2006年6月20日火曜日

この愛を未来へ

妊娠している人が、胎教にいい音楽を見繕ってよこせというのです。といわれてもなあ。胎教なんていうけど、結局は母親がその音楽についてどう感じるかが大切なわけだから、そんなに簡単単純なもんじゃないんです。本人が好きなもの、趣味指向、好みによって全然変わってくるわけで、じゃあそこでなにを選んだものかと考えれば考えるほど、無難な線に落ち着こう落ち着こうとするのが人情というもの。ほら最近モーツァルトがむやみに流行っていますが、そういう定番どころでお茶を濁そうだなんて考えも浮かんでこようというものです。

でも、同じモーツァルトでも、ちょっと一ひねりしたいよね。と、そういう向きには『この愛を未来へ』がうってつけであると思われます。

岩崎宏美が益田宏美だったころ、あるいはまだバブルの残照が残っていたころ、日本テレビ系で『ママは小学4年生』というアニメが放送されていて、このエンディングテーマが『この愛を未来へ』でありました。モーツァルトのピアノソナタ K. 545を(ほぼ)そのまま伴奏として採用し、そこへとうとうと流れる益田の歌声はあたたかで叙情的で、そしてまたドラマティックで、私の好きで好きでしかたがない歌のひとつです。だから、胎教だなんていったとき、最初に思い浮かばれるべきはこの歌で、きっと間違いなく私はこの歌を選曲の重要なポジションに配置することでしょう。この歌こそが核になるのです。

音楽として清浄で美しく、そして歌として親が子に向ける愛のひとつのかたちを真摯に写し取ろうとする思いに溢れるようで、内容実質としても母になる人が聴くにはふさわしいと感じます。

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