2018年8月24日金曜日

『まんがタイムきららフォワード』2018年10月号

 『まんがタイムきららフォワード』2018年10月号、発売されました。表紙は『はるかなレシーブ』。エミリとかなた、ふたりでリゾート? 手に飲み物のグラスを手にしてチェアでくろいでいるエミリと、その向こうに同じくグラスを持って立っているかなたです。なんだか珍しい? そんなこと思わせるふたりですが、揃いの水着、髪に飾った花もおそろいで、このふたり、違ったところもあれど、似ているところもあるなあ、そんなこと思わせるような組み合わせであります。しかしエミリは、落ち着いた性格なのに、華麗さが表に立つ、そんな人でありますね。

『はるかなレシーブ』。今回は、なんかいつもとちょっと違った雰囲気ですね。練習中に倒れてしまったあかりを介抱するという話。最初は、ダイエットしようとしている? そんな話かと思わせて、そこにシリアスを匂わせてくるというのがよかった。あかりのために料理を作る、それで買い出しにいったはるか、かなた、エミリの三人。チョイスがそれぞれ個性的で面白い。対し、あかりを見るために残ったクレア、こちらは実にしんみりとして落ち着いて、そこにクレアの気遣いが見えるところがすごくよかった。あかりの不調、体重気にしてるって、それだけじゃないだろって、そうか、この子、ちゃんと見てるんだ。さらに、あかりの気にしていた美夏と夏希のことにしても、しずかに聞いて、そして自分の考えることを伝えて、その時のクレアもやっぱりいつもと全然違うように思われて、いや、これがクレアの本質ってことなんだろうなあ。いつもとは違った皆の表情を見ることのできた今回。コート外にもドラマ、ありますね。

『あんハピ♪』。今回、前半では響の友人関係描いて、かつてはレンしか友達のいなかった彼女。けれど今でははなこもヒバリもぼたんもいる。そのヒバリからあだ名で呼んでいいといわれて、勢いあまったのかなあ、ヒバリちゃんっていっちゃって、なんだろうこの無垢なるもの。さらに狼狽する様子も実にいい。ええ、響、もっと仲良くなっていきそうです。そして後半にはチモシー、いやさ椿の物語が動き出した模様です。小平先生を探しにいったチモシーが、ついつい聞いてしまった先生の話。ああ、これまで、なんというムチャ振り、そう思われてきた幸福クラスの授業や試験ですが、そこにどういう意図があったかも語られて、あの笑顔の向こうがうかがい知れない、そんな先生の暖かな感情がにじみます。さらに先生の過去の一端も知ることができて、ああ、これ、チモシー、すなわち椿にどういう影響を与えるというのだろう。あの神妙に話を聞いているチモシーが可愛い。そしてその向こうにいる椿はなにを思ったのだろう。ええ、物語が動き出そうとしている、そんな予感がするのです。

『球詠』。めちゃくちゃ面白いですよね。これ、最後には新越谷が勝つ、そう思ってはいるのだけど、いや、本当に? この状況から逆転の糸口、掴めるの? 強豪校相手にして、ほいほい策が当たって勝ち進んで、みたいなことはさすがにできないってことはわかるんです。だけどここまで追い込まれるのか。どんどん余裕をなくしていく珠姫など、見るだにつらい。しかもなにがつらいって、完璧に読みが当たった! なのに、そこでエラーを出してしまう。楽勝のはずのフライを、日光に目がくらんで、落としてしまった。なんという不運。ほんと、ここまで追い込まれないといけないものなのか? 満塁に持ち込まれたという局面で、相手の4番を敬遠する策に出る。これ、芳乃の策だっていうんですが、エグい? そうなの? 敬遠の後に続く策がそうなの? わからない。けれど、相手校の眼鏡さんからすれば、当然の策で、さらにはどうもやって欲しくなかった策みたいで、ここから新越谷の流れに変わる? そんなターニングポイントになろうというのでしょうか。ほんと、先が読めないどころか、現状の理解さえあっぷあっぷな私です。ハラハラどころでない、そんな気持ちで読んでいますよ。

『わかってない』、ゲストです。独特の絵柄。キャラクターに独特のやわらかさがあって、愛らしいだけでなく、不思議な色気を感じさせます。そんな子らが、あの子はあの子が好き、つきあったりするのかな。じゃあ、自分はどうなんだろうって、ほのかに芽生えた恋心を、自分でもそうと気づかず、もてあますようにしながら、そうっとそうっと育てていくかのようなそんな様子。見ていてもどかしく、かといって進んでほしくないような気持ちもあって、そこに終盤の顛末です。見てはいけない、そんな瞬間に居合わせたかのような気まずさや、ついにぐいっと踏み込んだことに、ほうと溜息するような気持ちもまじって、なんとも複雑に感情のからみあって、もつれてほぐすにもとまどいを覚えるかのような感触。むずむずとする、そんな年頃の恋のこと、その質感、手ざわりを伝えるかのような筆致。大変よかったと思います。

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