2008年12月19日金曜日

Vandoren Traditional Saxophone Reeds

 リードを買ってきました。リードっていうのはなにかというと、クラリネットとかサクソフォンの歌口(マウスピース)に取り付ける部品というかなんというかで、これがないと音が鳴りません、というか、音を出すための振動体そのものであります。ギターでいえば弦にあたる部品、人であれば声帯ですね。リードは一般にはケーン、葦で作られているのですが、久しぶりにサックスを吹こうということになって、樹脂製リードを試してみようと思ったら、いった店にはジャズ向けのしか置いてなくて、結局はいつものリードに落ち着いたのでした。いつものリード、それは信頼と実績のバンドーレンであるのですが、最近のはやりはどんななんでしょうね。サックスを吹かなくなって、情報からも遠ざかって数年、本当に疎くなっています。

サックスは廃業した。ついこないだそんなことをいっていたというのに、なんでリードを買ったの? 吹くの? ええ、吹くのですよ。いやね、黒目先生のサックス吹いてるのを見てたら、それがあんまりにも気持ちよさそうで、ああ自分も久しぶりに吹いてみようかと思ったんです。 — ごめん、嘘。いや、完全に嘘じゃないんだけど、理由は別にあるんですよ。

それは、YouTubeシンフォニーオーケストラであります。なんと、YouTubeがオーケストラをやってみようっていうんですね。曲はタン・ドゥン作曲Internet Symphony “Eroica”。この企画のための書き下ろしなんだそうですが、パート譜をダウンロードして、演奏したものを録画して、YouTubeにアップロードしたまえとのこと。さらに、オーディションに応募することもできて、2009年4月15日にニューヨーク、カーネギー・ホールで開かれるコンサート、その舞台にのるための切符をゲットするチャンスだぜ! しかしなにがすごいといっても、交通宿泊費はYouTubeもちだっていうんだから、がぜんやる気になるってもんですよ。

でも、サックスのパートはないんですよね。うう、ちょっとがっかりだ。けど、リストにない楽器の応募も大歓迎、自分の楽器に音域が近い楽譜を選んで、存分にやってくれという話。おおう、再びやる気がでてきたよ。せっかくだから、私はイングリッシュホルンを選びました。でも、ブランク長かったし、吹けるかな、その不安は消すことができず、まあとにかく吹いてみないと始まらないよな。楽器を引っ張りだしてきて、吹いてみたのでした。

My Saxophoneおお、結構大丈夫じゃん。吹いてみれば、不安はすっかり消えさって、そりゃ昔のようには吹けないよ。でも、どうにかなりそうだ、そう思えるくらいには吹けています。それは、管楽器はやらないものの、ずっと歌ってきた、そのおかげなのかも知れないですね。サックス吹いた翌日、腹筋が筋肉痛になるのではないかと思っていたら、それが意外と大丈夫で、まあかわりに腰が痛いんだけど、この腰痛、学生のころ、ずっと悩んでいたんだけど、まさかサックスに原因するものだったとは……。はじめて知りましたよ。

アンブシュア、口のかたちですが、それを維持するのもきついのではないだろうか、そういう心配もあったのだけど、それも大丈夫。これには驚きました。そして、楽器の心配。数年間、ノーメンテです。しかし、これも思ったほどには悪くない。ただ、やっぱり低音は出にくくなってるんだけど、まあこれは予測の範囲のうち。というか、もっと出ないかと思ってました。よほど悪く考えすぎていたんでしょうね。そうした不安がひとつひとつ消えていくことで、やる気もいっそう強くなった、そんな気がします。

で、リード、これだけは買ってこないといけません。なぜって、これ、消耗品なんですよね。毎日吹くと、だいたい二週間三週間くらいでへたってきます。だから、大抵は複数枚を使いまわすことで消耗を防ぐんですが、手元にあったのはこれまで散々吹いたリード、そんなのしかストックにないから、ちゃんと吹くというなら、買ってこないわけにはいかんかったのでした。で、このリードが曲者なんです。なんといっても、天然素材。なかなかに質が安定しないようでして、10枚入りを買ってきて、使いものになるのは二三枚、頑張ってせいぜい四枚、運が悪いと一二枚? そんな有様なんです。でもさあ、工業製品として、それってどうよ。私はサックスを吹いていた昔から、ずっとそう思い続けてきて、だもんだから、ギターに転向したときは感動しましたよ。買ってきた弦がそのまま使える! 夢みたいだ! いや、それが普通なんだと思うんですが、どうなんでしょう。今はこの状況、改善されてるのかな。

Saxophone樹脂製のリードを試してみようと思ったのは、天然素材ゆえの品質のばらつき、それがきっと少ないに違いなかろうと期待したからなんですね。昔、私が現役だったころ、樹脂製リードが出始めてきて、みな一応は興味を持つのですが、やっぱりケーンの方がいいという結論に落ち着くみたいなんです。確かに長持ちするけど、何ヶ月も使えるわけでもないらしい。また音にちょっと癖があるから、ちょっと使いづらい。そういう意見がよく聞かれたものでした。ですが、それからずいぶん時間が経ちました。だから、もしかしたら、樹脂製リードの改善も著しいのではないか、そんな風に思ったのですね。ですが、まさかクラシック向けのが売ってないとは思わなかった。ということは、あいかわらず人気がないのか。その人気のなさは、質において問題があるためか、あるいは音楽家特有の保守性のためなのか、そのへんはわかりませんが、でも多分前者なんだろうなあ。

なので、順当に使いなれたバンドーレンに戻ってきて、そうしたら箱がむやみやたらと大きい。アルト用を買ったのに、まるでバリトン用みたいな大きさで、なんで!? と思ったら、最近のリードって個別包装されるようになったんですね。ファクトリーフレッシュとかいってます。湿度がリードの性能に影響を及ぼすため、湿度管理された工場での品質を保つため、ひとつひとつリードをパックした、そんなことをいっています。名付けてフローパック、なんだそうですよ。でもこれって期待してもいいのかな。輸送中、保管中の変質、劣化を防ぐというからには、ベースとなる品質はちゃんとしてるということなんだと理解してもいいんですよね。3番(リードの厚さは数字で示されます。1/2刻みで1から5まであるんだけど、2以下及び4より厚いのは見たことありません)を買ったはずなのに、どう考えても3じゃないだろ、これ。みたいなのは勘弁してくださいよ。いや、冗談じゃなくて。本当にお願いしたいところです。

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