ガンダムのシミュレーションゲーム、ストラテジー(戦略)系の最高峰が『ギレンの野望』なら、タクティクス(戦術)系は『ジオニックフロント』にとどめを刺します。ジオンの一兵卒として、一年戦争の最前線に戦う。その雰囲気の作り方は非常にうまく、アクション系ガンダムゲームのもつお気楽さは皆無です。だって当たり所が悪ければ、砲撃一発でモビルスーツが落ちるんですよ。いくらなんでも、ここまでモビルスーツがもろいガンダムゲームというのはありませんでした。
けど、こんなに厳しいゲームがなんで面白いのでしょう。それは、ゲームのもつ幅広さのためでしょう。どんなに苦しい局面であっても、戦術次第でひっくり返せる。あるいは、敵陣を一機にて駆け抜け重要拠点を撃破、エースここにありという活躍も不可能ではない。こうした、様々なやり方でミッションをこなせるという多様性、懐の深さが魅力なのです。三部隊をフルに活用して負け戦を勝ち抜いていく、そういう悲壮感も魅力に一色そえているかも知れませんね。
しかし、私はいつも不思議に思うんですが、ある程度上級レベルのユーザーが対象のガンダムゲームは、自軍がジオン軍であることが大抵なんですね。だって、『ギレンの野望』もタイトルが示すままにジオン軍プレイが基本、『ジオニックフロント』にいたっては、どうしたってジオン軍ですよ。
ところが普通のアクション系になれば、連邦色が強まっていくんです。昔のガンダムゲームは、当然といった感じでガンダムを自機としていました。最近のものになっても、一般ユーザー層にも訴えようというのになれば連邦が自軍になっていて、ガンダムが山ほど出てくる(そしてげんなりする)。ジオン軍でもプレイできるけど、あくまでもおまけみたいな扱いだったりもしますからね。やっぱ、普通のガンダム視聴者にとっては、連邦が正義だったのでしょう。
しかし、コアなガンダムファンになれば、大半はジオンファンに占められているという現実があります。ネットワークオペレーションをしている知人に、やっぱりジオンですかって聞いたら、当たり前やんかと返事が返ってきた。そんなこんなで、ガンダムマニアはジークジオンな人でいっぱいです。もちろん私もジオンファンですよ。ビグザム量産の暁には、なんていって実際に量産してみたり、ザクとは違うのだよ、とかいってグフでガンタンクをぶった切ってみたり。もうとにかくモビルスーツの面からいっても、人材の豊富さからいっても、ジオンの方が絶対面白い。連邦なんて、あえて言おうカスであると、ですよ。だって乗機はガンダムかジムのバリエーションばっかりでさすがに飽きます。まあ人材に関しては、結構好きな人もいるからなんともいえないのですが、ほら、カイさんとか。
とまあ、ガンダムゲームはマニア向けの色合いが強まるほどにジオンびいきになるというのは、このへんに理由を求めることができそうですね。
- 林譲治,富野由悠季,矢立肇『ZEONIC FRONT — 機動戦士ガンダム0079』第1巻 (角川スニーカー文庫) 東京:角川書店,2001年。
- 林譲治,富野由悠季,矢立肇『ZEONIC FRONT — 機動戦士ガンダム0079』第2巻 (角川スニーカー文庫) 東京:角川書店,2001年。
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