2006年8月9日水曜日

ラディカル・ホスピタルよりぬきキャラクターズファイル

 私のひらのあゆ初遭遇はまさしくこの『ラディカル・ホスピタル』でありまして、衝撃でした。私の購読している『まんがタイムラブリー』に突如あらわれたかと思うと、それがもう面白いのなんのって。私はそれまでは『ラブリー』一誌しか買っていなかったのですが、『ラディカル・ホスピタル』求めて他誌まで買いはじめるようになって、そして今に至る。大量の四コマ漫画誌に埋もれるような生活を送るきっかけとなったのは、間違いなく『ラディカル・ホスピタル』との出会いであったのです。

そして、その『ラディカル・ホスピタル』の単行本は11巻を数え、さらにはよりぬきまで出た。ああ、よりぬき。魅惑の響き。最近はよりぬきってあんまり聞かないですけど、昔は結構ありましたよね。うちにも『よりぬきサザエさん』とかありましたよ。あんまりに大量に単行本が出たせいで、途中から知ったという人に敷居が高くなって、よりぬきというのはそういう人への救済なのだと思います。いわばベスト盤。今からアルバム全部を集めるのはしんどいけど、ベスト盤なら欲しいなあ。そういう需要に応えるのが『ラディカル・ホスピタルよりぬきキャラクターズファイル』であると思います。

ベスト盤だから、既刊を全部揃えているよー、なんていう読者にはちょっと不足かも知れません。そりゃそうですよね。単行本に載っていないようなのが収録されたら、その数ページのために買わないといけないはめになります。それじゃそれこそ、ベスト盤に新テイクだとか未発表曲が収録されているようなもので、だから私はこの仕様は結構良心的だと思います。って、既刊全部そろえている私がなんで知ってるの? 簡単な話です。買ったんです。既刊全部揃っているというのに、買ったんです。しかたない、マニアだから。本当にマニアというものはしかたがないと思います。

私はタイトルに『キャラクターズファイル』とあるから、てっきりそれぞれのキャラクターに特化したような話を出していくのかななんて思っていたのですが、実際には普通のハイライト集みたいになっていたのが意外でありました。キャラクターの紹介とかもありますが、それもあんまりガツンとはこない感じかな。全体に薄味といっていいと思います。

けど、薄味で多分正解です。だって、私らみたいなのはコアな部類であって、こういう連中に満足行くように作ったら、一見さんには正直きついでしょう。帯にもあります。ラディカル・ホスピタルを初めて読む人へのガイドブックです。よりぬかれている漫画は実際結構悪くないバランスで、十冊を超える既刊からよくうまいことこれだけ抜いたなと思いました。そりゃ人によっては、ええーっ、なんであの話が入ってないの? みたいなこともあるかも知れないけど(私にとっては「コアラよ」がなかったのが残念)、でも結構うまい取捨選択であったと思います。でも、時系列や話のつながりをまったく関係なしに抜いて並べてなんらおかしいと思わせないのは、それだけ一回一回の話が独立して機能しているという証拠なんでしょうね。読む人にも無理させず、毎回のテーマを理解させつつ、大きなストーリーというのもないわけではないという、このマルチな読ませかた。やっぱりよくできた漫画だなあと思います。こうしたベスト盤の成立することが、逆に『ラディカル・ホスピタル』の完成度の高さを表してるのかもなあと思ったりしたのでした。

ともあれ、とにかく面白い漫画であると思います。本格的に読みたい人は既刊を一括でいっていただいて、とりあえず雰囲気を知りたいわという方はよりぬきで楽しんで、というのがいいんじゃないかと思います。どうせマニアになれば、全部買うんだし。って、そういうのって私だけですか?

余談

「二人の医局」が収録されてたのはちょっと嬉しかったなあ。好きなんです、あの話。

引用

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