2006年10月13日金曜日

DEATH NOTE HOW TO READ 13

 DEATH NOTE』が完結して三ヶ月、真相編が刊行されました。といっても、これってファンブックですね。『ヒカルの碁』でも『キャラクターズガイド』というのが出ていましたが、そういったものを思い浮かべてくださればいいんじゃないかと思います。主要キャラクター一覧があって、物語(事件といったほうがいい?)の推移があり、その他細かな解説があって、でも私にはそれらはあんまり必要じゃありませんでした(興味が持てなかったって意味ね)。そもそも私はこの本を買おうかどうか微妙に迷ったのです。それは以前にもいっていたとおり、これまでこんだけつきあってきたんだから買うんじゃないかなとは思いますが、正直これは蛇足のようにも感じますという感想に集約されていると思います。

でも買った。で、よかったのといわれれば、割りとよかったよと答えましょう。なんのかんのいってもキャラクター表はざっとでも見たし、事件の経緯はさすがに飛ばしたけど、インタビューは面白かった。基本的に私は字ばっかりのものって面倒くさくて読んでられないんですが、こういう制作の裏話みたいのってのはやっぱり面白いものですから、ついつい読んでしまいまして、面白かったのは、未見の人には悪いけど書いちゃおう、ニアのさいころタワーのくだりとか、そういう本筋には関係ないけどなんか妙に気になるところとそのこだわりですね。どんどんスケールアップする、エスカレートする。それはこの漫画の本筋にしても同じなんですが、あり得る? あり得ない? ってぎりぎりをついて、もう一歩つっこむと悪ふざけになっちゃうって感じのきわどさが面白かったのかもなあ。でも本筋についてはちょっとやり過ぎたよね。物語の推進感やビジュアルの説得力で押さえ込んでるけど、ディテールを見れば微妙なところはあったと思うんです。けど、そういうところもこの漫画の味だと思えば受け入れられないこともないわけで、いろいろあったけど、良質な、本当に面白いと思えるエンターテイメントであったのは間違いなかったと思います。

『HOW TO READ』で私が嬉しかったところは漫画ですね。ラクガキ四コマと『DEATH NOTE』読み切り版。落書き四コマは、本編が死ぬの殺すのとやり切れない話でしたから、そのギャップでね、なんかすごく貴重な感じがするの。月とエルが馬鹿なこといいあってたりね、そういうの本編ではないじゃないですか。表向きには日常会話なんだけど、その奥に息詰まる攻防戦が!! みたいなのが本編。けど四コマは本当に馬鹿。その馬鹿馬鹿しさが貴重で、なんか本当にこんな馬鹿な漫画だったらなあ。あんな殺伐とした話じゃなくて、なんかこんな平和さがいいよなあと思った。この気持ちというのは本編のシビアさがあってのものだから、そもそも私の望むその前提が間違ってるんですけどね。

読み切り版はすごく意外でした。ストーリーがすごくストレート。割合チープ。なんか本当に少年誌に載る怪奇漫画って感じでした。けど、ラストに連載を彷彿とさせる匂いがします。そして、読みきりでも連載でも、その行き着く先は一点であったのだと思えるところがあって、そうですね、それは死というものの嫌さかげんさだと思います。死ぬってのはどういうことなんだろう、多分こういうことなんだと私は思っているんだけど — 、『DEATH NOTE』っていうのはそういう漫画だったのかもなあなんて思って、だから私には『HOW TO READ』を買った意味がありました。もしそれがテーマであるなら、物語の起伏が凄まじかった連載よりも、シンプルな読み切りの方がより伝わってきたと思います。

最後にちょっと感想。私にとって『DEATH NOTE』は、月とLが手錠で繋がれていちゃいちゃしてた頃が一番面白かった。だからLが死んだ時点で、私にとっての『DEATH NOTE』は終わり。後は全部後日談だったのかも知れないなあなんて思っています。この感想は『HOW TO READ』を読んで、より深まったと思います。

  • 大場つぐみ,小畑健『DEATH NOTE』第1巻 (ジャンプ・コミックス) 東京:集英社,2004年。
  • 大場つぐみ,小畑健『DEATH NOTE』第2巻 (ジャンプ・コミックス) 東京:集英社,2004年。
  • 大場つぐみ,小畑健『DEATH NOTE』第3巻 (ジャンプ・コミックス) 東京:集英社,2004年。
  • 大場つぐみ,小畑健『DEATH NOTE』第4巻 (ジャンプ・コミックス) 東京:集英社,2004年。
  • 大場つぐみ,小畑健『DEATH NOTE』第5巻 (ジャンプ・コミックス) 東京:集英社,2005年。
  • 大場つぐみ,小畑健『DEATH NOTE』第6巻 (ジャンプ・コミックス) 東京:集英社,2005年。
  • 大場つぐみ,小畑健『DEATH NOTE』第7巻 (ジャンプ・コミックス) 東京:集英社,2005年。
  • 大場つぐみ,小畑健『DEATH NOTE』第8巻 (ジャンプ・コミックス) 東京:集英社,2005年。
  • 大場つぐみ,小畑健『DEATH NOTE』第9巻 (ジャンプ・コミックス) 東京:集英社,2005年。
  • 大場つぐみ,小畑健『DEATH NOTE』第10巻 (ジャンプ・コミックス) 東京:集英社,2006年。
  • 大場つぐみ,小畑健『DEATH NOTE』第11巻 (ジャンプ・コミックス) 東京:集英社,2006年。
  • 大場つぐみ,小畑健『DEATH NOTE』第12巻 (ジャンプ・コミックス) 東京:集英社,2006年。

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