2008年8月19日火曜日

BODY / LIFE

昨日取り上げたのがホームラン・拳の『ソウル・キッス』。じゃあ、今日は『BODY & SOUL』だ! と思って本掘り起こしてみたら、あらら、『BODY / LIFE』だった……。でも、気にしない! 『BODY / LIFE』の作者は、以前『少年少女は××する』がよかったといっていた、さらには既刊を買っていってみようといっていた、陸乃家鴨であります。そう、その後、ひそかに既刊を買っていたんですよ。けれど、ちょっと思っていた感じとは違っていて、あれーっ? って思った。それはひとえに『少年少女は××する』的なものを期待しすぎたためであるのですが、しかし第一派ではピンとこなかったといっても、二度三度と読むうちに、よさに気付くこともあります。そしてそれはまさにこの本で起こって、特に男女の入れ替わりものである後半三編が面白かった。結構気に入っている話です。

なにがよかったかといえば、結局はミチ子さんなんだろうなと思うのですが、男前でさばさばしていて、気っ風もよければ、啖呵も気持ちいいという、そんなヒロインが、ひょんなことから、気の弱い男の子、仁志と入れ替わりをしてしまう。プロットとしてはベタで、しかも一緒に階段落ちして入れ替わりという、実に由緒正しいきっかけです。しかし、男ならよかったのにと悩む女と、女だったらよかったと思ってきた男が、見事望みの体を手に入れる、それはちょっとした夢の実現で、その周辺で描かれた心の機微、ちょっとよかったです。まあ、そこが静かでしっとりとしただけに、次のページから始まるメインの場面、その動的な様が映えるのだと思うのですが、いやしかし、ミチ子さんは素敵です。まあ、仁志の体を使っているわけですが、水を得た魚の様とでもいえばいいでしょうか、生き生きとして、もうやりたい放題。素晴らしすぎです。

基本、私は男が女に強いる、そういう関係はいやなのです。しかし、この漫画は、外面的には男が強いるけれど、その中身は女であるという、なんだこの倒錯感。しかも、仁志の体に奉仕する仁志、それはミチ子にも同じではありますが、私には断然仁志の描写が魅力的と感じられて、それは私の持つ、できるものなら女になって自分を責めてみたいものだという、変態性がまま描かれているという、そこに起因するのでしょう。

ミチ子さんのやりたい放題は、話の進むごとになお加速して、それはもう素晴らしいの一言です。乱暴な男のやりたい放題はいやだといいながら、その中身が女であれば許せてしまうという自分にびっくりですが、しかし自分の興味、欲望に忠実なミチ子は見ていてほれぼれします。なんといっても、すごく楽しそう。で、仁志をはじめ、お姉さん(名無し)や天使まで巻き込んでしまうという、その勢いもまた魅力的で、もう向かうところ敵なしです。

そして、仁志のかわいさなのでしょう。ミチ子の体に入っている仁志がかわいいのは当然としても、仁志そのものもまたかわいく、そして、そんな仁志とミチ子がいいカップルになっているという、その関係がまたよいなと思うのですね。われ鍋にとじ蓋的カップル、でもそれが変にいい感じ。仁志は振り回されてるけれど、それでもミチ子を受け入れて、無茶にもなんとなく付き合っちゃってる。その様子見てると、なんだかんだいっても運命の二人だよなと、そんな感想が出るくらいの自然さで — 、やっぱりいいなあって思うのでした。

  • 陸乃家鴨『BODY / LIFE』(セラフィンコミックス) 東京:ヒット出版社,2000年。

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