2007年9月7日金曜日

おねがい朝倉さん

   『まんがタイムmini』を知っているかね? かつてコンビニ売りのペーパーバックコミックスが流行った時代に、芳文社からでていたペーパーバック四コマコミックス。各号ごとにテーマが決められていて、テーマに沿った四コマが三タイトル収録されていた、そういうものがあったのです。その第5号が題して「働くスーパーお姉さん」号。大乃元初奈の『おねがい朝倉さん』、山田まりおの『スーパーOLバカ女の祭典』、ふじのはるかの『むきたまごビューティー』の三本立てでした。そして、これが私の大乃元初奈初遭遇となったのです。

いやあ、面白かったですね。こんなに面白い漫画があったかと思ったものでした。見れば単行本1巻が発売中。即買いにいって、さらに『まんがタイムジャンボ』の講読も開始。この頃ですよ。私が購読誌を拡大させたのって。最初買っていたのは『まんがタイムラブリー』だけだったのが、『ラディカル・ホスピタル』をきっかけとして他誌に手を広げ、『まんがタイムmini』買ったのもその絡みだったんですよ。第1号が「あたしのかわいいお医者さん」号だったのです。『ラディカル・ホスピタル』を目当てに買って、そしてそのまま買い続けた。その結果が『おねがい朝倉さん』からの『ジャンボ』講読開始。こうやって、どんどんと買う雑誌を増やしていったという、もう一種の業ですね。

しかし、それにしても『おねがい朝倉さん』面白かったですよ。けど、そのわりにこのBlogにおいて『朝倉さん』に関する言及はありません。昨日の『大人ですよ?』が初言及でした。なぜかといいますと避けていたんです。書けばきっと愚痴になるから。私は、あまりに初期の朝倉さんが好きすぎたせいで、その後の『朝倉さん』を正当に評価できなくなっているのです。さらにいえば、すべての大乃元漫画に対してもそう。単行本は買っています。けれど言及しない。だって、きっと読んで気持ちのいい文章にはならないってわかっているから書かない。ほら、この文章がすでにそんな感じでしょう? 昔はよかった、初期の頃はよかったなんて書くくらいなら書かないほうがましだと、私はそういう風に考えてこれまで口をつぐんでいたのです。

でも、もしその初期の『朝倉さん』を知らなかったら、男っぽいさっぱりとしたしゃべり口で、武道有段者は普通の人とバトっちゃダメだから私は帯は白 絶対段取らないなんていってた頃の朝倉さんを、オレ朝倉見て女の中にもこんなに男らしい奴がいるんだとわかったよなんていって感謝されてた朝倉さんを知らなかったら、その後の見方はどうだったんだろうって思うんです。多分、あの頃よりも強烈に好きになることはなかったと思う、けどその反面、変に屈折した視線を送ることもなかったと思う。雰囲気の楽しい漫画だなと、そういう穏当な評価で、普通に読んで、普通に楽しんで、Blogなんかにも普通に書いていたんじゃないかなと、そんな風に思うんです。

嫌いかといわれると嫌いじゃないです。けど、男らしいというか、さばさばとしてシビアだった朝倉さんが好きだったから、後の妙に女くさくなってしまった朝倉さんは正直苦手で、けどこれってあれやんね、癒し系なんてのがいっときはやったけど、あれに引き摺られ過ぎたんだと思う。某所では癒し系との評価高かった私(猫かぶってたからな)ですが、実は癒し系なんて大っ嫌いだった。具体的には名前出さないけど、NHKテレビのフランス語会話に出てた癒し系タレントとかも、大っ嫌いだった。あの当時、各種メディアをはじめいたるところで口にされた癒しなるもの、嫌で嫌でたまらなかった。そんな私にとって、朝倉さんの癒し系シフトは血涙ものの設定変更であったといって過言ではありません。

けど、それでも心底嫌いになったわけでなく、漫然とまだコミックス買って、連載も読んで、けどもうあんなには燃えあがれなくて……。

朝倉さんひいては大乃元初奈に関しては、本当そんな感じなのです。

  • 大乃元初奈『おねがい朝倉さん』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2002年。
  • 大乃元初奈『おねがい朝倉さん』第2巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2002年。
  • 大乃元初奈『おねがい朝倉さん』第3巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2003年。
  • 大乃元初奈『おねがい朝倉さん』第4巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2004年。
  • 大乃元初奈『おねがい朝倉さん』第5巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2005年。
  • 大乃元初奈『おねがい朝倉さん』第6巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2006年。
  • 大乃元初奈『おねがい朝倉さん』第7巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2007年。
  • 以下続刊
  • 大乃元初奈『よろしく神田さん』(まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2005年。

引用

  • 大乃元初奈『おねがい朝倉さん』第1巻 (東京:芳文社,2002年),9頁。
  • 同前,55頁。
  • 松本隆『Sweet Memories』。

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