2006年8月29日火曜日

ROM-レス。

 買おうか買うまいか直前まで迷っていたのが『ROM-レス。』です。あんまりに四コマ単行本の刊行点数が増えたせいで、今月なにが出るのかなんてまったくちっとも把握できなくなってしまったのはいつごろくらいからだったでしょうか。単行本の発売日近くなると版元のサイトで確認して、今月何冊とだけ把握して書店の平積みで探すというのがパターンです。それで今月は『ROM-レス。』がどうしようか迷った。ええ、以前みたいに一冊二冊しか出ないのならばいいんですが、最近は三冊四冊と出ますから、一冊あたりの単価の高いKRコミックスはどうにも買いにくいのです。どうしようかなあ。書店で決めるか。それで結局は買ったのですから、迷ったり悩んだりがほんと馬鹿みたいです。

なんで悩んだのかといいますと、漫画としてちょっと微妙であると思っているのです。レストランを営む若き店長のもとにやってきた久凪という女の子。実は彼女は、ゲームから実体化した女の子だったのです! って、なんだこの設定。正直私はこの漫画を始めて見たときには、あかんと思ったものでしたよ。いくら『まんがタイムきらら』がマニア向けにチューニングされた雑誌であるとはいえ、これはないだろうよと思った。でも、当初そんな風に思っていた私が、しっかり『ROM-レス。』は覚えているのです。いや、『ROM-レス。』だけじゃないですね。同じ作者の漫画である『にこプリトランス』も『レンタルきゅーと』も、ちゃんとタイトルから覚えています。私はきらら系に関してはもう記憶が追いついてなくって、タイトルいわれてもわからない漫画、誰が書いてるかさえもわからない漫画、見ても前回が思い出せない漫画が山ほどあるのですが、そんな中、白雪しおんはばっちり覚えているのですから、なにか光るものがあるのは間違いないのだと思います。

ですが、なにが私のどこに引っかかったというのか。実はよくわからんのです。気弱でシャイな主人公が兄妹や前の恋人に振り回されてというシチュエーションがいいのでしょうか。ええ、確かに私の必勝形(?)である気の強くわがままな(けれど実は情の深い)女性に振り回される主人公という形式ではあります。でもこの漫画の持つ魅力の根本はそこではないと思っています。ではなんなのか。ウェイトレスの制服の着せ替えか? いや、そこでもない。じゃあなにかというと、主人公静夜と久凪のむずがゆくなりそうな微妙関係であるんでしょうね。すなわち普通のラブコメの形式に追い込むのが一番しっくりくると思うのです。そしてそれが、突っ走るでもなく、奇をてらうでもなく、マイペースにマイペースに展開される、そのペースがきっと読んでいて心地いいのだろうなあというように思います。

とすれば、私の最初に感じていた微妙という評価の理由もわかってくるように思います。というのは、私は漫然と展開されるラブコメものがあまり好きではないようなんですね。気が短いんでしょうね。好きなら好きでガツンといけやあ、とか思ってるんだと思います。けれど、この漫画に関してはそういうもどかしさを感じることもなくて、読んでいるうちになんだかいろんなことがどうでも良くなってくるような感じで、それはやっぱりこの作者特有のペースがなにより心地よいからなんだろうと思います。

蛇足

この漫画に関しては、明示的に誰といえるようなひいきがないのでパスです。ただ、単行本後書きや表紙裏表紙に見える作者のハイテンションはかなりいい感じかも。こういうのって谷町気分っていってもいいのかな? なんかこういうみずみずしいハイテンションを見ると、よっしゃ応援すっかあ、って気になるんですよね。なんか変ですね。でも、せっかくですんで、これからもちょいと応援していきたいと思いますよ。

蛇足2

カバー裏表紙見て驚いた! グ、グリーン・レクイエム!?

  • 白雪しおん『ROM-レス。』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2006年。
  • 以下続刊

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