2006年10月4日水曜日

Quartett!

  旅行の写真を保存しようとDVD-Rを買いにいった電器店のゲーム売り場で『Quartett!』を発見。ああ、ついにPlayStation 2版が出たんですね。てなわけでちょっと欲しくなったのでした。けどまだ買ってません。それに、これから先も買うかどうかはわかりません。というのはなんでかというと、オリジナルを持っているからなのです。ええと、オリジナルはPC用ゲームでして、ええと、18歳未満は買えない呪いがかかってる? そんなタイプのゲームなんですが、なぜか持っています。忘れもしませんね。Amazonのおすすめに『Quartett!』が現れて、ええーっ、なんで? その手のゲームをブラウズした覚えもないのに? けど、お勧めされてしまったのですから仕方がありません。最初こそ黙殺したのですが、どうにもあの絵が気になりましてね、『北へ。』の大槍葦人さんですね。あのやわらかな感じの絵が好きでしてね、だもんだから結局は買ってしまったのでした。Windowsマシンと一緒に!

  『北へ。』はバイト先の友人が持っていたんでした。彼は筋金入りのセガファンだったからもちろんDreamcastユーザーで、Dreamcast用アドベンチャーゲームとして鳴り物入りで登場した『北へ。』も買っていました。このゲームは恋愛アドベンチャーのなのですが、やってみればバーチャル北海道観光ツアーといったおもむき、名所解説よりも愛をささやいて欲しいとかいう突っ込みを聞いて大いに笑ったものですが、でも本心をいうと遊んでみたかった。絵が好みだから、キャラクターが好みだから。だって、自分が遊べないプラットフォームのゲームだというのに、しっかり絵柄もタイトルも覚えているくらいですからね。だから『Quartett!』がお勧めされたときに、これはっ! と思った。で、買っちゃった。悩んだ末ですよ。でも買っちゃったんですね。原画集まで買っちゃったんですね。もちろんビジュアルファンブックも買っちゃってるんですね。

で、そんなにも入れ揚げている『Quartett!』ですが、ゲームとしてはどうかといいますと、正直ちょっと人には勧めにくいという感じです。アダルトゲームだからじゃないですよ。アダルト要素が問題なら、PS2版をお勧めすればいいという話になるじゃないですか。私が問題にしているのは、ゲームとしてはどうだろう、ということです。基本的に物語を追うばかりのゲームです。選択肢は少なく、またどれを選べばいいか非常にわかりやすくできているから、攻略でつまるということはまずあり得ないと言い切っていいくらいです。だから、このストーリーそして絵にどれだけのお金を払えるかが評価の分かれ目であると思います。私は買って後悔していませんが、いやむしろ気に入っていますが、けど人によってはこの価格は受け入れられないかも知れません。私がお勧めできないという理由はまさしくこの一点なのです。

でも、遊んでみた感想はというと、まずインターフェイスがすごい。今まで見てきたゲームやその他アプリケーションのどれよりも洗練されているんじゃないかな。すごくおしゃれで、文字による説明なんかは極力廃されているのに、アイコンが適切だから迷うことがない。正直感動しました。あの対価が、このインターフェイスを見るためだけに支払われたものだったとしても、実際私は納得したでしょう。それくらい感動したのでした。

そうしたインターフェイスまでも含めた見せかた、演出がうまいゲームです。このゲームの売りはフローティング・フレーム・ディレクター(略称FFD)なのですが、物語の進行にしたがい画面にキャラクターが漫画のコマ割りをするがごとく描画され、そしてそのキャラクターたちがあたかもしゃべっているかのように吹き出しが現れるという見せかた。これまでこういうのを見たということがなかったから、すごく面白かった、ひとつの試みとして成功していると思ったのでした。

恋愛系アドベンチャーゲームといえば、決まった形式みたいなのがあって、それは情景を説明する背景にキャラクターの立ち絵、画面下部にはテキストの表示されるフレームがあるというパターン、まれにイベントに応じた一枚絵が出てくる — 、このへんがお定まりだと思います。それこそPC98時代から(あるいはもっと以前?)綿々と受け継がれてきているスタイルですが、『Quartett!』はこうしたやり方から脱して、ひとつの解答を提示したなと実感しました。だから私には、ゲーム性の薄さは気になりませんでした。ストーリーにしても、実際にはありえないよななんてところも多分にあったりしますが、おおむねオッケーという感じ。それよりも、インターフェイスまでも含めた全体の印象をよくまとめて表現した、— ちょっと古いいい方をすれば — 、良質のマルチメディアタイトルであると、そういう印象で受け止めています。

そういえば、PS2版では声がついたみたいですね。これ、私にとってはどう転ぶかわからない危険な要素ですが、でもよりマルチメディア感は強くなりました。そして多分遊べば、割合いいじゃんなんて思うんじゃないかと思います。それに、このゲームに関してはエロシーンが全体の構成を著しく破綻させていた(ここはFFDではなく、旧弊のスタイルが顔を出します)と感じている私ですから、そういった要素が排除されているだろうPS2版の方がむしろ好ましいできなんじゃないかと、そんな風に予想しているのです。

だから、後は買うかどうかだけです。正直ちょっと迷いますね。PS版独自のフィーチャーとかがあったらかなり揺れ動いたと思うのですが、そのへんどうも微妙みたいです。迷いますね。

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