2008年12月14日日曜日

Natural — 身も心も

 Windowsの動作するノートPCだって持っているのに、Macintosh上でWindowsアプリを動かす互換レイヤー、CrossOver Macを試してみたり、また最近も、Macintosh上でWindowsマシンを仮想的に動かすVirtualBoxを試してみたり、はたしてそれはなにゆえなのか、といわれれば、答えはひとつ。どうしてもWindows 9x環境が必要だったからに他なりません。Windows NT系OS上では動作しないゲームを持っていて、それをどうしても動かしたかったのですね。それはなにかというと、フェアリーテールから出ていた『Natural — 身も心も』であります。実は、これは私のはじめて買ったPCゲームでありまして、とにかくこれを遊びたい一心でWindows 98ノートを調達した、それくらいに思い入れのあるゲームであるのですね。そういえば、私がWindowsノートを購入したのもゲームがきっかけでしたっけ。つくづくゲームがPC導入の原動力であることがわかります。

『Natural』が新しいWindowsでは動かないというのは、ゲームのシステムプログラム、ADVWin16が、Windows 2000以降のプラットフォームでは動作しないからであったのでした。しかし、いくらなんでもシステムプログラムが16ビットだから動かないってことはないだろう。それは私も思ったことですし、またまわりからもいわれたことであるのですが、しかし動かないっていうんだからしかたありません。もしかしたら、別のゲームから新しいシステムプログラム、ADVWin32を持ってきたら動くんではないだろうか、そんなことを思ったりもしましたが、そういった報告例は残念ながら見付からず、自然私は『Natural』の動作する環境、Windows 95の確保にやっきになったのでした。

残念ながら私は満足にWindows 95を動かすことはかないませんでしたが、Windows XPで動作する『Natural』がDL販売されていることを知ってですね、アレルヤ! これで旧環境を確保する理由がなくなったとばかりに、仮想化ソフトウェアからも互換レイヤーからも手をひいたのでありました。もちろん『Natural』XP対応版はすでに購入済。ダウンロードは二日遅れて本日おこないました。そしてインストール。すぐさまゲームを開始してみたら、なんとBGMが鳴らない。あれー、と思ったら、Windows Media Audioのドライバをインストールしていなかったからでした。ドライバをインストールしてやったら、無事BGMも鳴るようになりまして、よかった、いや、しかし懐かしいなあ。

『Natural』の発売されたのは、1998年2月6日のことであったのだそうですね。今から十年も前のこと。私の購入はさらにこれより遅れて、2001年1月9日に発注して、2月1日に入手しています。その直後の感想が残っていたのですが、それによると、どうもあわなかったみたいですよ。なにしろ男性優位のゲーム、自分の部屋に転がりこんできた女の子、千歳をあれやこれやと支配する、そんなところもあるゲームですから、そういうところに拒否を示したのだろうなあ。今から振り返るとなんとナイーブなことか、と驚いてしまいますが、基本的にこの性質は今も変わっていないようですよ。しかし、なのに、今では『Natural』が好きだといっている。それはいったいなぜなのか、なぜなんでしょうね。

それは結局は、ヒロイン千歳の可憐さと、そのゲームの行き着く先、エンディングへ向かう流れにあるのではないかと思うのですね。攻略対象は千歳を含めて四人いるのですが、中でも千歳は別格です。臨時講師として訪れた学校で、かつての恋人の妹と再会する。それが千歳。千歳はこのまま主人公のうちに転がりこんできて、それからゲーム終了までの一ヶ月間、千歳との蜜月関係が続きます。千歳が別格であるというのは、自宅でも一緒、学校にいっても会える、そうした設定であるため、いたるところで行為になだれこむことができる。というわけで、シチュエーションもバリエーションも実に豊富で、そして主人公は千歳を行為を通して支配していこうとするのですね。

そうした、支配に及ぶ可能性、それが見え隠れしたところに、当時の私は嫌悪を感じてしまったのでしょう。それこそ、最終的に隷属状態にまで持ちこむことができる、そんなゲームです。でも、できるからといって好き勝手に振る舞っていたら、それなりのエンドにしか辿りつけないんですね。千歳に去られてしまう、主人公は心に空白を残したまま、同じ過ちを繰り返すことになる。そうしたわびしさの残るエンドは、私の最初に感じた嫌悪をうまく受け止めて、そして私は納得してしまったのです。ああ、そういう仕掛けなのか。そして私は、千歳とのハッピーエンドを迎えるべく、再度プレイし始めた。そうしたことを思いだします。

私がこのゲームをプレイしたいと思ったのは、たまたま見たイベントグラフィックのためでした。海外のオタクが、画像を勝手に公開していたんですね。しかしこれは私にとってはよかったのだと思います。その画像に見付けた女の子の可愛さに射すくめられたようになって、ずっと記憶のどこかに残して、そしてついにその出典を知って、あの時は嬉しかった。だから、結局は私は、千歳にはじめっから支配されていたってことなのだと思います。活発な女の子、ボク少女、激辛カレー、主人公の呼称はお兄ちゃん。そのどれもが懐かしい。自分の好みからははずれているはずなのに、少しも気にならなかった。それはつまりは、私が千歳にすっかりまいってしまっていた、そういうことなのかも知れない — 、それこそ意思やなにかの及ぶ話ではなかったってことなのだと思います。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

「アンサンブル 舞降る羽のアンサンブル」の予約特典でNatural XP対応版がありますよ。

matsuyuki さんのコメント...

ありがとうございます。
その後、結局、DL版を買ってみたり、雑誌付録のDVDに収録されていたNatural 1 2パックを入手したりして、どうにか遊べそうな環境は整えてしまいました。しかし、Windows 10で動くのかどうかは未確認……。
昔のゲームを安定して遊べる環境を保持するの、難しいです。