グスターヴ・ホルストといえば『惑星』ばかりが有名で、後はといわれるとどうもぱっとしない。そんな地味な印象の強い作曲家でありますが、吹奏楽をやっているような人間には結構重要な作曲家であったりします。なんでかといいますと、吹奏楽のために組曲を残しているからでありまして、これらの曲は、貴重な吹奏楽のオリジナル作品として愛好されています。
もちろん、私もやったことありますよ。高校の時、それから大学でも。それほど技巧的な難しさを要求しないので、オーソドックスな吹奏楽の響きを学ぶという点でも重要なレパートリー、重宝しています。この曲のこうした性格は、吹奏楽に馴染みのないクラシック愛好家にも、吹奏楽の響きを感じるためのよい手引きとなってくれそうに思います。
神秘的あるいは牧歌的とも感じられる第1番と、はつらつと元気で愛らしい第2番。一般には第2番が愛好されているような印象もありますが、もちろん第1番も負けてはいません。私は、ゆったりと響きを膨らませながら堂々と歩みを進めてゆくがような第1番も愛していて、サクソフォンとクラリネットでこの曲に参加したのですが(もちろん同時にではない)、うねうねゆらゆらとたゆたう旋律を吹いているときに背を押すように湧き上がってくる金管の響きがすごく気持ちよくて、胸がいっぱいになる。ああ、いい曲だなぁって思う瞬間です。
第1組曲は、シャコンヌ、間奏曲、行進曲の三曲で構成された短く手ごろなサイズの曲で、なので演奏会では第一部あたりに置かれて、例えばオープニングを飾ってみたり、あるいは第一部の締めの曲となったり、使い勝手のよさも手伝って人気の曲。耳にする機会も比較的多いのではないかと思います。
しかし、シャコンヌはいうに及ばず、間奏曲にしても行進曲にしても、ちょっと聴いた感じでは奇妙にも思うメロディは、直に癖になるような親しみやすさを持っています。木管楽器の愛らしさに金管楽器のふくよかな包容力が加味されて、耳に優しく、気持ちよく、小さいながらも上品にまとめらた素敵な作品に仕上がっています。
このあたりは、ヨーロッパの伝統的な部分がいきているのでしょうか。聴いていてすごく気持ちよいのは当然として、吹いていても気持ちがいいものだから、ぜひここは楽器をやったことのないという人も、機会があれば楽団の一員になって、聴くばかりでは得られない気持ちよさを感じて欲しいものだと思います。
- Holst: Suite No.1 in E flat / Moorside Suite / Suite No.2 in F / Hammersmith
- Holst: Suite No.1 & 2 / Handel: Music for the Royal Fireworks / Bach: Fantasia in G
蛇足:
私が持っているのは、リスト最上段のDallas Wind Symphonyの盤。正直これはお勧めしません!
0 件のコメント:
コメントを投稿