2006年9月26日火曜日

missing

 その頃は私はSAJUなんて名前さえも知らなくて、だからmissingを買ったのは本当にちょっとした偶然でした。中国語をはじめて、言葉の響きに馴染むにはその言葉で歌われている音楽を聴くのが一番だということで、チャイニーズポップスを買いにいったのです。その時、どうせならもう一枚と思い、余計に買ったのがこのアルバムでした。つまり、ジャケ買いというやつですね。クレジットされている名前も知らなければ、入っている曲がどんなのかもわからない。そもそもジャンルだってわからないんです。だってね、英語の歌とかだったら結構細かくカテゴリが分けられてたりするんですけど、こういう中国語やなんかとなると、十把一絡げにワールドだったりするじゃありませんか。逆にいえば、そういう乱暴なカテゴライズだったから出会えたともいえます。だって私はチャイニーズポップスを買いにいったのですから。SAJUが艾敬のすぐそばにあったというのが巡り合わせというものなんだと思います。

私は未だにこのアルバムがどういうジャンルに含まれるかわかっていないのですが、帯を見ればアンビエント・エスノ・ミュージックとあるから、つまりはそれなんでしょう。エスノといえば民族的なということだから、民族音楽色の強いアンビエント。よくわかんないですね。けど、このアルバム、私が気に入っているということもさておき、実は多方面で受けがよかったりしたのです。私が占いをやっていたというのは以前ちょっといっていましたが、セッションの時、バックグラウンドでこのアルバムをがんがん流していたら、お客さんが気に入ってしまって、CDの番号を控えて帰られた。こういうときは私もなんだか嬉しくなります。自分の興味やなにかが誰かの感性と繋がったみたいな感じがするものですからね。

最初私は気付いていなかったのですが、このアルバムには民謡が二曲含まれていて、それはどれかといいますと、二曲目のrunning towards the west、これは中国民謡、それからsekeraso、こちらはチベット民謡。民謡が含まれていると気付いたのは、ある日NHKの昼の番組で中国からきた民謡歌手が紹介されていたことがあったのですが、その人たちが一曲歌って見せたその歌というのがrunning towards the westだったのです。無伴奏、素直な節回しで歌われるその歌はSAJUのものとはずいぶん印象を違えていましたが、けれどまったく同じ曲であることは一聴すればわかります。つまり、SAJUは原曲に忠実に歌ってみせながら、しかしその歌をアンビエントジャンルに非常によく溶け込ませているのです。これってなんかいいなあ。私は民謡に興味を持っているといっていますが、その民謡とは決してイギリスをはじめとするヨーロッパだけのものではなく、日本のものにしてもそうだし、そして中国にしても同じです。そんな私にとって、SAJUのrunning towards the westはすごく魅力的であるのです。古くからの音楽が新しい様式に出会って調和しているという、それってすごく素敵なことで、だからもっとなされていい試みだと思うのです。

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