2009年7月28日火曜日

『まんがタイムオリジナル』2009年9月号

ちょっとショックなことがありました。『まんがタイムオリジナル』2009年9月号、発売は昨日。今、『オリジナル』は私にとってかなり面白い雑誌なので、当然楽しみに買って、楽しみに読むわけです。そうしたら、そうしたら! ああ、こんなことがあるだなんて! もう、ショックで、ショックで、寝込んでしまいそうです。

ラディカル・ホスピタル』は、内科と外科の婦長が前面に出て、そして外科で研修をうけた人、内科で実績を残した人、それぞれがそれぞれに信頼を得ている。その描写はそれぞれに違っていて、そして信頼への応えかたも違っていて、けれどそのどちらもなんか素敵だなあと思える。そうしたところがとてもよかったです。マッキーの旅の途中…ですなんて、あんまりにもできすぎた、そう思える台詞なんだけれど、しかしそうした台詞がしっくりとくる。その描写、そのシーンは、本当に素敵でした。

『明日もひまわり荘!』、ゲスト2回目です。無茶で奔放な大家と、よく働く娘さん。そこにちょっと変わった住人がいると案内されて、けれどそれは次回に持ち越し。面白さはまだ完全には開かれていない、みたいです。

ただいま勉強中』、葉菜子の奔放さは魅力だと思います。天真爛漫といったところか。辻灯子の漫画の登場人物は、皆それぞれに奔放で、けれど少しずつその奔放さの質が違っている。葉菜子は天真爛漫、飛鳥は傍若無人といった印象です。その点、由良は奔放といえるほどには自由ではない。なんだけれど、マイペースで、やっぱり奔放みたいだ。彼女は面白い位置にあると思います。

自然に対する由良、飛鳥の態度と、自然を知らない葉菜子の態度、その違いは面白かったです。あの、雷のくだりとかね。そして、思い出。雨を避けて木陰にはいった、子供時分の由良と飛鳥。その頃からの関係が今に繋がっているのね。なんだかよいなあ。そんな気分です。

『おかまん研』、困った、面白くなってきた。3号連続ゲストの3回目にして、内容はうまく整理されてわかりやすく、そして面白みも素直に伝わるようになってきたと感じられます。ばたばたとした感じは残しながらも、全体に落ち着いた感じを出してきて、そして三人娘の関係。おしゃべりがうまくかみあって、いいね、面白いと思いました。これは続けばもっと面白くなるかも知れない、そんな風に思うから、続いて欲しいな、そう思います。

『ささきまみれ』の、〔テーマ〕裏の顔って、ほんと、よくこんなの思いつく。しかも、これ、カットモデルといいながらカットしてないじゃんって、もう本当におかしくて、この発想、意外な感じが最高です。そして時給が450円。最低賃金下回ってるじゃん! ってのはいいとして、ええ、やっぱりこれはいちばん大事なことだと思います。

『花咲だより』、ここにも傍若無人なお姉さんがいて、そして迷惑を被る担当のお嬢さんがいて、けどあのポジションはおいしい。ほんと、割食わされてばかりって感じで不憫だけど、ただ不憫といって片付けるにはおしい、そんな味のあるキャラクターだと思います。雨宮先生にしてもそうだけど、振り回される人、損な役回り、そうした人こそ輝いている漫画だと思うのですね。でも、お姉ちゃんは、あんまり損はしてない感じだけど、一番輝いてるっぽい。いや、素敵なお姉さんです。輝いてあたりまえでありますね。

『今日から寺バイト』は、気が弱いのかなんなのか、えらく真面目な旦那がちょっと可愛いです。でもやっぱり、その妻が可愛くって、ひどいところもある感じのお嬢さんだけど、けどそうした険のあるところにちょっとのぞく自然な感じが魅力的です。

『アトリエZOOへようこそ!』、ゲストです。漫画家の話で、ネコ、飛脚、鳥の連続とか、ちょっと面白かった。でも一番面白かったのは、一番最後のみちッからの流れかと。なんとか間に合いました、かと思いきや、わお、落ちるんだ。その素気なさ。あまりにスムーズに転げ落ちていくという感じが、すごくよかったのでした。

『恋は地獄車』、弱った、めちゃくちゃ面白い。封印の彼とか、あんまりに狙いすぎだとは思うのだけど、それでも面白いし、しかしそれよりも後藤さん。通常時から戦闘時へのモードチェンジ、しかもそれを素でつっこんじゃうんだ。ええ、私も反省しました。私はきっと後藤さんタイプです。そして、ラスト、ヒモ男からのどうしようもないプレゼント。ああしたどうしようもない、それこそ思い付きみたいなことでも、嬉しくなってしまうことってあるよなあ、なんかあの駄目な姉の気持ちがわかるような気がして、非常にまずい。ええ、なんだか共感性が高くなってきてるみたいです。

『おたママ』、今月、すごく面白かったと思ったんだ。最初の、荷物の重さを楽しい妄想で紛らわすつもりが失敗みたいな話とか、平和に対するお母さんの見解とか、すごくよくわかる気がする。いや、ほんと、今月はいい感じじゃないか、そう思って読んでたんですよ。そうしたら、今回で最終回って! え、ええーっ!? うそー。えうう、なんてこった。世間の風は冷たいよ!

というわけで、これから寝込みます。

というわけにもいかないので、『恋するマロン』、強烈な印象は残さない、ヒロインのお姉さんがそうであるように、のんびりと穏やかな、とにかく優しい印象が強い、そんな漫画ですが、こういう漫画もいいもんだと思うんです。『超訳星の王女さま』は、貧乏な姉妹の話。なんだか借金抱えてのふたり暮らしであるようなのですが、生活を心配しつつも明るい姉と、とにかくしたたかな妹の暮らし。ちょっと健気なふたりの姿、こういうのに私は弱いんですね。だから、ちょっとほだされかかってましてよ。いやほんと、大人びた、そんな紹介をうける妹の、けれど現実を前にしては、ささやかに想像の中で対抗することくらいしかできないっていう、その様子が健気で健気でいたいけで、ああ、なんてことだろう。ということで、かなりほだされかかっています。

  • 『まんがタイムオリジナル』第28巻第9号(2009年9月号)

引用

  • ひらのあゆ「ラディカル・ホスピタル」,『まんがタイムオリジナル』第28巻第9号(2009年9月号),7頁。
  • 小坂俊史「ささきまみれ」,同前,82頁。
  • よしむらなつき「アトリエZOOへようこそ!」,同前,108頁。

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