子供の頃、夏休みになると朝に古いアニメが放送されるのが恒例で、『はじめ人間ギャートルズ』とか『ど根性ガエル』とか、懐かしい、本当に好きで、毎年この恒例の放送を見るのを楽しみにしていたのでした。そしてですね、忘れてはならないタイトルがありまして、それは『トムとジェリー』。好きでしたよ。内容はというと、実にアメリカらしいどたばたのコメディで、ネズミのジェリーとそのライバルであるネコのトムが、食うか食われるかの戦いを繰り広げるという、文章で書くと結構どぎついですね。でも実際は、ネズミのジェリーのしたたかさがトムを圧倒しましてね、まさしく、あべこべだネコ叩き、てな様相を見せるのでありました。本来の狩る側狩られる側という立場が逆転したアニメでして、私ら子供はもう大喜びで見ていたものでした。
以前、いっていましたね。Amazonがやっているキャンペーン、DVDを三枚買うと一枚が無料になるというやつですが、本命である『チャーリー・ブラウンという男の子』、『帰っておいで、スヌーピー』と併せて購入したのが、この『トムとジェリー アカデミー・コレクション』なのでありました。
いや、懐かしいですね。あのオープニングのライオン。がおーってほえるんですね。いや、本当に懐かしくって、あのテーマソング「トムとジェリー、仲良くけんかしな」がないのは残念でしたが、それで本編の面白さが変わるわけでもありませんから特には気になりません。けど、見てて思ったんですが、私は老いちゃったんだなということに気付かされてしまいまして、ええとですね、私はいつしかジェリーよりもトムに感情移入するようになってしまっていたのですね。
考えてもみてください。トムはですよ、あのうちに飼われている家猫です。そしておそらくは、ただの愛玩動物としてではなく鼠を駆除することを期待されている。とここまで諒解してくださったら話は早い。仕事として鼠を駆除しようと努力する、それも結構な努力しているトムをですよ、あの世界はひどい仕打ちでもって報いるんですね。そりゃジェリーからすればトムは敵ですよ。あらゆる手段で抵抗します。それはいいんです。でもね、偶然からなにからなにまでがトムに対しては逆風です。あの世界ではあらゆるものがトムの邪魔をするように仕組まれていて、見ていて私はトムがかわいそうでしかたがなかったのです。
その点、生き死にの関係しないような話、ほら『アカデミー・コレクション』なら「ピアノ・コンサート」とか(これもちょっとあんまりですが)、そして「ワルツの王様」。「ワルツの王様」はよかったです。正直、これがなかったら私は今になって『トムとジェリー』に幻滅したかも知れない。やっぱり私には、こういう平和的なもののほうが好みのようであります。
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