2008年12月8日月曜日

ネコ式生活

  四コマ漫画もだんだんに高度化、複雑化する中、『ネコ式生活』はシンプルにシンプルを重ねたような構成で、登場人物は猫三匹と飼い主の夫婦。ストーリーも感動的もりあげもない、ただただエピソードを積み重ねていくというスタイルが読みやすく、わかりやすく、そして面白いのですね。描かれるのは、猫のいる生活。ですがその猫が、三匹ともにむやみやたらと個性的で、もう見ていて笑いが止まらなくって困ります。積み上げられるエピソード、その畳み掛けが容赦なくて、腹の皮がよじれるとはまさにこのことかと思うくらいに笑わされる。猫の漫画のはずなのに、そんじょそこらのギャグ漫画よりもずっと面白いのだから恐れ入ります。というか、間違っても電車の中、衆人環視の中で読めない漫画。だって笑っちゃいますから。絶対笑っちゃいますから。

以前、この漫画を実録と勘違いしていたなんていっていましたが、登場する猫たちのそれっぽさは妙にリアルで、モデルかなんかいるのかなあ、そんなことを思ってしまうくらいです。それぞれの猫の個性は、非常に独特で、普通の猫らしくないなんて思うほどであるけれど、でも同時にこんな猫もいるかも知れないと思わせる、そんなところがあるのですね。だから、モデルがいるんじゃないかと思ってしまう。ですが、もし作者が三匹の猫を、まったくのゼロから性格や行動を決めて、作り出したというのなら、それこそ本当かと、そいつはすごいなと、よけいに驚いてしまいそう。それほどに、どこかにいそうという感じがあふれているものですから、これが全部想像なんですよなんてなったほうが、よっぽど現実的ではないと思うんじゃないかというのですね。

けれど、もしニャソさんやムームーさん、ガッツが現実に存在するとなったら、それはそれで驚き、見てみたい、一体全体、あの爆笑の猫たちの現実とはいかなるものか、可能ならば体験してみたい、それほどに興味津々です。ですが、多分現実にはあれほどに面白くはない、それこそ普通の面白さに留まるくらいなんじゃないかなあって思う節もあるのですね。つまり、作者の見せ方、演出のうまさもあるってことです。猫はそれぞれに個性的で、実際猫の普通からも外れるところがあるように描かれていますけれど、でも個性的なペットっていうのは多かれ少なかれいるわけです。実際この漫画の猫たちも、三匹が三匹それぞれに違った個性を持っているから、それぞれの特質が際立つともいえるわけで、もしこれが一匹二匹だったらここまで面白かったかなあ、なんていうけど、ガッツ一匹でかなり破壊力あるからなあ。

どこにでもいる、どこにでもある話とはいわないけれど、特別に珍しいほどではない、それくらいのエピソードだから、そこにリアルを感じるのかと思います。しかし、その出来事をことさらに面白く描いてしまう技術、構成力があるから、面白さは爆発的に増大して、読むほどに笑いが止まらなくなるのです。きっと明日腹筋が厳しいことになるのだろうなあ。腹筋を鍛えるにもよさそうな漫画、それくらいに笑ってしまうんですね。

  • めで鯛『ネコ式生活』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • めで鯛『ネコ式生活』第2巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • 以下続刊

0 件のコメント: