『まんがタイムオリジナル』2025年6月号、発売されました。表紙は『沖浪荘202号の漫研部』。漫画家スタイルのつくしがメインでありますね。ベレー帽っぽいのかぶっていたら、それで即漫画家という発想でいいのかどうかわかりませんが、三つ編みにラフなスタイル。実にかわいらしくしあがっておりますよ。そして『となりのフィギュア原型師』、『かむろの異国料理帖』のカットもございます。
『クールな氷上さんは迫りたい』
ミステリアスな氷上さん。謎めいた彼女に恋心を向ける男もいるのだけれど、当の氷上はまるでそういったものに気づかない。氷上にとって重要なのは課長との関係。より深く、より親密に。と思うも、なかなか全然そんな関係にはなれない。
そんな氷上の悩みですよ。女子力の足りなさに気づかされた。そういうのですが、それで目を向けたのが栗園課長!? 部下のボタンをつけなおす手慣れた様。思わず嫉妬を覚える氷上なれど、裁縫に介抱に、ありとあらゆる方面に心配りのゆきとどいた課長に圧倒されっぱなし。で、とどめはお弁当ですか。男飯かと思いきや、えらいことかわいいお弁当で、これ、よほどの衝撃ですよね。ええ、衝撃でしたとも。
氷上に木下がアドバイスします。栗園課長を女子力の基準にしてはいけない。ええ、確かにそのとおりだと思いましたとも。
と、妹たちを育てた栗園課長のおかん力を見せつけた今回。そのラストに当の妹たちと氷上の邂逅が描かれて、おや、これはいったいどういう展開が? ええ、なにか面白いことになりそうですよ。なんてったって、まろんのとなりにいるのはモンブラン先生ですからね!
『となりのフィギュア原型師』
なんか、業の深い工房だな! おこめ代表が聞いていた焚き火の音。作業用ASMRというのですが、そうか、そういうのもASMRっていうんだ。リラックスできる環境音とか流行したことありましたよね。これもその一環。でもASMRというと焚き火とか環境音というよりも、もっと業の深いものが思い出される。半藤のいう添い寝だとか耳舐めだとか。さらにははぐのいう獲物解体音。いや、ほんとにそんなのあるの? 世の中にはいろんな需要や供給があるのだなあ。
ここで斉藤が大失敗。作業中に音声作品聞いてたことがバレてしまった! しかもこれ、つきあってる彼女、もずの自作なのか! 愛されてるし、愛してるなあ! でもこれで代表がその気になっちゃう? はぐの応援を得て、自ら囁きASMRに挑戦!? ねぎらい、添い寝し、ふたりの時間を過ごす、って、暴走ぎみだなあ、代表さん! でも、結局それを渡せないっていうの、ああ、もったいない! せっかく作ったのに!
こういう無茶も若さの特権ですよ! といいたいけど、もし渡していたら、はぐになんていわれてたんでしょうね。
『ムクカノ:無垢で無口な職人彼女と、静かでにぎやかなふたり暮らし』
賢太が椎奈をデートに誘いましたよ! でもどこにいったものか。考えあぐねた挙句、椎奈に聞いてみたらおさんぽだという。町に出てパン屋さんで食べてみたかったパンをふたりで分ける。公園にいって、花壇に咲く花を楽しむ。
なんてことない、けれど日常のすぐそばにある特別な情景。聞けば、椎奈はこの場所に賢太をつれてきたかったという。花が咲いたらきれい。その美しいと思う気持ちを、大切な誰かとともに抱きたかった。心が動いたときに、ともにありたい、同じ感動を共有したいと思う。その素朴な感情こそが好きというものなのかも知れない。
パンのおいしさもそうだったのでしょうね。花の美しさもそうだったのでしょう。同じ場所で、同じ気持ちを共有して笑みを見せる椎奈への愛おしさのこみあげるあのくだりは、本当に素朴で、けれど思いの豊かに広がる、たいへんに魅力的な時間を感じさせるものでありました。
しかし、ほんと、このふたりはよいですね。多くを語らなくとも、その行動が、少ない言葉が、ふたりの気持ちをこんなにも伝えてくれる。素敵なふたりと思います。
- 『まんがタイムオリジナル』第44巻第6号(2025年6月号)
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