端末持ってなかったんだから、Wi-Fiなんてあるわけないってこと、失念していたのは大ポカでしたね。

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