2013年2月6日水曜日

スイーツどんぶり

 もう、これ、めちゃくちゃ面白い。『スイーツどんぶり』、『まんがタイムきららMAX』に連載されている料理漫画なんですが、天才的な腕を持つ調理部部長酒井暁美の大活躍。いや、でも、はじまった当初には、まさかあんなことになるだなんて、予想だにしていませんでした。だって最初の頃は、学内での活動にとどまっていて、おいしい料理を作れるようになって好きな男子のハートをゲットだ、意外と乙女な番長ジャッカル、柿崎志保子が健気に料理修行みたいな話だったのに、いや、それでもなんかおかしかったよな……。

ジャッカル柿崎の恋にはじまり失恋に終わる導入部、ここでは強烈に料理力の高い酒井と、猛烈に低い柿崎、その対比がおかしくて、けれど一番いかしてたのは栗原静香、彼女だったかも知れません。お家がお金持ち。普段いいもの食べてるから舌には自信あり。と、ここまではいいんですが、いろいろ問題ある模様。いやもう、女同士のよさとかなんとかいってるんですね。派手な酒井、柿崎の間で、それ以上に異彩を放っている静香。ポイントポイントで面白みを提供し、辛辣であったり、欲望に正直だったり、ほんといいキャラだと思います。

と、強烈なのはこの先ですよ。老師、いや調理部の顧問なんですが、鯉川先生登場からの面白さったらなかったです。見た目に老師といった風貌のお爺ちゃん先生。けど結構な見掛け倒しで、ジャッカルの料理に怖れをなしたり、メイン三人のハイテンションについていけなかったり、そしていいとこどりしてみたりですよ。もうほんと、出てくるキャラが皆が皆、面白く、個性的、で、おかしさとともに普通の感性が垣間見えたり、そうした落差、そしてネタ展開に見られる切り返しの妙。豚原への前菜とかね、前と後ろ、同パターンで逆の見せ方してますけど、ツッコミなのか? ぱっぱと見せ方切り替えて、ツッコミの入るタイミング、あるいは有り体の感想、ハイテンションの中に滑り込む常識的態度が実にいいコントラスト作り出している。おかしくておかしくて、笑わないではおられない。その味わい、当初からあったものですが、豚原登場後、すなわちLIFEとの抗争が描かれるようになってからより顕著で、笹田の顛末とか、とにかく大仰な笹田に、いったいなにごとかとうろたえるテレビ局スタッフ、その対比が素晴しい。“吸血鬼” 如月源五郎の展開ももうしびれまくりで、いやほんと、LIFE編、キレてますよ、いけてますよ、ガンガンいってくださいよ。もう最高です。

しかし思えば、『スイーツどんぶり』は『幸腹グラフィティ』と同日発売。これはすなわち、対照的な料理漫画、まさに激突! そうした構図を意図しての粋なはからいであったのでしょうなあ。いや、ごめん、なんかそういうことにしたら面白そうだから、いってみただけです。

  • FBC『スイーツどんぶり』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2013年。
  • 以下続刊

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