一見無秩序に見えることとねお試しBlogですが、これでも一応ルールといえるようなものがないわけではないのです。一例を挙げますと、複数タイトルが同時に紹介の候補として上がったときの優先順。過去に紹介されていないものが優先されるようにという配慮は一応しているつもりです。だから今回はちょっとイレギュラーです。8月29日はまんがタイムKRコミックスの発売日で、例によって複数冊買い込んできたのですが、ここで本来なら『ROM-レス。』が取り上げられるはずのところが、急遽『最後の制服』にシフトしました。なんでか? それはあまりにこの漫画の行く末が不安になりそうな展開があったからなのでした。
展開といっても、漫画の内容がどうこうってことじゃないんですよ。私がまず驚いたのは単行本のページ数です。『ROM-レス。』は奥付含まずで118ページ、同日発売の『三者三葉』第4巻も同じく118ページ、ところが『最後の制服』第2巻は192ページ。わお、なんだこれ、倍近いじゃないか。こんな分厚いまんがタイムコミックス、はじめてみたよ。
今まで単行本が出ずにたまった原稿を、一気にこうして本にしたということなんでしょうか。なに、残り一冊分を残してあるのさ、ということなのかも知れませんが、なにしろ売れなきゃ続きが出ないのが普通というジャンルでありますから、正直、この過去に類を見ない出しかたにはおそろしいものがあります。ちなみに連載は来月で完結です。だから冷静に、単行本未収録分のページ数を数えればこのへんの疑問は多少はクリアするのかも知れませんが、でも続きの出るか出ないかはひとえにこの第2巻の売れ行きにかかってるんですよね。
というわけで、買ってみてください。面白いですよ。舞台は女子校、女の子同士のくすぐったいような恋愛模様が描かれていて、いや、果たしてそれを恋愛模様といっていいんだろうか、揺れる季節の揺れる思いがきらきらと、そして時にはメロウに輝いている素敵漫画なのであります。
『最後の制服』第1巻では、物語はまだ単発のエピソードのまま、うずうずと方向性をあらわにはせずにあったのですが、第2巻では大きなストーリーが動き始めています。私があなたを、そしてあなたが私をどのように思っているかという気持ちをはっきりとさせながら、複数の恋模様が息づいて、それは仕合せに向かうのか、それとも行き過ぎる季節のはかない思い出としてとどまるのみであるのか、その結末は第3巻を待たねばならない。ああ、だから私はここで立ち止まりたくはないのです。
『マリア様がみてる』がそのブームの先鞭をつけたのか、あるいは場が温まっていたところに『マリア様がみてる』が飛び込んだのか、それは私にはわかりませんが、『最後の制服』もそうしたブームの一翼を担うものであろうと思います。ですが、私にはこれが、ただ女の子同士の恋愛ものがブームだから出てきたようなものとは思われないのです。『マリア様がみてる』が切り開いた地平があってはじめてこの漫画もかたちとなったのかも知れませんが、そのへんは私にはようわかりませんが、ただ、私がいいたいことは、この漫画はこの漫画としてしっかりとできあがっているということです。『最後の制服』という世界をかっきりとかこって踏ん張っている。それまでこうしたジャンルを遠巻きに見ていただけの私をここまで引きつけたのは、間違いなくこの漫画独自の世界であるのです。
だから私は、この世界が完結しないままに放られることをことさらに怖れているのでしょう。好きになった世界がなおざりに捨て置かれるかもしれない可能性さえも我慢ならないというのでしょう。
蛇足
「mad afternoon」が好きです。なんか物悲しくて、どうしようもなく好きです。
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