2005年8月22日月曜日

まるっと病院パラダイス

 四コマ誌の系列(といっていいのかな?)には実話系と呼ばれる、読者からの体験談を募集し、それを漫画にするというジャンルが存在しまして、面白いことに、実話系を好む層とギャグやD☆V系を好む層はくっきりと別れているようなのです。この傾向は私に関しても同様で、例えば芳文社の四コマ誌は一通り読んでいる私ですが、『本当にあった(生)ここだけの話』だけは読んでいません。なんというのでしょうか、好みじゃないのよ、としか言い様がないのです。

ですが、実話系すべてを否定しているわけでもありませんで、例えば安斎かなえの『まるっと病院パラダイス』は買いました。安斎かなえが好きということもありますが、なにより中身が面白かったというのが決め手となりました。

実話系の主な読者はおおむね主婦層であるからでしょうか、病院は病院でも産科に関する話が多くて、私は今のところ産科には無縁であるのですが、その起こる出来事の数々を面白く、興味深く拝読しております。

もう、皆さん無茶しすぎ、という感じ。もちろん投稿者が無茶したわけじゃなく、病院が無茶無理矢理の場合もあるし、そうなってしまったものはしかたないじゃんか、みたいなこともあるしで、しかし世の中にはとんでもない、ちょっと私なんかには想像もできないようなこともあるのだなあと思って、参考にしたり、反面教師にしたり、ともあれこういう先人の体験談というのは貴重であります。

産科話が多いこの漫画、実際なんかの役に立つこともあるんじゃないかと思って、初期妊娠の知人に贈ろうかと思ったりしたこともあったのですが、けど実際そういう状況になれば実行できないものですね。というのもさ、結構洒落にならないような話もあるし、そもそも妊婦を不安にさせるようなことをしてもいけない。確かに読んでいて面白いのですが、それは他人事と思っているからか、あるいは過ぎ去ったこととして読むからか。いずれにしても、当事者になりかねない人には渡せないなあという、リアリティの持つ重みがあるんです。

けれど、安斎かなえの筆はこうした重みをうまく処理していて、重い話や生臭い話も、さらっと笑えるように料理されているのですから、実話系嫌いにも、あるいは一般読者にもお薦めできる漫画に仕上がっています。実際、この漫画には純情路線を売りにしている私にはコメントしづらいようなネタもてんこ盛りなのですが、ですがそういうネタでも笑わないではおられない。いや、むしろそうしたネタ、重かったり生臭かったりするもののほうが作者の筆ものるというのか、断然面白いのです! いうならば、漫画表現の強さが感じられるのですよね。

ところで、この漫画のカルテ18. 「穴があったら入りたい!! 恥体験の巻」に出てきた3歳くらいの娘さん。私、これ見て思ったのですが、どう考えてもこの子は性的虐待を受けているとしか思えないのですが……。それも常態的にそうした行為が繰り返されているとしか思えないのですが……。犯人は、父親、あるいはそれに準ずる身近な大人としか……。

私はこの漫画を読んでしばらく、この件で手紙を書くべきだろうか悩みまして、けれど生来の筆無精が災いして出さず仕舞でした。ちょっと悔いかも。

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