2009年8月9日日曜日

『まんがタイムきらら』2009年9月号

『まんがタイムきらら』9月号は、特別付録『けいおん!』アンソロジーコミック「みんなでうん☆たん!」なる小冊子がつくということで、価格も特別420円です。ええと、通常はいくらでしたっけ? 350円か。ピッとやって買うようになってから、個別の価格を気にしなくなって、こりゃ悪い傾向だなあ。表紙は『けいおん!』。アニメが終わったら、人気がさーっと引いたりするのかななんて思っていたのですが、そういうことはなかったようで、なんとBlu-ray Discは初動で3万枚を超える売上があったとか。うわあ、それはすごくいいことだけれど、こんなに売れるとはなあ、正直予想外。こりゃあキャンペーンのCDは当たらないな。ワゴンセールで半額くらいになったBDを、スペアとして買うとか無理っぽいな、なんて思っています。

さて、表紙が『けいおん』、お面は『はるみねーしょん』、浴衣で夏祭りでしょうか。金魚掬いに興じる唯、紬のふたりがやたら可愛い表紙です。巻頭はアニメのリプレイをするページの片隅にバンドスコアの告知があって、これ、CD扱いなのかな。CDが2枚、スコアは164ページ。えらい充実ぶりに驚きます。

そして、本編。3年目の合宿は野外フェス。私はこういうのに参加したことないんですけど、実際こういうの見てみれば面白そうだななんていう気持ちになるものだから、私も単純です。けど、こういう複数ステージが同時進行していますというのがですね、どうせなら全部聴きたいと思う私には難しくって、けど目当てのバンドをはしごするべくスケジュール組むのも楽しみのひとつなんでしょうね。

左利きのギターがいるというだけで嬉しくなってみたり、Tシャツ見付けて買ってはしゃいでみたり、しっかり者に見えるけれど実は結構稚気のある澪は可愛くて、それで律がちゃんとTシャツお揃いで買ってるというのもなんかよくって、そして皆が自分のバンドを好きで、楽しんでいる、そういうことがわかる最後の流れ、すごくよいなと思いましたよ。無謀な唯の発言にいったんは驚いたものの、それに追従していく梓、そういうのもなんだかよいねと思ったんですね。

ところで、キャンプなんてできるの? とか思ったら、本当に可能なんですね。すごい。それで、虫除けバンドですけど、ああいうのって本当に効果あるんでしょうか。あるなら欲しいな、なんて思ったり。

ゆゆ式』、旅の地での縁のお嬢様っぷりが際立って、なんじゃもう、可愛いねえ。夏休みも、三人そろって、なんか馬鹿なこといいあって、けれど三人がふたりになって、距離感変わるととたんにいえなくなっちゃうなんてところ、気の向くままに思ったことをいってるんじゃなくて、ある程度考えてやってるんですよっていうのがわかって面白い。三人揃うとおかしな言動、ひとりだと普通。それは気の置けない友人同士だから、ということなのかも知れませんね。ところで、相川さんは、わからんときは、意味わからんと、素直にいった方がいいと思うんだ。

『≒ — ニア・イコール』、ゲストです。オカルトの雑誌なんですかね、そいつに載ってた鏡からパラレルワールドに抜けるうんぬんを試して、本当に抜けてしまった女の子の話です。向こうでは、性別の逆転した自分があって、それで — 、というのだけれど、あおりによるとラブコメディみたいだけど、それってすごい自己愛だなあ。正直、一回目ではようわかりません。展開はちょっと急すぎて、こういうことをやりますよ、こういうことがありますよ、というジャンルの了解事項みたいなものを理解していたら別なのかも知れないけれど、そうしたことの埒外にある私には、ちょっと距離が遠すぎました。とりあえずは、こうした展開においてやるべきこと、そいつを一通りやりました、そういう感触があって、だから、ここから先に描かれること、バリエーションであるとか独自性といったらいいのかな、それがどうなるかでどういう漫画か判別されるのだろうなと思います。

『天然あるみにゅーむ!』の祭の風景。蛇神さまの気ぐるみが云々というくだり、子供で小さかったから怖かったのかと思ったら、なんだよ、普通に怖いじゃないか。くわえるギミック付きとか、凝りすぎ。でも、こうして畏れ敬われてこその神という説明、なるほどそうなのかあと納得しました。しかし、それにしてもやり過ぎ、おそろしすぎでしょう。細かいネタでは、射的のコルク銃での銃撃戦、これは面白い。おやじも金になるからいいのか? コルク玉、回収できないぞ? でも、なんか楽しそうで、ああいう平和な銃撃戦なら私も参加したいくらいです。

三者三葉』はのっけから水着で、しかし葉山ちゃんが普通にスタイルよくて、もっと残念な感じだと思っていたから、がっかりです。一人暮らしで怖いもの。幽霊もそうなのかも知れないけど、雨漏りとかもいやですね。こういう、家のだんだんに傷んでいるということもまた怖い。なんか大きな災害とかあったりしたら、そう思うととても怖い。ところで、薗部さんがいい感じにメアリー・ポピンズめいてますね。でも、やけに似合っているという。ひとり超越的なキャラクターになってしまっていて、それを受け入れさせてしまう雰囲気もあって、面白いポジションだと思います。

『ちりめら』、ゲストです。演劇部もの。滑舌の練習で早口言葉をいうという話で、その雰囲気は結構いい感じ。キャラクターのイメージがわりとできあがってるから、いいかもって思ったのだと思いますが、ひとりひとりの個性というかがもっとはっきりしてきたら、もっと面白くなるのかな、そんな感じです。今はまだ、ゲストの第1回目だから、なんともいいきれないものがあります。でも、とおもろこしは面白かった。

『PONG PONG PONG!』、実にいい感じ。師匠にあって奮起したのか、たぬきが祐太のモテ作戦に本気で取り組むようになって、しかしなんだあの怪文書。嫌がらせに近い、というかそのものだけど、肝心のたぬきはその効果がわかっておらず、あくまでも善意。善意のたぬきと困りまくる祐太のギャップ、これは実にいかします。で、お師匠さま登場。でも、祐太のためになりそうな予感がしません。すごく期待させてくれる展開です。

『ましゅまろタイフーンッ』、ゲストです。女の子同士のいちゃいちゃものなのかな? 活発な女の子が、おとなしい女の子にセクハラ? っぽい言動を繰り返す、そんなところがあって、彼女は読者の代行者なのかな? そんな印象。で、おとなしい女の子が照れたりして、それが可愛いという、微セクハラ表現を楽しむ漫画であると思いました。

こどもすまいる!』の宝探し、ルールは砂浜ほる、で、出てくるのは角の取れたガラスとか、さくら貝、はまぐり、かに、実に穏当。というか、なんで子供のころは、角の取れたガラスみたいなものでもあんなに嬉しかったんだろう。で、骨。えーっ、骨ーっ! というネタ、けどオロオロしてるのは面白い。そうか、やっぱりうろたえるんだ。

夾竹桃の話ははじめて知りました。死人が出るのは怖いなあ。気をつけます。まあ、そんな機会、ないでしょうけどさ。

『メロ3』、福田君はオタクですがBL系は大の苦手ですって、損してるなあ。でも今回はそのBL展開で、というか、微BL展開で、悪いやつの癖に妙に神妙だったり、でもって相棒が寂しさに負けそうになってたり、細かいところで面白い。でも、友情のつもりでいたのに、皆からはそう思ってもらえてなかった彼、いったい周囲はどれだけ微BL展開を許容可能だというのでしょう。しかし、不良の片割れ、寂しくなってる彼、なんか可愛いな。今回、一番可愛かったのは実は彼なんじゃないかと思います。

『おとなりさん』、ゲストです。都会から田舎に越してきた女の子が、田舎の奔放な女の子に翻弄されるという話であります。それで加えて、都会の女の子がマニアというね。隠し部屋を持っているというね。こうしたギミックもあるけれど、基本的には女の子の交流もの。素直な言葉にほだされる、そうして距離が縮まっていく様子を楽しむのがいいのかなって思います。

まーぶるインスパイア』。ストレッチラノベは、私も生活に導入したい。まあ、ラノベは読まないから、テレビ見るときとか漫画読むときとかに。そうしないと、もう身体のあちこちががたがたで、すっかり歪んでしまっていますからなあ。というのは置いておいて、ネットゲーム、MMOにはまる人の心理みたいなのがちょろっと出てくるところがあったけれど、あれ、面白いなあと。暇潰しのゲームの中で暇潰しとか、効率を考えはじめるとヤバいとか、それから一気に上げられないのはやりすぎ対策とか、それ嘘だろう、というか、わざとそんな書き方してるだろうって感じて、面白い。ええ、私、ネトゲはやらんでおこうと思います。

PKにやられたあとの、偶然が成立させた勘違いにうまくのっかって、虚像を膨らませるっていうくだりも面白かった。実際に会うと、全然違いますよね、イメージ、とかいわれちゃったりするんだろうなって思うと、もう楽しくってしかたがない。こういう、無理に背伸びしちゃってるようなところ、それがすごくいいですね。自分を振り返ると茫然としますけれど。

さて、巻末My Private D☆Vは都桜和が登場で、みみだそうです、みみ。そうかあ、私のそんなにわからないジャンルでありますが、けれどこの人の絵は可愛い、そう思います。なんか、ストーリーなしでキャラクターだけでグッズ展開できそうな、そんな感じ。ファンシーショップで売ってそうな、そんな感じがあふれたイラストでした。

あ、小冊子のこと忘れてた。

小冊子は『けいおん!』キャラの誰が好きって表明があったり、なかっても、ああこの人はこのあたりが好きなのかなってわかったりすることもあって、そういうのがすごく楽しくて面白くてよかったです。大沖の素朴なあずにゃん、かわいいです。漫画も、いつもながらという感じではあるんだけど、単純にして面白い。といった具合に全部にコメントすると、完了するまえに力尽きそうなので、特に気にいったのをいくつかいいますと、勇人の絵は可愛いなあ。ムギちゃん! で、憂メインの四コマも! 多くを語らないけれど、ちゃんと伝わる。すごくいい。すごくいいです。なかま亜咲も相変らず。けど、この相変らず感がとてもいいです。というか、名案だなって普通に受け入れている澪がフール、あ、シュールって打つつもりだったんだけど、なんか面白いからそのままにしとこう。「のどさわ!」は、のどがさわやかなのかと思って、ハーブキャンディーなど思い出したのですけれど、和ちゃんとさわ子先生ですね。う、眼鏡か! 素晴しいな。漫画の内容見てみれば、いつも以上にしっかりとした和ちゃんが素敵で、厳しい厳しすぎる。すがりつくさわ子先生、とりつく島もない和ちゃん。これは作者の味だと思います。オリジナルではきっと出ない、でもありそうと思わせる、そんな塩梅もいい感じ。アンソロジーの醍醐味です。

Ixyって人はアニメ『けいおん!』の絡みで知った人で、この人の律好きには当てられたものでした。「取り乱しまし田井中律」なんて最高だと思ってる。そして、えれっと、この人の漫画の落ち見て、これはすなわち、フォークギター!?

すいません、失礼しました。今日はもう終わりますんで、ほんと、勘弁してください。

  • 『まんがタイムきらら』第7巻第9号(2009年9月号)

引用

  • 野々原ちき「メロ3」,『まんがタイムきらら』第7巻第9号(2009年9月号),167頁。
  • なかま亜咲「なかまのけいおん!」,『「けいおん!」コミックアンソロジー みんなでうん☆たん!』(『まんがタイムきらら』第7巻第9号付録),11頁。

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