2014年1月3日金曜日

ハレハレハレルヤ!

 『ハレハレハレルヤ!』、こののんびりさ加減は、なんだか癖になってしまうのです。立入禁止の旧校舎、多目的室を占拠して、放課後をのんびりゆるゆる謳歌している園芸部員たち。謳歌していたのは、しな乃、皐月、泉の三人。そこに、偶然みずほが迷い込んでしまうところから物語ははじまるのですが、このみずほという子が、またいろいろと残念で、まず第一にものすごい方向音痴。掃除が終わって、ゴミ袋をゴミ捨て場に持っていく、それだけのことができない。見事に迷って、いきついた先が旧校舎。ひとりで学校にくるのもあやしいらしいというんですから本物です。いや、そんな本物、困るよなあ。

当初のね、みずほが微妙に怒られてた時の雰囲気、あれが好きでして、呼び捨てにしちゃったら、一応先輩なんだけどね、私達。釘さされたりしまして、もう平伏ですよ。その後もちょくちょく失敗して正座させられてる、それがもう、あ、また怒られてる、なんだかくすっと笑ってしまうような、そんな愛嬌になっていると思うんですね。

そういう意味では、皆、チャーミングなんだと思います。みんなのお母さんみたいになってる皐月も、別にひとりとりわけ大人というわけでもないし、人見知りの泉も別に人嫌いというんじゃない。みずほを受け入れて、交流して、仲良くなっていく、そういう親しみ、暖かみ、とてもよくって、ちょっとだけお姉さん、皆みずほのこと可愛がってると感じられるところなど、なんだか見ていて微笑ましい。けど皆それぞれに子供っぽさも残していて、あの遊園地の回とか、本当に楽しそうにしてる。そうした、ちょっと年上、けど大きく見たらそんなに違わない、同年代の子らの集まって、その面白さ。現実というより、夢とか、そういうのに近いのだと思うのだけど、それだけに心地よいと感じられるのでしょうね。

さて、意図的にあまり触れてこなかった人、しな乃先輩ですよ。この人が実にいいと思うんです。自由な人、面倒見のいい人、運動が得意で、かと思えば勉強もできる。園芸部の発起人にして、旧校舎の多目的室を発見したのもこの人。よくも悪くも、この四人の中心にあって、ぐいぐい引っぱっていく。この人の原動力は、絶対、自分が楽しいかどうかだと思う。けど、そのわかりやすい行動原理がゆえに、見ていてさっぱりすっきりと気持ちいい。すがすがしい人だと思うんですよ。なんだかいつもは皐月に甘えてるというか、いろいろ面倒見てもらってるみたいなんだけど、いざとなったらすごく頼りがいがある。そんなしな乃先輩が大好きで、ええ、私もしっかり牽引されているみたいですよ。

  • つっつ『ハレハレハレルヤ!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2013年。
  • 以下続刊

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