2010年9月10日金曜日

『まんがタイムきらら』2010年10月号

『まんがタイムきらら』2010年10月号、昨日の続きです。

『きみにカケル』、3回連続ゲストの3回目。しっかり一区切りつけてきましたね。下手だけど描きたくてしかたのないカケル。ちょっとクールなつぐみ、感情を抑えているのかな? このふたりで、恋愛のロールプレイみたいなことさせられる。けれど、その恋愛ごっこ、互いに照れてるつぐみとカケルの様子をにやにやしながら眺める、そんな展開かと思っていたら違ってましてね、ラストにこの経験が生きてくる。カケルの絵が上達? いや、丁寧に気持ちを絵にこめたといったらいいのかな、描くということの意味合いが深まって、そしてつぐみも同様で。ああ、これはとてもいい。この3回にわたって描かれた、きれい、きっちりのテーマにそった展開、たいへんよかったです。

『モコモコニンニン』、ゲストです。忍者マニアの女の子まやが、コンビニで忍者と出会った。モコ、忍者の娘、けど秘密だったらしい。それを一発で流派まで指摘されて、もうばればれ。こうして忍者とマニアの交流がはじまります。忍者であることをちょっと恥ずかしく思ってるモコに、断然憧れちゃってるまや。ふたりの温度差が面白い。街のことを知りたいモコが、なんとしても帰らない、街に残るんだっていう。で、それをあっさり許しちゃう頭領のきさくさが、その登場のいきなりさ、格好の奇抜さもあいまって面白かったです。

基本は、街の知識がなかったり常識の違う女の子が、とまどったり変なこといったりしたりする、そういうコメディなんだと思います。結構、いい感じにふくらんでいくんじゃないかなって感想。わるくないなって思っています。あ、それとどうしても書けなかったので、ここでいっときます。もうひとりメインの登場人物があって、その子の名前はみはるです。

境界線上のリンボ』、妖精アヴリルの恋、決着しました。人に恋してしまった妖精、アヴリル。人のサイズになりたい。魔法でなんとかできないか……。無視できないほどに大きなリスクがあると告げられても、気持ちを変えようとしない彼女。彼女の気持ちが凛として見事でした。

片思いかも知れない。けれど、それでもかまわない。どのような結果になっても、彼が仕合せであればそれでいい。自分の見付けた自分の恋のため、他でもない自分のために、私は前へ進むのだというその真っ直ぐさ。行動するヒロインとしての貫禄揺るぎなく、人にとっての仕合せとはいかなるものであるのか、あたかもそう問いかけるかのような展開に、私も自然ひきこまれないではおられませんでした。ラストのアヴリルの内心を語るモノローグは圧巻。騒々しいアヴリル。わがままで気まぐれで、けれど深く強くしなやかな思いを胸に秘めた魅力的な女性、その愛は瑞々しく実に鮮やかじゃないか。そうした思いの自然とわきおこるエピソード、素晴しかったです。それはそうと、クラウスはほんと果報者であると思いましたよ。

PONG PONG PONG!』、最終回です。帰ってしまったリコ。その事実を知らされて、それがお前の選択なのだと告げられて、駆け出していく祐太。たくさんの女の子にもてたかったとはいうけれど、特別な誰かというわけではない女の子の群でなく、他の誰でもないリコにいてほしい。人っていうのはわがままだなあ、って思いますけど、失ってわかる大切なもの。あるいは、自分の望みがリコの存在と引き換えということに気付いてなかった、その浅はかさといったほうがいいのでしょうか。祐太の駄目さ加減。最後まで駄目で、それこそ、この一連のできごとを通してひとまわり大きくなりました! みたいな要素の皆無であること、実に祐太らしいのでありますが、それでもリコの戻ってきたこと、よかったなって思います。

正直なところをいいますと、物足りないです。もっと読んでいたかったし、もっと展開しえたろう要素、たくさんあったと思って、だからもったいないとも思っていて、けれど、そうした恨みごとつらみごと、ここに並べたてたって意味ないじゃないですか。だから私は、この最終回をさみしく思いながらも、一抹のハッピーが描かれたことを喜びたく思います。そして、10月27日の最終巻、その刊行されることを喜び、心待ちにしたく思います。

でも、祐太とリコの物語だったのはちょっと意外。実は祐太と真由の物語、リコはいわゆるキューピッド的ポジションなのかなって思ってました。

  • 『まんがタイムきらら』第8巻第10号(2010年10月号)

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