2015年2月1日日曜日

しゅばりえーる

 『しゅばりえーる』はなんだかすごく楽しくってさ、読んでてほのぼの、なんか嬉しくなってくるようなところが魅力になってるのでありますよ。舞台は中世フランス。いやあ、最初はもっと緩い、設定とかもほぼ架空のフランスみたいなのだと思っていたんですけど、どうも読み進めていけば、時代も国も取り巻かれた状況も、結構史実に沿ってるみたいでしてね、おおう、じゃあ、いつかこの子たちも戦争に出ていったりするの!? もうね、はらはらしたり、心配したりしたものでしたよ。いや、その心配は今もなお続いています。

田舎貴族の子、セリーゼがひょんなことから拾ったツヴァイヘンダー。それがきっかけで女子騎士学校に入ることになるっていう話です。剣術の心得なんて全然ないし、騎士の事情だってよくわからない。けれど持ち前の腕力でもってツヴァイヘンダーを軽々ふるって、一躍一目置かれる存在に。ちょっとした注目の新入生ってところですね。都会の騎士の生活に触れて驚いたり、かと思ったら、もともとは料理人志望。その腕前でもって美食家サツキも、またその姉ツバキもとりこにしたりと、なんだろう、ほんとにまったくほのぼのの女子騎士修行。登場人物、みんながもう可愛らしくって、見てるとすごく和むのですね。ああ、こんな楽しい時間がずっと続けばよいのにな。そう思わされる、やさしげなタッチの漫画なのであります。

我らがセリーゼと一緒にいるのは、派手好きなサツキ、常識人っぽいヴィオレット、そして心優しいジャスマ。これがね、ほんといいキャラクターしてまして、この漫画の雰囲気、タッチ、それはやっぱり皆の性格あってのことだなって改めて思わされましたよ。サツキなんてお調子者で、実力こそはあるものの結構な軽はずみ。そんなサツキを陰に日向に支えたいと思っているヴィオ。セリーゼのこと大好きなジャスミン。皆が、それぞれに独立した個性を持って動きながら、それぞれに関わりあって、なお互いのよさを引き出している。その関わりよう、日々の活動のいろいろが多様に色合いを違えて、こんな魅力、あんな面白さを提示してくれるものだから、退屈することなしに、心とらわれて読み進めてしまいます。

けど、ほのぼのだけじゃないんですよね。美少女が、ただ集まってわいわいやってる、それだけじゃないんです。セリーゼの女子騎士学校に入ろうという時のエピソードなんて、もう、ほんと、あれは素晴しかったわ。あんまりは詳しくいいたくない。だってね、やっぱりなにも知らない状態で読んで欲しいって思うじゃないですか。なので、ここは簡単に。いえね、都会で学び騎士を志すセリーゼを応援したいと思う家族の気持ち、それを受けるセリーゼの気持ち、そのしみじみと訴えることったらどうだい。ちょっとしたことなんだ。ちょっとしたことなんです。ささやかなこと、ちょっとしたできごとに、セリーゼはじめ皆の気持ち、情感、思うところなど、機微が鮮やかに光射すようにして立ち現れて引き付ける。私、女子騎士になるんだよ! セリーゼの意気込みにはっとさせられて、そうした瞬間の魅力がたまらないなあ。なんだかね、しみじみするんですよ。活躍すれば嬉しくて、楽しそうにしてるの見ているだけで満ちるものあって、この子らのこと見守ってる、そうした気持ちがもう本当にこの漫画を、大切なものにしてると思うんですね。

  • だいせ『しゅばりえーる』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2015年。
  • 以下続刊

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