2006年1月1日日曜日

まりといっしょ

 新年明けましておめでとうございます。今年は戌年。そんなわけで、ちょっと犬に関係したものを取り上げたいと思います。

たかの宗美は、これまでも散々いってきましたが、私の好きな漫画家の一人です。そのたかの宗美がつい先達て『まりといっしょ』という単行本を上梓されて、おや? 奥付を見れば2006年1月10日って書いてある。本では実際の発売日と奥付の日付が違っていることが往々にありますが、これもそうした類いなのでしょう。しかし、戌年正月に犬の漫画が出版とは、なかなか縁起のよい話なのではないでしょうか。『まりといっしょ』、柴犬のまりが主人公の、西洋アンティークショップ四コマです。

まりが主人公といいますが、実際のヒロインは西洋アンティークショップ人形の夢の店主美幸さんですね。基本的な登場人物は美幸さんにまり(本名マリアテーゼ)、そして人形の夢の隣で喫茶店を営むキリタの三人。後は店のお客といったところでしょうか。この最小構成ともいえる人数で、細く長く続けられてきたのがこの漫画であるようです。

で、ここで重要なのは美幸さんの性格なのだろうと思います。美幸さんは西洋骨董なんて扱うから、エレガントで夢見がちな女性、だなんて風貌を与えられてはいるのですが、実体はそうした印象とはまったく違っていて、まさにこれこそがたかの宗美的であると思うのですよ。たかの宗美的とは、乱暴で強引といったらいいのかな。こんな言い方をするとなんだか悪口みたいですが、やり手でさばけているといえば悪くはないでしょ。腹の割って話せる気の置けない友人といった感じが、この美幸さんからもするのですね。

多分、こうした雰囲気というのは、作者の人となりが反映されてこそのことなのだと思います。といっても、私は作者の知人でもなんでもないのですが、でも、単行本カバー折り返しなどに見える著者近況(?)なんかを見ていると、きっとこうした漫画に出てくるちょっと強引でけれどすかっと気持ちのよいヒロインたちに通じるものをお持ちであるように思えてくるんですね。

とはいっても、勝手に人間像まで構築されてしまうのだから、作者というのは大変です。たいへん失礼いたしました。

  • たかの宗美『まりといっしょ』(エメラルドコミックス) 東京:宙出版,2006年。

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