2006年9月11日月曜日

川本真琴

 私は川本真琴が好きです、って前にもいってましたね。あの、若い頃の無鉄砲さがそのまんま歌にのっかっているみたいな勢いや躍動が私にはどうにも嬉しくて、まさしく私の川本真琴のイメージはこの人の音楽そのものといっていいくらいにいつまでも鮮烈であり続けています。はじめて川本の歌を聴いたのは一体いつだったことか。おそらくはテレビの歌番組で見たのが最初で、その時の曲は『DNA』だったはず。DNAと聞けばデオキシリボ核酸ですが、この歌においては大嫌いなのに愛しているで、こういう表現の仕方がどことなく青くって、これってやっぱり若さなんだろうなと思ったことを覚えています。で、結局はアルバム買っちゃってるの。なんだ、結局好きなんじゃんって、だから最初にいったとおり好きなんですよ。

このアルバムに収録されている曲、その全部が好きなんですが、なかでも好きなのは『やきそばパン』かなあ。「ひとりぼっちで屋上」という歌詞を長いこと「ひとりぼっちでオークション」と思っていたのは内緒(いや、もちろんそう思い込んでたわけじゃないです。だって意味繋がんないじゃないですか、ってなにいいわけしてるんだろ)。でもこの曲、リフレインが無闇に明るいかと思えば、全体を通しての内容はむしろやるせない日常を歌っていて、こういう両面性が川本真琴の味なんじゃないかと思うんです。明るくて元気で、けどその奥には非常に抑圧された、というか、屈折したような暗さも抱いているという、そういう多義性。このコンプレックス(複合)しているという感覚が非常に私には響いてきたのです。

そしてはつらつとした曲調に混ざる叙情感もよくて、そしてそこにははかなさが隠されているような気がします。『ひまわり』なんて、行き過ぎる夏、行き過ぎる季節、行き過ぎた時間がぎゅっと高密度に収められているようで、聞けば聞くほど切なさが募って、そして『タイムマシーン』です。私はなんだか泣きたくなるような気分になって、そういう切なさの溢れるこの人の歌の世界はなんて濃密なんだろうって思うんです。

で、長く活動を停止していたかのように見えた川本真琴が、今年になって動きを見せているんですよね。『ミホミホマコト』が出たかと思えば、『山羊王のテーマ』というのもリリースされて、ずっととまっていた私の川本真琴熱も再燃しそうなそぶりを見せています。

引用

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