世界的に有名なさえない男の子、チャーリー・ブラウンは実に愛すべき人物で、私も世界中の友人たちと同様、彼を深く愛しています。野球が好き、だけどチームは連敗。妹のサリーには軽く扱われ、飼い犬のスヌーピーにしてもどうも彼をあんまり重くは見ていないみたい。明らかに小市民を絵に描いたようなチャーリー・ブラウン。やる気がないわけではないのだけれど、どうにも空回り気味な人生に、くじけたり弱音を吐いたりしながら、けどそんな彼だのにどうしても憎めない。
憎めないのも当たり前かも知れません。私たちはチャーリー・ブラウンに私たちの悲しみを見てしまうのです。彼らの生き方、悩みに、私たちの日々にもらすため息や泣き笑いを見つけ出してしまうから、チャーリー・ブラウンを他人とは思えなくなってしまうのです。
いつもはさえないチャーリー・ブラウンに意外な才能が! なんと彼は単語のつづりに絶大な能力を発揮してみせたのです。学校のスペリング・コンテストで好成績をおさめた時には、そのあまりの意外さに友人連中も本人もびっくり仰天。チャーリーは状況に戸惑いながらも、あれよあれよと実力を発揮して、ついには全米大会に出場するまでにいたります。そしてその結果は、 — Good Grief! やっぱり君はチャーリー・ブラウン!
大会を勝ち抜く時の意気揚々、全米大会直前の追いつめられようを経て、チャーリー・ブラウンの落ち込み方はもう見ているのがつらいほどでした。まったくの無気力になって、部屋に閉じこもってしまって、私の胸いっぱいに彼への同情が広がっていくのがわかりました。チャーリーの友人ライナスがそうであったように、私はカートゥーンの登場人物に、心からの共感をおぼえたのです。
— ですが私はそうした友人にかける言葉というものを見つけることができません。私はこうしたときにきっと口をつぐむものなのです。
けれど、ライナスは違います。ライナスがチャーリー・ブラウンにかけた言葉の温かさ、強さ。もしそこに落ち込んで、打ちひしがれている友人がいたならば、私はこの言葉を贈りたいと思います。
だけどさあ、知ってるかい。世界はまだ終わりじゃないってこと
- Schulz, Charles M. A Boy Named Charlie Brown. Metro Books, 2001.
- Schulz, Charles M. A Boy Named Charlie Brown. Henry Holth & Co, 1970.
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