2005年10月20日木曜日

Filippa Giordano

 フィリッパ・ジョルダーノ。はやりましたね。最初はクラシック好きあたりにアピールしたのでしょうか。オペラのアリアやなんかをですね大胆にアレンジして、ずいぶんとポップな感じにしてしまって、賛否両論だったかどうかは知りません。なにしろ私ははやりには疎くて、というか、はやっているときには目を向けず、一般向けの新聞雑誌みたいなので騒がれていれば、もう知らぬ存ぜぬを決め込む始末。けどまあ、一応私も人の子、一枚だけアルバムを持っているのですね。

いや、ほら、はやりだからとかいうのじゃなくて、ワゴンセールで安くなってたから。こういうところが私らしいというか、私がこういうのに手を出すのは結局はやりが過ぎてから。いつもだいたいそんなものです。

で、しかも私は悪いことに、買うだけ買って聴かないんですよ。数年寝かせて、実際iTunesに読み込み大作戦をおこなっていなければ、きっと今もまだ眠っていたことでしょう。はやりが過ぎたどころではないですね。私はもう、買ったことすら忘れていました。

さて、そんないい加減な聴き手である私はフィリッパ・ジョルダーノをどのように聴いたかといいますと、割りと悪くないじゃんというか、結構こういう毛色違いは楽しいものだと思います。私は普段音楽をiTunesのパーティシャッフルでもって聴いているのですが、クラシックの中に入っても、ポップスやロックに紛れ込んでも、それなりになじんで、それなりに異質という独特のポジションにつけていることが理解されます。

クラシックスタイルからすれば、あまりにもかけ離れたアレンジが異彩を放って、かといってポップスから見れば、その重厚な歌唱は一種特別な雰囲気を醸しだします。このどちらでもありどちらでもないという、そういう境界線上に位置するバランスが受けたんじゃないかと思います。ごりごりのカテゴライズ主義者には受けが悪いかもは知れませんが、そうではなく、あいまいに推移するグラデーションの上に生活している我々には、こうした多様式の混交はむしろ歓迎であって、非常によくできたフュージョン感が面白みを出しています。

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