2006年10月15日日曜日

中国いかがですか?

 京都・祇園で唯一新刊を扱う町家の本屋「祇園書房」(京都市東山区祇園町南側)が14日、閉店する。観光ガイドや着物、茶道の本など「京都本」を中心に扱い、「祇園の情報源」として板前さんから舞妓(まいこ)さんまで幅広い人々に愛されてきた。店じまいを惜しむ声が上がるが、町家は取り壊され、跡地はコンビニになる。

asahi.com:祇園唯一の書店が閉業 「京都本」並び常連に舞妓さんも - 暮らし

かくして、私の思い出の場所がだんだんとなくなっていきます。祇園書房、実は私はこのBlogにおいてもこの書店に言及しているのですが、それは過去『中国いかがですか?』について書いたときの記述におけるたまたま寄った書店、そしてある日ふらりと立ち寄った本屋のことに他なりません。私は高校生の時分、この近所にピアノを習いにいっておりまして、その行き帰りに祇園書房にはよく寄ったものでした。今でも間取り覚えてます。入った左手にレジ、右に京都関連大型本が平で積んであって、左手奥は漫画、右手には小説の類い。この書店がなくなりましたか。個性的な店がなくなって、全国判で押したようなコンビニに代わっていく。ああ、嘆いてもはじまらない。これが時代の流れというやつです!

私がここではじめて買った本はなぜかいまだに覚えていて、それは天野祐吉の『広告みたいな話』。この本は1990年の出版だから、ざっと十年弱ほど祇園書房には足を運んでたんじゃないでしょうか。大学に入るまでの二年、編入試験対策に院試、それから伴奏合わせ等々。私が『中国いかがですか?』に出会ったのは伴奏合わせにいったそのいきしなでしたね。Office Youをみて、これは面白いと思って、でもその時には買わず、次の伴奏合わせに訪れたその時に買った。この他にはなにを買ったろう。記憶に色濃く残るものがあれば、何気なく買って、何気なく忘れたものもあったはず。

新聞の記事にはかっぽう着姿で料理の本に目を通す板前さんがいれば、けいこ帰りに待ち合わせをする舞妓さんの姿もとありますが、これは実際本当なのです。私は白い仕事着をさっぱりと着た板前も、あでやかな着物召した舞妓も、どちらもみたことがある。ああ祇園らしいなと思う光景でした。彼ら彼女らは私にとってはちょっと敷居の高い世界の住人でしたが、そうした彼らと私の住む普通の世界を繋いでくれる、ちょっとしたクロスロードでもあった書店でした。

でも、私がこの書店にいくことはもうなくなったというわけで、しかたがない、だってここ数年ここにはきていなかった。生活が変わった。ついでがなくなって足も運ばなくなった。けれど記憶に残る風景が消えるというのはただならぬ寂しさです。

引用

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