2008年2月22日金曜日

飛行機・ロケットのひみつ

しみじみと昔を思い出していう、ああ、私が子供だった頃、日本はそれほど豊かではありませんでした。不況だったせいもあるかも知れませんが、ものが身の回りにあふれる、そんな経験は皆無だし、みんなつつましく暮らしていた、そう記憶しています。うちは父が普通のサラリーマンで、そんなに稼いでくるわけでもない、平均というか、総中流っていいますか、貧しくもないけれど裕福でもないって、そんな家庭であったんですね。そんなうちで子供時代を過ごした私は、本がなによりの贅沢で、そんなには買ってもらえなかったのですけれど、たまには買ってもらえることもあって、漫画だったら『ドラえもん』そして『ひみつシリーズ』、それくらい。でもそれで満足していた。そんな時代でありました。

なんでこんな話になったかというと、テレビ見てまして、海外の風景が映って、ああ海外旅行いきたいなあ。そんなこと思って、けど私、子供の頃、自分が海外旅行にいける日がくるだなんて思いもしなかった。それこそ、飛行機だって乗れないだろうって思っていて、それが北海道への家族旅行、飛行機に乗って、移動して、ああ、子供の頃の夢がひとつかなったって思ったのでした。

飛行機なんて、それくらいすごいことだった。少なくとも私の中では。ましてや海外旅行なんて夢のまた夢。だって、私が子供の頃って、おいそれと海外なんていけるもんじゃなかったんですよ。『アメリカ横断ウルトラクイズ』。三十代くらいの人だと覚えがあるでしょう。クイズに勝ち残ってアメリカはニューヨークを目指す。秋の恒例特番で、二時間のスペシャルを四週連続くらいでやって、すごく人気がありました。アメリカなんていけるわけないよ、けどもしかしたら、そんな思いで参加した人が残ってしまってさあ大変、テレビの向こうから、係長、会社休んじゃってごめんなさい! なんて謝ってるんですね。なんかおおらかな時代でした。

全盛を誇った『アメリカ横断ウルトラクイズ』の人気、陰りを見せたのは、海外旅行が身近なものになったからだと思っています。それまではハワイでさえも、小金持ちのいくところでした。クラスで海外にいったことのあるという子供、一体どれくらいいたろう。いなかった? いても、ちょっと金持ち風ひけらかす感じでね、すごい! 羨望です。『ドラえもん』でいえばスネ夫のポジションですね。そして私はさながらのび太で、きっと自分が海外旅行にいくことなんてあるまい、そう決めつけていたんですね。

飛行機は、私にとっては憧れの機械。自分が乗る乗り物ではなくて、それこそロケットやなんかと同様、手の届かない、特別な、選ばれた人のためのものでありました。それが今は乗ろうと思えば乗れる、ロケットだって、民間人が宇宙に出られる時代になってますからね。今は高嶺の花でも、私がいきているうちに小金持ちの娯楽くらいにはなりそうな勢いです。まるで夢のようですね。ええ、正直なところいいますと、子供の頃、子供部屋の床に座り込んで夢見た未来、越えてしまっています。ああ、すごい時代だな。今は不況だ、なんだかんだいいますけれど、私の実感からすれば豊かな時代です。少なくとも日本においては。これから先はわからないけれど、確実に私の子供だった時代よりも豊かであるといっていいかと思います。

海外になどいけるはずがないと思っていた私は、2001年、イタリアにいったのを皮切りに、香港・マカオ、中国は九寨溝と、もう三度も海外に出ているんですね。本当、信じられない。子供だった私は、これからの一生で、一度でも海外にいけたらすごいなって思っていました。二度ならどんなだろうって思ってました。それがもう三度もいっているんですね。飛行機に乗ることすら無理だろうと思っていた子供でした。それが海外にまでいけて、もう私は子供の頃に夢見たことはすべて果たしてしまった。だから、今はもう余生なんだよと、これで死んでしまうことになったとしても、子供の頃に夢見たことはすべてかなったんだから、もういいんだよって、しみじみ話した時の母の複雑な表情が忘れられません。

けど、ほんと、もうすべてかなったんだなって。自分は、決して裕福でもないし、余裕もなにもあったもんじゃない、ほんとにしょうもない人間だけれども、それでも仕合せな人生を歩んできたんだな。そんなこと話したくなる夜もあったのでした。

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