2005年8月8日月曜日

機動戦士ガンダム戦記 — Lost War Chronicles

  読書はいつもスローペースの私にしては、破格の速度で読んでおります。ゲーム『機動戦士ガンダム戦記』のノベライズはもうとっくに読了して、今は『ZEONIC FRONT — 機動戦士ガンダム0079』の第2巻を読んでいます。それも残すは後一章。こういうゲームのノベライズとかは実に久しぶりのことだったのですが、モビルスーツというものを使った戦術やなんかを詳細に書こうとする姿勢が見える両タイトルはなかなかの読みごたえで、正直なところ、もっと早くに読んでおけばよかったなあと。読んでいると読んでいないでは、きっとゲームに取り組む際の気持ちの持ちようが違ったでしょう。惜しいことをしました。

ゲームのノベライズに手を出したのはとりわけ理由があったわけではないのです。ゲーム『ジオニックフロント』を、今度こそ全S取ってやるぞという気持ちがなんだかあふれているこの頃。徒手空拳で全Sを目指してもいいのですが、それだとあまりに効率が悪すぎるし、たまには人の戦術も参考にしたいじゃないですか。というわけで、攻略本に手を出そうかと考えたのです。

ファミ通から出ている『ジオニックフロント 機動戦士ガンダム0079コンプリートガイド』が評判いいというところまでは調べがついて、いざ買いに行こうと梅田に出たら、なんと『ジオニックフロント』の攻略本だけないのですよ。ほかのガンダムゲームのはあるんです。ところがジオニックだけない! ってなんでだーっ!

くやしいので、ノベライズを買ったと。いや、本当にわけわからないな。

『ガンダム戦記』では、プレイヤーは連邦ミッション、ジオンミッションをそれぞれプレイすることができるので、どちらに肩入れするかはそれこそプレイヤー次第。ノベルでも当然両軍を扱って、どちらに肩入れするかは読者に任せるというスタイルを取っています。ですが、物語はやはり佳境に向かって、この両者を直接対決させないわけにはいかないわけで、じゃあどうやって両者を立て、どうやってうまく収めるのか。これが私にとっての興味でありました。おそらくはすべての読者がそうだったろうと思います。

私の感触でいえば、その解決の方法は多分にロマンティックで、どこか青臭さが感じられなくもない、 — ですが理想的なものでありました。こういうかたちに落ち着くだろうなという予感はあったのですが、問題はその決着にどれだけの説得力を持たせられるかというもの。私は、あの終結に向けた連邦ジオン両軍の将兵の心の動きの積み重ねに、納得しようと思いました。いや、納得したいと思ったのです。

私にとってのベストは、ガースキー・ジノビエフ曹長でした。このゲームは、以前にもいいましたが、少々やさしめのアクションゲームです。なので、あんまりチームプレイとか考える必要がない。むしろ僚機が足を引いていると感じることもしばしばで、だからガースキーにせよジェイクにせよ、ラリーにせよアニッシュにせよ、ゲーム内では非常に影が薄い。ですがノベルでは彼らの存在が非常にふくよかに描かれていて、とりわけジノビエフ曹長は格別でした。

逆に、ゲーム中では目立つ連邦・ジオンギャルですが、ノベルでは控えめ。ジェーン・コンティこそは破格でありましたが、それでも中央には常にデルタ・チーム、レッド・チームが陣取っていて、光の当たりにくい彼らにしっかり光が当てられていたのはよかった。理想と現実の境にゆれる彼らの迷いが描かれて、最後には理想的な終結を見るというのも、ジュブナイルとしては大正解であったと思います。

面白かったです。

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