2009年8月22日土曜日

『まんがタイムスペシャル』2009年10月号

『まんがタイムスペシャル』10月号が発売です。表紙にはたまこさんが描かれて、お弁当が新幹線。しかも0系? ある程度の年代以上の人にとって、新幹線というと0系であり続けているわけですが、たまこさんにしても、私にしてもそうなのかも知れません。みなさんはどうですか? さて、今号から『恋愛ラボ』が連載開始だそうですね。今は亡き『コミックエール』に掲載されていた、いりきみ塾でのリコをめぐる男子どもの恋の物語、だったっけ? ともあれ、そいつの続きが『スペシャル』にやってきた。というわけで、表紙にはほたえるリコとマキがしっかり描かれております。

たまのこしかけ』は、結婚を意識する年齢に差し掛かったお嬢さんがヒロインであるわけですから、当然いつか出てくるだろうと思われたお見合い回であります。しかし、よくありがちな、皆でお見合いを妨害しよう、なんて話にならないのが女には期限があるのよ、その期限とやらを意識している人たちがメインの漫画だからなんでしょうな。けどさ、そうやって期限だなんだといいながら、結局はスローテンポで、状況に対して踏み切らないのはなんだかなっていう風には思わないでもない。でも、そうやって動かないのが、たまこさんって人なんだろうなと思います。というか、そうだったからこそ、今があるんでしょう。

『スーパーメイドちるみさん』のお嬢さまは、徹頭徹尾、まともに役にたったことがないっていうのが徹底されていますね。今回は、お嬢さまメインの話であったわけですが、まったくもってまったく役にたたなくて、けど横着で面倒くさがりで、ちょっと傍若無人で、寂しがりやで、そんな彼女の表情がくるくるかわるところなんていうのがすごく魅力的で、むぅう、とかね、素晴しかったです。しかし、この漫画のメイン登場人物でありながら、今回は影さえも出てこなかった大樹様。彼は、紅林さんに好かれているっていだけでも、人生の勝利者だと思うのです。ただ、麗子さまはナースにはなりそうにないっていうのが、彼としては問題なのかと思われますが……。

『トンネルの華子さん』、松田円の読み切りです。派手な幽霊が、内気で地味なヒロインと交流する。出落ち系のシンプルな話ではあるのですが、面白かったです。なにがいいといっても、幽霊とか関係なしに、華子さんが華子さんとして、広く知られている、親しまれているってところかと思います。こういう、根にある明るさみたいなのがいいなと思うんですね。つうか最後の話は、青春の行き着いた先ってことですか。これって、連載狙ってるわけではないのかな? あるいは、華子さんだけ固定して、まわりを変えていくってことなのかな? そのあたりは、考えないことにします。

ふたご最前線』、いや、あのお母さんは可愛いよ。すべての子供がそうではないけれど、やっぱり子供は汚す、壊す、そうした印象があるから、それをのびのびと育てるってのは大変だろうなあと思ったりしました。でも、あの新聞紙に関しては、お母さんが失敗だと思う。一年坊主のすることなんて信じちゃいかんのよ。

夏乃ごーいんぐ!』、というか作者たかの宗美ですけど、コミックス50冊到達なんだそうですって。うわあ、すごいな。私は『オトコのいる部屋』が好きです。もちろん、夏乃さんも好きです。そうだ、ちっこくてカワイイからだ。

『ほのか! しっかりしなさい』、昔の友人を出して、少しずつほのか周辺の人間関係、登場人物を広げていっているみたいです。基本的にはほのかと園長先生の関係をメインに置くみたいですけど、広がる人間関係の中にも面白みが見出されることがあれば、それはとてもいいなと思ったりしました。

あいどく!』、思いもしなかった展開が待っていて驚き。でもこれって、なにか怪しいと思わせてきたかずやとの関係、その決算ってことなんでしょうか。どうもこれは興味深いといわざるを得ない、って感じです。

そして、特別企画『夏バテ解消レシピスペシャル』。野広美由と吉谷やしよ、そして安堂友子の三人が描いているんですが、安堂友子のって、レシピ関係ないじゃん! 夏野菜の豆知識を軸に、齢800歳の不老不死OLビクニさんのどうしようもなさを大っぴらにしましたって感じで、しかし面白かった、だからいいです。というか、ビクニさんってヒロインだったというのが驚きで、でいつも一緒にいるふたり、背景ズって酷い。でも、そういう適当感がすごくらしくてよかったです。って、レシピに反応してないじゃん。

やっぱり、うなぎとカレーは別に食べたいものだと思いました。

『蝴蝶酒店奇譚』。ちょっと謎めいた美青年、バンリの秘密が明らかに! っていうか、実は、ちょっとネタばれになるけどいいよね、実はバンリの好きなのはライなのではないか!? 最後にそれが明かされるんじゃないか!? なんて思ったけど、読み返したらそれはなかったわ。ちゃんと伏線はあって、そのほのめかしには気付いてたんですけど、バンリのキャラっぽくないし、と思って却下したのでした。というか、あれ? なんでオーナー、テレビに出てるの? って思ったりしたのは内緒です。

ところで、私はこのオーナーの毒婦っぷりが大好きです。それとバンリ、やっぱりなんだかちょっといいなあ。今後、ずっとこのキャラで出てくるのかな?

『卓上雑貨店あるにかや』、ゲストです。ネットショップのオーナーさんがヒロイン。地道に描かれるネットショップ繁盛記って感じで、悪くないと思います。この、地に足ついた感じはとてもいい、と思うけど、生活はどうやってるんだろう。バイト? だったら、やたらリアルだなあ。あんまりリアルすぎると、楽しめない部分も描かれたりするのかも知れないけれど、いっそリアルさを追求してみても、それはそれで面白いかも知れません。

『MISHIMAデパートメンズ館』の社長が結婚。うわあ、驚いた。婚約者は以前にも出てたけれど、突然なんの前触れもなしに、こんな展開。さすがに驚きました。でも、なんか社長がしあわせそうだからいいや。

『ごめんね、委員長!』。先日の『ラブリー』に続いてのゲスト。私はもはや結構なファンであるので、こうして読めて嬉しいです。どの雑誌が一番支持率が高いか、それを見極めようとしてる最中なのかな? 委員長は酷い目にあうポジションなんだろう、っていってたけど、そんなにでもなかったかな? っていうのが印象です。委員長ばかりにウェイトが置かれるわけではなく、そこそこいろんなキャラクターにも目がいくようになっているから、っていっても、新ぱん子と優里くらいか。でも、いずれこうした脇キャラクターも前に出てきたりするんだろうな。そうなる日が楽しみと思える漫画です。で、委員長は可愛い。いい漫画です。

恋愛ラボ』。ヤンが不器用すぎ。いや、あれで普通なのか? けど、倉橋のことが気になるからってイジワルせずに優しくしてやれ! ってそんな展開っぽいんですが、やったじゃん、リコさん。名実ともにモテモテじゃないですか。嘘から出たまこと、ではないけれど、実は結構(女子として)人気のあったリコの話だとしたら、いいなと思って読んでいます。でも、実際、リコみたいな女の子は魅力的だと思うのですよ。

『ハニーtheバンドガール』は、期待どおりヨウさん再登場で、実にいいキャラクター、いい感じです。しかし、このヨウさんとやらのいってることは、実に正しいと思う。とにかく好きで離れられない、それが真実、実際のところなのだろうなと思ったのです。迷ってる暇なんてないんだよって話なんだろうなと思えて、しかしこの漫画でこういう展開があるとは思いもしなかった。すごくいい感じだと思っています。

『さんサンと』。『かっぱのこっぱちゃん』の人ですね。姉弟もの。長姉が一番子供っぽい外見で、17歳の妹はなんだかちょっと大人っぽくて、そして地味な弟と。この三人の暮らし、なんだか悪くなかったと思います。この人の独特のあたたかみ。それがよいんだろうなと思います。

『瞬け!シャイン』、あの煙の殺虫剤の社長は、確かになんだかいいなと思います。偉ぶらない、トップがそんなだと仕事しやすそうな気がするんです。というか、その前のネタがワンマン社長だものな。どっちがいいかといったら、そりゃ廊下の社長ですけど、もしこれが同一人物だったりしたら、すごくいやだななんて思ったりなんかして……。

『ヒゲヒゲしっぽしっぽ』が最終回。あくまで普通に、いつもの感じで終わりました。でも、この普通って感じがいいです。この漫画は、なんかがっかり、ってことを、そのままがっかりって感じで描く、そうした作風が結構好きだったのでした。そして『カンヅメコーポのチリー』も終わって、これは実はあるていどは覚悟してました。きっぱりと決着のつく、なんの決着かわかりませんが、そんなラストかと思ってたら、わりに甘い、これまでと同じ日々が続きますってラストになって、これはちょっと意外でした。変わるべきところは変わりました、けどその違っていく日常の中、チリーと一緒に暮らしていきます、みたいなのでもよかったと思うんだけどな。なんて思ったりしたのでした。しかし、結構好きな漫画だったから、こうして終わっちゃうのは残念です。そういえば、両方ともに猫漫画でした。

  • 『まんがタイムスペシャル』第18巻第10号(2009年10月号)

引用

  • 荻野眞弓「たまのこしかけ」,『まんがタイムスペシャル』第18巻第10号(2009年10月号),5頁。
  • 師走冬子「スーパーメイドちるみさん」,同前,12頁。
  • たかの宗美「夏乃ごーいんぐ!」,同前,48頁。
  • 宮原るり「恋愛ラボ」,同前,134頁。

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