あのエリック・クラプトンが、伝説のブルースマン、ロバート・ジョンソンをカバーしたアルバムと聞いて、その頃ブルースにも興味があったもんだから、買っちゃいましたね。いや、なんでか音楽雑誌ばかりじゃなく一般紙にまでロバート・ジョンソンの特集がされたくらいにブルースが注目された時期でして、もちろん私はその勢いに乗っかってロバート・ジョンソンの『コンプリート・レコーディングス』を買ってるんですが、それどころか、実際自分で弾いて歌ってみたりして、いやあ目茶苦茶難しいですね。どうしようもないほど雰囲気がでないんです。いやあ、どえらく駄目で、私はブルースに向いてないかも知れません。
で、さて、クラプトンのアルバムはどうだったかと、ちょっと思ってたのと違ってたせいで、戸惑うやらがっかりするやら。じゃあ、クラプトンはよくないのかというと、そういうわけでもないんですね。
なんか、ロバート・ジョンソンから重厚で泥臭いというイメージがすっかり抜けてしまって、洗練されたバンドミュージックになってしまってるんですね。いやあ、すごく聞きやすいです。実際ギターも歌もうまい人だから出来に関しては申し分ないし、じゃあいったいなにが期待外れかというと、『アンプラグド』でやったみたいな、しゃがれたブルースを聴く気満々であったという、そのせいなんですね。
実際何度か聴いただけで、ちょっとしまい込んだみたいになってしまいました。ああ、もったいない。って、そういう終わりかたはしないから安心してください。
アルバムとしてはちょっと期待外れに思った『ミー & Mr. ジョンソン』が、iTunesでの全曲シャッフルで突然に挟まってくると、非常に光るんです。やっぱりレベルが高いんですね。聴いて、ああこりゃいいわと思う。それどころか、それほど聴いてないはずなのに、イントロを耳にしただけで、ああクラプトンだってわかる。それくらいに、ぱりっとしたいでたちで現れてくるんですね。ちょっとでき過ぎの感もあるけれど、そのちょっとかっこつけたところも含めて、気の利いて粒立ちのする曲がシャッフルプレイを引き締めてくれるおかげで、聴いてるこちらとしてもちょっとハッピーな気持ちになれるんです。
そうして、目からうろこ(耳から?)を取り除いてから聞き直すと、やっぱり大変いいと思う。頭からこういうアルバムに違いないという思い込みは、新鮮な音楽体験を邪魔するんだなあと、偏見に惑わされない境地にいたるのは難しいものと、そんな反省つきのアルバムです。
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