2010年1月17日日曜日

32GIRL_2

『32GIRL_2』を買いました。『32GIRL』の続編、『サーティーガール』から飛び出した32歳の女の子、湯神加奈子を主人公としたお花屋さんの漫画です。加奈子さんは、本業は不動産会社で働く課長さんなんだけれど、ちょっと思うところあって、幼なじみの兄さんが経営している花屋のお手伝いをしてる。そこに職場の後輩、緑川すずめがやってきてはじまる、ちょっとしたドラマ。とてもよかった。思わずほろりとしてしまう、そんな恋愛の機微。とてもよかったです。

緑川すずめの恋愛の行方が描かれた、そんな話でした。幼なじみの男性。そうしたところは、加奈子と花屋の兄さん治久に似ている。だから、応援することになるのだろうなと思ったら、そんなに簡単ではありませんでした。

ただストーリーを追うなら、よくある話といってもいい。これまでに幾度も見てきた、そうしたものではあるのです。けれど、それがこんなにも胸に迫ったのは、できごとの向こうに動いている感情、その見せ方のうまさのためなのでしょう。ちょっとネタばれになるけど、ごめんね。すずめの好意、それがほのめかされて、そしてその後もずっと抑制された描写にとどめられていた。いつくるんだろう、いつ開かれるのだろう。ここだろうか、そう思うポイントはいくつかあって、緊張してページ繰るのだけど、しかしなにごともなく平和裡に過ぎていって、それが最後に一度に開かれるのですからもうたまりません。それまでの緊張と緩和の繰り返しの中で思いは深められていたんですね。すずめの感情を伝えるちょっとした表情や、吹き出しの文字。それらが最後のあのシーンを用意して、それはとても力強い表現となって押し寄せたのでした。

さて、収録された話は第参話「俺たちは天使だ♥」、そして第四話「太陽どっち?」。「太陽どっち」は、32-15GIRL、加奈子さんが17歳だったころの話。喧嘩して、お墓参りで仲直り。小さなエピソード。けれど、人生は小さなエピソードの積み重ねで、それらエピソードの数々がふたりの歴史なんだなって思える、そんな話。これもまたよかったです。『サーティーガール』に見られるような大立ち回りとか、そういう派手さはないんだけど、シンプルなストーリー、静けさの中に描かれる心情、思いの動き、そうしたものもまたよいと思える、そんな素敵な話でありました。

  • 岩崎つばさ,カワイシンゴ『32GIRL_2』32GIRL,2009年。
  • 岩崎つばさ,カワイシンゴ『32GIRL』32GIRL,2009年。

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