2010年1月1日金曜日

恋愛ラボ

  今朝目覚めた時は、確かにまだ午前であったのですが、一瞬の油断が命取り。ふと気付けば午後になってしまっていました。まいった。と、ここでまた油断すると夕方になってしまうかも知れないと思い、なんとか起きる努力をすべく、枕元に積まれていた山から一冊、気になるものを取り上げて読み始めたのでした。『恋愛ラボ』4巻。昨年末に発売された最新巻ですね。リコ師匠ピンチの巻。本編はしっかり連載で追っているので、加筆描き下ろしに期待して読んだのでした。

そうしたら、いや、もう読ませますね。冒頭にはまだ前巻の色、サヨのピンチを皆でリカバーしたエピソードの余韻が残っているのですが、次第に話の焦点はリコにシフトしていって、はたしてリコは恋愛の達人であるのか。第1巻時点からずっと謎であり続けた問題、そいつに決着をつけねばならん時がきたようだ。その様子、実にはらはらとして、目が離せない、そんな具合であったのです。

いや、まあ、読者にはちゃんとわかってるわけなんですけどね。リコは本当は恋愛にはうといのに、マキに勘違いされて、それで見栄はっちゃって頑張って、自滅の道を歩んでしまったって。これまでは、そうしたリコの追い詰められる様子もギャグ、コメディのうちであったのですが、けれどこの巻ではそろそろリコを楽にしてやろうじゃないかといった雰囲気が濃厚で、いりきみ塾で出会ったリコの昔の友人たちもそうした動きに力を貸します。けど、これら追い込みようがこれまで以上に描かれたからっていうべきでしょうか、マキをがっかりさせちゃうんじゃないか、それでマキの気持ちが離れてしまうんじゃないか、などと心配してうろたえるリコの心情が痛いほど伝わってきて、もう、たまらんのですよ。それに、リコだけじゃない。リコの真実を知ってからのマキの様子もそうでした。自分がリコを追い詰めていたんじゃないかって、無理させてしまっていたんじゃないかって、悔いていたっていってもいいのかな、そういった思いがもうたまらんのです。泣くかっていわれたら、そりゃ泣くよ。

『恋愛ラボ』は、女子中学生たちが恋愛研究と称して、恋愛に関する妄想といっていいのかな、理想の告白シチュエーションなんかを開陳して、しかしその妄想の酷さ、無理矢理さ、非現実的な様子を笑っちゃおうなんていうギャグコメディであるわけですが、要所要所に描かれる彼女らの心情などを見れば、ああ疑いもなく、これは中学生女子の友情を取り上げた漫画であるのだと実感できて、そして私はそんな彼女らの友情の物語にひきつけられています。4巻におけるリコの葛藤、マキの後悔、そしてそれらが解消されるという劇的な展開は、これをそのまま『恋愛ラボ』という友情もののクライマックスにしてもおかしくないくらいに感動的で、けれどそうした山場もひとつのエピソードとして描かれるというところに、『恋愛ラボ』の贅沢を感じてしまいます。

といったわけで、『恋愛ラボ』はまだまだ続いて、むしろこれからが本編なのか? って、毎回の山場を越えるたびにいってるような気もしますが、いや、ほんと、まだまだ楽しませてくれそうで、わくわくする気持ちがおさまりません。

  • 宮原るり『恋愛ラボ』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • 宮原るり『恋愛ラボ』第2巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 宮原るり『恋愛ラボ』第3巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 宮原るり『恋愛ラボ』第4巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

CD

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