2006年8月18日金曜日

The Rider Tarot Deck

  よく人のことを見ているね。私はそんな風にいわれることが多いのです。といっても、じろじろ眺めまわしてますっていうわけじゃないんですよ。身近にいる人の人となりをそれとなく察知して把握するという能力に長けているといわれることが多いのです。でもこういうのって、いろんな職場を点々としながら働いている人なら、誰でもやっていることですよね。つまりひとつ職場に長居してこなかった私もその例に漏れず、職場の雰囲気、周囲の人間模様の把握に努めてきたんです。でも、多分私の場合それだけじゃありません。これまでの奇妙な職業体験のなかにぽつりとある占い師という経歴。これが利いているのかと思います。

ただただ人を待って、なんの因果か向かいに座ったというだけの初対面の人にずけずけと話をするというのが占い師であると思うのですが、これって正直気分は果たし合いでした。だってわかるわけないじゃんよ。知り合いでもない、名前さえも知らないんです。けどわからないとはいえないのです。だから、カードの出た目を必死に読んでああでもないこうでもないと検討して、おそらく現状にもっともふさわしいと思われる解釈を出してみる。その反応を参考に読みを深めていく。最初の一言で相手は味方にも敵にもなるのだから、本当に緊張しましたね。

さて、私はタロットを使う占い師だったので頼りはカードの出た目であったわけですが、でもカードと同じくらいに頼りになるものがありました。それは、向かいに座っている依頼者その人です。服装、顔つき、しゃべりかた、しぐさ、あらゆるものが雄弁にその人自身を物語ります。そうなんですね。やっぱり占いの出発点は本人なんです。本人の人となりを出発点として、カードを経由し、そしてその人の中にある答えに到達しようというのが、私のタロットであったかと思います。そういう意味では、占いというよりももっとありきたりな、自分自身を見つめ直そうというセッションであったのだと思います。

とはいえ、依頼者が私に心を開いてくれるかどうかが最初の分かれ道、そういう意味ではやはり最初の一言というのは大きいのですよ。占って欲しいことを最初に聞き取りしますが、どうしても洗いざらいにというわけにはいきません。だから、与えられた情報に本人の人間を加える必要があって、つまり信頼を勝ち取れるかは最初の人間観察の結果に大いに影響されるといっても言い過ぎではないと思います。

さて、以上は余談。私がはじめて買ったタロットはSwiss 1JJという伝統色の強い、けれど独自性もあるというデッキでした。けど、今占いに使うとしたらWaiteを選ぶんじゃないかと思います。数札がトランプ同様ただの数札である1JJと違い、Waiteは数札もイラストで表現されているから大変にカードの意味をつかみやすいんです。なにしろ私はもう何年もちゃんとは占っていませんから、ここで普通の数札を見せられてもピンとこなくなってるんですね。だから、Waiteが便利です。

一時期はミニチュアのWaiteを持ち歩いていました。頼まれれば、どんなときにでも占えるようにとの配慮ですが、最近は私が占いやってたということを知っている人もまれになりましたから、持ち歩かなくなって久しいです。去るものは日々に疎しといいますが、カードにおいてもそれは同様、占わなくなった私はだんだんと鈍くなってきていて、以前のようにはもう占えなくなってしまっています。

けど、それでも日常生活には充分すぎるくらい詳細に人となりを観察できるのは、あの時の経験があってのことなんだろうなと思います。なんでもやっておくことは助けになるんだなと思います。

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