2007年9月20日木曜日

東方三侠 ワンダー・ガールズ2

 昨日いっていた『東方三侠 ワンダー・ガールズ』ですが、あれで終わりではありません。続編があったのです。しかも、来週この時間で放送しますなんていってくれましてね、ありがとう、ぜひ見ましょう。なんていうくらいですから、わりと気に入ってるみたいですよ。やれ荒っぽいだとか、やれ無駄に人が死にすぎるだとか文句いってたくせに、続きがあるとなれば見たくなる。だって、なんだか妙に興味をそそるんですもの。そしてテレビ放映を見る前の時点で、この映画のDVDが出ていることには気付いていました。最寄り駅前CDショップ店頭のワゴンで見付けて、ざっと裏面解説見たらば、なんと核戦争後の地球が舞台らしい! わお、これはまたえらい張り込みましたな。頑張りすぎにもほどがあります。

前作も結構陰鬱とした暗さが立ちこめた映画でしたが、それでもときに自然を感じさせる風景、日常を感じさせるシーンが挿入されて和ませてくれたものです。ですが、今回はそういったシーンはまずもって皆無。核により汚染されてしまった世界では、水がなによりも貴重品であり、水浄化技術を開発した科学者は水供給会社を作るのみでは飽き足らず、思い余って世界の覇権を握ろうとする。そしてそれを阻むのがワンダー・ガールズだ!

と思っていたんですが、なかなかそういう方向にいかないのが微妙でした。まず、前作で和解(?)したサンを加えたトントン、チャットの三人。この人たちはなにをやっているかというと、サンは前作の敵の手先であったカウ(不死身の怪人)をともなって医療品を運搬するなど、世のため人のために頑張っているのに対し、チャットは水供給会社のトラックを襲って水を奪うなど、しかもその奪った水を皆に分け与えるのではなく、トントンのうちに持ち込んで、シャワーだ風呂だと浪費する、まあ前作同様奔放にやっているってことですね。で、我らがワンダーウーマン、トントンはどうしてるかといいますと、一女の母となっておりました。なお、夫(警察官)との約束でワンダーウーマンになるのは禁止なのだそうですよ。

この映画って金城武のデビュー作なんだそうでして、彼の役はどんなかといいますと、水供給会社を通じて世界を牛耳ることをたくらむ科学者のもとで、民衆を先導するという、いわば新興宗教の教祖、太平道における張角みたいな感じといったらいいと思います。ですが、金城武は実はいい奴。何度か警官隊と衝突はするものの、最終的には和解して……。つまり、ここでトントンの夫と金城武がからむわけですよ。

さて、ここで問題があります。前作ではチャットが問題をややこしくしているっていってました。もちろん、今回でもそうなんですが、金に目をくらませて、事態を悪化させて、けどチャットはまだいいんです。今回の目玉はトントンですよ。一触即発の集会を警備すべく配備されている夫の元に、子供連れで弁当届けにきたりしている。おいおい、それは駄目だよ。案の定暴動に巻き込まれちゃって、大騒ぎになって、そりゃあの夫でなくとも、なんて母親だと罵りたくなるってものです。さらには、うちに子供をおいたまま、またも夫の配備された現場に顔を出したりして、ってちょっと待てよ。あんたがそんなふらふらちょろちょろしてなかったら、ええっと、ちょっとネタバレになるけどいいよね、夫子供と離れ離れになることもなかっただろうし、脱出行もスムーズにいったのじゃないのかい? それに軍に監禁されてからもさ、なんかその意図というか意思というか、つかめないんです。一旦は希望を失って、けれど毒を盛られて死んでいった収容者たちを見て奮起でもしたのか — 、けどその奮起のしかたはおかしかったと思う。食事をもるスコップめいた金属製の食器? それとも柄付きの鍋かな。それを、こっそり手に入れたボルトを使ってこつこつと加工して、なにしてるのかと思ったら、ワンダーウーマンの仮面を作っていた。いや、演出の意図はわからないでもないです。ワンダーウーマンの復活を見せたかったっていうのはわかります。けど、このやり方はどうだろう。別にこの人は仮面をかぶったら強くなるわけでなくて、もともと強い人が仮面をかぶってるだけだから、獄中のネズミを捕まえて餓えをしのいでなんていうシーンをあえて入れて、悲壮感を漂わせる必要もあったんだかどうだかという気もしますし……。

というところを突っ込みながら見るのが多分いいのだと思います。例えばラストなんかでも、ちょっとなんで科学者がそんなに強いんだよ! とか。まあ、身体改造なんかをしてたのかも知れませんね。

昨日もちょっといっていましたが、本来こうした作というのは、ストーリーやらなんやらはベタでわかりやすく、かわりにアクションを爽快にというのが筋だと思うんです。勧善懲悪を基本に、最後にはぼこぼこに悪をやっつけて、さっぱり爽快にいこうぜっていうのが本来だと思うんですが、たまに香港映画ってやってくれます。例えば、スイカ頭が爆死したり(『幽幻道士』ね)、あとジャッキー・チェンの映画でもサモ・ハン・キンポーが爆死したりしてませんでしたっけ? このへんの狙いもわからんでもないんですが、わりと重要な役どころを壮絶に殺して、そのインパクトで感動に持ち込むというか。けどさ、『東方三侠 ワンダー・ガールズ2』はちょっと殺しすぎ。前作でも無駄に死んだ人が多かったなんていってましたけど、今回はそれに輪をかけて無駄死に感が強く、めちゃくちゃ後味悪かったです。なのに、最後の最後、まるでめでたしめでたしみたいに終わって……。

ハリー、見知らぬ友人』では、そうした違和感も含めて意味がありそうだなんていってましたが、『東方三侠2』では多分そういうのはないと思います。だからなおさらやりきれんなあなんて思って、まあこの映画に関してはストーリーに深く移入するなってことなんだと思います。

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