2006年8月7日月曜日

本当にあった読者の最強ハプニング

  私は四コマ漫画をよく読みますが、それでもあえて手を出さないジャンルがあるのです。それはなにかといいますと、いわゆる実話系といわれるジャンルで、読者から寄せられた体験談をもとにして構成された、赤裸々体験談を漫画化したものといえば伝わりやすいかと思います。なんでこれには手を出さないかというと、見るに堪えない、読むに堪えないというようなものがままあるからで、身近にこんなおかしなことがあったんです、というのならよいけど、こんな嫌なやつがいるんです、というのならまだしも、だからこんな復讐をしてやりました、みたいなのになると、笑えないよなあなんてことにもなりかねなくて、だから基本的にこのジャンルには近づかないようにしているのです。

でも、毎度毎度のことですが、ダブルスタンダードが私の基本です。つまり、実話系でも読むものがある。例えば『まるっと病院パラダイス』なんかがそうでしたね。そして作者によってはやっぱり読むのであって、それが今回取り上げようという、たかの宗美の漫画です。

たかの宗美は多作な作家です。ナンセンスギャグを描いたかと思うと、ペットものも描いていたりして、そして実話系でも描いていた。目録を見ると『本当にあった笑える話まるごと読者投稿』というのがあったみたいですが、これいつの間に出て、いつの間に消えたんでしょう。2004年時点ならすでにたかの宗美にはまっていたはずなのに、思いがけず見落としてしまっていたようです。というわけで、私の初の実話系たかの宗美遭遇は『本当にあった最強オフィスハプニング』と相成ったのでした。

オフィスに起こるおかしなできごとや、不思議な人たち、そしてやっぱり嫌な人やその人への仕打ちみたいなものもあって、けど割りと嫌な感じはせず、それどころか読んでいて面白いと思えたりもして、これは多分たかの宗美の作風あってのことなんでしょう。この人の描く漫画は、ちょっと突き放し気味というか、あっさりとした味があって、そのせいで下手するとしつこくなりかねない実話系のネタが、テンポよく、嫌みも抑え目に表現されるのかと思います。『オフィスハプニング』ではオフィスのできごとに限局されるから、余計にそういう印象を強くさせたのかも知れません。面白かった。特に自衛隊関係のネタ(自衛隊ってオフィス?)がすごく面白くて忘れられないほどです。

で、『本当にあった読者の最強ハプニング』。ちょっと苦手な感じのネタも多い(ブス系は大嫌い)のですけど、けどブスだからと一方的に蔑視されたりするというネタは実はないんですよね。だからか、結構苦手ながらも読めたりなんかして、そしてやっぱり私にとって非常に面白いと思えるネタもあって、例えばそれは化粧が病みつきになった夫だとか、罰ゲームの勢いで男同士で関係を持ってしまった話だとか、たいそう面白かった。これはネタがというわけじゃないけど、初物を食べるときは東を向いて笑うとかもおかしかった。結局はこの人の表現の仕方が好みにあってるのだろうと思います。そしてこの人の漫画がとにかくいろいろ出版されるというのは、私同様に感じている人が多いということでもあるのでしょう。

あ、ここで異例の蛇足。23頁「誤爆」の彼女さん、かわいいよねえ。ウルトラにかわいいよねえ。いや、単にそれだけ。それだけの話です。

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