2010年9月13日月曜日

『まんがタイムラブリー』2010年10月号

『まんがタイムラブリー』2010年10月号、発売されました。収穫がテーマ、秋らしく葡萄をモチーフにしたイラスト、カットいっぱいで、『Welcome! つぼみ園』ことみ先生はかごいっぱに葡萄をつんで、『少女カフェ』も同様なのだけれどみおとつくしがつまみ食いしています。そしてここからお酒に進む。『だんつま』のお三人は葡萄を踏んでつぶす、伝統的ワイン造りの光景見せたかと思えば、『ただいま独身中』、『虹色占い師』のヒロインは、もうふたりとも飲むことしか考えていない。そんな様子、実に魅力的です。

『少女カフェ』は増ページで2本立て、人気あるんでしょうか。内容は、お父さん、風邪! いつにも増して弱気なお父さん、ちょっと魅力的。あの常連の宮嶋さん、見つめあう瞳と瞳、いつも見てますから……、ってどんなに意味深なんだろう。というか、宮嶋さんはわざとだろう。そして葉月さん。心配してくれる葉月さんはとてもいい人。けど、双子の大人しい方の子、みおにまで酷いこといわれて、このなんか気の削がれちゃったという表現、大好きです。今回は風邪ひいて、心配してされて、そういう親しさ、皆の距離の近さというもの感じさせるところ大きくて、つくしの本当に心配しているという表情も、殊勝で、なにかぐっと訴えますね。それで最後の風邪引きつくしの表情、これもぐっと訴えますね。ええ、大威力でした。

で、巻末には葉月さんメインといった4ページがあって、酒でトラブル? 見知らぬ男と昨夜なにかあった!? というのに、自分の心配じゃなくて、示談をまず考えるっというのがすごいなと。酒飲んで荒れる葉月さん、けど普段の葉月さんの言動から大きく離れるものでもない。この普段から自然体っていったらいいんでしょうか、素直、気取らない葉月さん。素敵なお姉さんだなって思いますよ。いや、ほんと、綺麗で可愛くて、このままじゃヘタレパパを葉月さんにとられちゃう!

『ぐだぐだしている女子高生の放課後 略して ぐだじょ』、はねる先輩、いいキャラクターしてるなあ。一年の教室に乗り込んできて、お昼に誘う。って、先輩には友達おらんのですか!? でもこの人の小柄で天真爛漫、なんかほっそい目で微妙な表情見せる、そうしたところがすごくよくて、この魅力はあれだな、猫のそれに似てるな。好き放題にしてる、その気ままさが見ていてすごく気持ちいいです。でもって、この人の自己評価。私相手に妄想する男子がいるとは思えん。って、それはとんだ見誤りですよ。実際、私、この人がなにやらかすだろう、その一挙手一投足に釘付けってな塩梅です。

『愛myファミリー』、これ、すごくいいです。今回は、お姉ちゃんが雫の彼氏を借り受けようとやってくる。この姉も妹もなんですが、お互いに結構ぞんざいなやりとりするところ、言いたい放題っていってもいいのかなあ、それが姉妹というものの独特の距離感じさせて、すごくいいんですね。私の知り合いの姉妹もこんな感じで、喧嘩すれすれみたいなところまで肉薄するのに、それでバランスとってる。実にいい。それに、あの「三者三様」、みんなが勝手にいいたいことだけ話してるっていうの、これもすごくらしくって、いやほんと、面白かった。あの雫の、可愛くてにこにこしてるばかりじゃないって表情たくさん見られたところ、これがなおよかった、そう思うんですね。

『この町のハテ』、素晴しかった。友達の彼氏からはじまって、イズミの家族、恋だのなんだの、うちの家族にはあんまり関係なさそうね、そんな感じの話になるのかと思ったら、いやいや、全然違いました。人を好きになる気持ち、恋やら愛やらははじめは大きく燃え上がって、けれどいつしかそうした気持ちは薄らいでいってしまうのかしら。そんな疑問。娘の表情に若いころの夫を見たり、ちょっとセンチメンタルになってしまったお母さんの、でも、娘の気持ち聞かされて、だんだんに憂いのやわらいでいくところ。そして思いがけない夫からの電話、なにげない日常の、素敵と思える出来事、その感動をふたりでわけあいたいと思った。その気持ちの届けられること。そして、愛は燃え上がるだけでなく、こうして深まっていくものなんだというような描かれ方に、なんだか涙が出てきてしかたありませんでした。そして最後のハテさんのモノローグ、これが効いていました。ほんと、いつでもこのようにあれればどれほどに仕合せだろう、そう思わされるエピソード、素晴しかったです。

  • 『まんがタイムラブリー』第17巻第10号(2010年10月号)

引用

  • 板倉梓「少女カフェ」,『まんがタイムラブリー』第17巻第10号(2010年10月号),57頁。
  • 小池定路「ぐだぐだしている女子高生の放課後 略して ぐだじょ」,同前,67頁。

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