2006年7月4日火曜日

DEATH NOTE

  ついに『DEATH NOTE』が完結です。正直、まだまだ続くと思っていたものですから、すっぱりと12巻で完結させたというのが意外でありまして、だって、実写映画になって、十月からはテレビアニメにもなってと、まさしくこれからが売り時だというのにさ。けどこれでよかったのだと思います。物語的にももうこれ以上引っ張ることはできないというところで、きっちりと終わることができた。多分、これで予定通りなのでしょう。

一応これで終わりとはいえ、第13巻が十月に発売だそうです。13巻が13日の金曜日に出るという、これまた妙な凝りようでして、これまでこんだけつきあってきたんだから買うんじゃないかなとは思いますが、正直これは蛇足のようにも感じます。

さて、ここからは最終巻のネタバレオンパレードなので、まだ読んでない人はくるりと来た道を戻っていただきたい。

以前私のいっていた気になる二人。妙なラブラブっぷりが目立って仕方のなかった日本警察の伊出氏と相沢氏ですが、無事です! よかったー。最終回、最後の最後あたりで櫛の歯が抜けるように日本警察の面子が死亡退職していくんじゃないかと思っていたものですから、あれ以上の犠牲を出すことなく完結したのはよかったと思うのですよ。ほら、相沢氏がいっていたでしょう。自分が死んだ場合は後を頼むみたいなこと。だから相沢氏が殺されたことを引き金として、殺意の波動復讐心に突き動かされた伊出氏が月に肉薄、返り討ち、オーマイ! みたいな展開があるかななんて思ってたんです。で、残りの関係者も全滅、しかしほんのささいなミスをきっかけにして月の計略が瓦解、結果残ったのは弥と死神だけ、リューク、バイバイ、あばよ、楽しかったぜ、バサバサバサ……、みたいな陰惨なラストを思い描いていたから、この終わりかたはよかったのでしょう。

ラストシーンにおける主人公キラの扱いに関しては、やっぱり少年ジャンプだ。ちゃんとメッセージも打ち出して、非常に収まりのいいポジションに着けたなと思っています。当初私は『DEATH NOTE』には友情努力勝利がない、みたいにいっていましたが、それも間違いでした。ちゃんとありましたね。真っ正面から描かれてはこなかったけれど、友情(ちょっと屈折してたけど)も努力もそして勝利もあって、切磋琢磨しあいながらの成長ストーリーは健在だったのだと思い知らされました。

この大量に人の死ぬ漫画。陰惨でしんどい漫画でしたが、それでも随所に細やかな配慮がなされていたところは結構好きでした。犯罪者を中心とした殺される人たち。その人たちの名前を追ってみれば、ちょっと明らかに現実にはなさそうな名字、名前、漢字なのですよね。これ、第1巻から徹底していまして、きっと殺される犯罪者と同じ名前の読者がいたらとか、あるいはそれをいじめの種にでもされたらなど、そうした気配りがされてたんじゃないかと思うのですよね。実際のところはわかりません。あり得ない名前を使うことで、作中であっても架空であっても人をばんばん殺すことのしんどさを和らげようとしたのかも知れません。けど、私はこれはきっと配慮だったのであろうと思っています。

この漫画を通して私が気にくわなかったことも書いておきましょう。それは女性キャラクターの扱いでした。弥は例外的優遇を受けていますが、他はおしなべて愚鈍に描かれています。このこと、以前どこかでいったり書いたりしたかなあ。これ、原作者が女性(ですよね?)だから突っ込まれにくいだけで、もし男性だったとしたら女性蔑視といわれてもしかたないんじゃないかと思うくらいでした。特に月に関わる女の描写はあんまりだったと、あまりにちょろすぎて、おいおい、ええのんか、怒るでしかし、って思っていたことを付言しておきます。

さて、最後に。弥が死ぬんじゃないかと心配していらっしゃった姐さん。よかったっすね。健在ですよ。あ、そうじゃ。もう一言。松田さんがかっこよかったなあ。見直した!

  • 大場つぐみ,小畑健『DEATH NOTE』第1巻 (ジャンプ・コミックス) 東京:集英社,2004年。
  • 大場つぐみ,小畑健『DEATH NOTE』第2巻 (ジャンプ・コミックス) 東京:集英社,2004年。
  • 大場つぐみ,小畑健『DEATH NOTE』第3巻 (ジャンプ・コミックス) 東京:集英社,2004年。
  • 大場つぐみ,小畑健『DEATH NOTE』第4巻 (ジャンプ・コミックス) 東京:集英社,2004年。
  • 大場つぐみ,小畑健『DEATH NOTE』第5巻 (ジャンプ・コミックス) 東京:集英社,2005年。
  • 大場つぐみ,小畑健『DEATH NOTE』第6巻 (ジャンプ・コミックス) 東京:集英社,2005年。
  • 大場つぐみ,小畑健『DEATH NOTE』第7巻 (ジャンプ・コミックス) 東京:集英社,2005年。
  • 大場つぐみ,小畑健『DEATH NOTE』第8巻 (ジャンプ・コミックス) 東京:集英社,2005年。
  • 大場つぐみ,小畑健『DEATH NOTE』第9巻 (ジャンプ・コミックス) 東京:集英社,2005年。
  • 大場つぐみ,小畑健『DEATH NOTE』第10巻 (ジャンプ・コミックス) 東京:集英社,2006年。
  • 大場つぐみ,小畑健『DEATH NOTE』第11巻 (ジャンプ・コミックス) 東京:集英社,2006年。
  • 大場つぐみ,小畑健『DEATH NOTE』第12巻 (ジャンプ・コミックス) 東京:集英社,2006年。

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