2006年8月11日金曜日

D-LIVE!!

  私が楽しみに読んできた漫画『D-LIVE!!』がついに完結です。全然意識せずにいたのですが、もう三年も続いていたんですね。そりゃあ、斑鳩も卒業するわけだわ。ってなんだか間違った感想のような気がしますが、けど本当に思いがけない早い完結で、正直あともう少し続くものだと思っていたんですよね。師を乗り越え、数段ステージがあがったところで活躍する斑鳩の姿があって、そして終わるものだと思っていたら、確かに後日談はあったとはいえそれはあくまでもさわり程度であって、だからちょっと残念かなあと。でも、きっとこれでよかったんだと思います。ずるずると引き伸ばすのではなく、すっぱりと終わらせて、相も変わらず斑鳩は元気にやってますよというところを匂わせて、これまでの話が躍動感に溢れて面白いものばかりだったから、この先の斑鳩の活躍も見えてくるようで、これはこれでよいラストでしょう。

漫画についての感想は、以前のコミックバトン企画で答えたものに変わらず、やっぱり私はこの漫画を秘密のヒーローものと考えてるんですね。人知を超えたスーパーな存在であるヒーローが、なぜだか普段は身を普通の人間にやつして暮らしている。ところが、一旦ことが起こればひた隠しにしていた実力をあらわにして、悪い奴らをばったばった倒してみたり、誰もがさじを投げた困難な作戦をクリアしてみたりと、その姿が格好いいんですよ。斑鳩に関しては、スーパーマン以来の伝統である普段はさえないという要素まであるものだから、活躍時とのギャップがまたすごく、だもんだからよりいっそう爽快に感じられるというものなのでしょう。もう、大好きです。何遍でも読み返して、何遍でもわくわくすることのできる漫画であると思います。

以前にもいっていましたとおり、私の好きなタイプの話はシンプルな短編です。だから正直ラストへの大きな流れには乗りきれないところもあったかも知れません。でもさ、それでも基本的には小さな単位のミッションの積み重ねでできているからそんなに駄目ということもなかったんだけど、 — だけど、一番好きなミッションというのが潜水艦救助ミッションであるとか、ボス猿決定戦だとか、やっぱりそういう小ミッションに落ち着くというのが私らしいんじゃないかと思います。そして、やっぱり春日委員長編ですよ。鈴鹿8耐の興奮があり、そこに乗るかたちで話を膨らませてみせた委員長をともに逃亡しようという話。よかった。すごくよかった。特に最後の、なにか大切なところをわかりあえたというような対話がよかった。そんなだから、ラストエピソードでの委員長の扱いはひどいよね。とはいっても、彼女の役割をきっちりはたしたという感じもするから、あれはあれでありなんですが。

私が大きなミッションがあんまり好きな話でないというのは、流れが大きすぎて乗り切れないというだけではなくて、少年誌的微温があんまりに強すぎるように感じられるからなのだと思います。基本的に勧善懲悪で、正義は必ず勝つ話ばかりです。だから、時には正義側があまりに有利になりすぎていて、これ、主人公サイドが超S級エージェントの集まりであるという設定があるからなんとか破綻せずにいられただけで、ある意味ライバル不在といってもいい展開でした。そういうのは特に大ミッションにおいて顕著だったから、私がこうした話にあまり乗り切れないというのも当然だったのかと思います。

けど、ひとつひとつのミッションは、問題とその解決への流れに盛り上がりを演出して、本当によくできていました。だから、私はなんのかんのと不満も口にしながら、それでも結局は好きで読み続けていたのだと思います。『ARMS』に比べればスケールもちょっと小さな地味な話だったかも知れませんが、けど私はこの漫画、結構、いやかなり好きです。いつでもまとめて読めるよう待機させてあって、どこから読んでも面白い、いつ読んでも楽しめる、本当にいい漫画であると思います。

  • 皆川亮二『D-LIVE!!』第1巻 (少年サンデーコミックススペシャル) 東京:小学館,2003年。
  • 皆川亮二『D-LIVE!!』第2巻 (少年サンデーコミックススペシャル) 東京:小学館,2003年。
  • 皆川亮二『D-LIVE!!』第3巻 (少年サンデーコミックススペシャル) 東京:小学館,2003年。
  • 皆川亮二『D-LIVE!!』第4巻 (少年サンデーコミックススペシャル) 東京:小学館,2003年。
  • 皆川亮二『D-LIVE!!』第5巻 (少年サンデーコミックススペシャル) 東京:小学館,2004年。
  • 皆川亮二『D-LIVE!!』第6巻 (少年サンデーコミックススペシャル) 東京:小学館,2004年。
  • 皆川亮二『D-LIVE!!』第7巻 (少年サンデーコミックススペシャル) 東京:小学館,2004年。
  • 皆川亮二『D-LIVE!!』第8巻 (少年サンデーコミックススペシャル) 東京:小学館,2004年。
  • 皆川亮二『D-LIVE!!』第9巻 (少年サンデーコミックススペシャル) 東京:小学館,2005年。
  • 皆川亮二『D-LIVE!!』第10巻 (少年サンデーコミックススペシャル) 東京:小学館,2005年。
  • 皆川亮二『D-LIVE!!』第11巻 (少年サンデーコミックススペシャル) 東京:小学館,2005年。
  • 皆川亮二『D-LIVE!!』第12巻 (少年サンデーコミックススペシャル) 東京:小学館,2005年。
  • 皆川亮二『D-LIVE!!』第13巻 (少年サンデーコミックススペシャル) 東京:小学館,2006年。
  • 皆川亮二『D-LIVE!!』第14巻 (少年サンデーコミックススペシャル) 東京:小学館,2006年。
  • 皆川亮二『D-LIVE!!』第15巻 (少年サンデーコミックススペシャル) 東京:小学館,2006年。

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