2015年7月26日日曜日

『まんがタイムきららフォワード』2015年9月号

『まんがタイムきららフォワード』2015年9月号、一昨日の続きです。

『あんハピ♪』、今回は2本立てでした。本編とサブストーリーといったらよいのでしょうか、本編の側ではヒバリの恋が語られて、って、そうだった、あの看板に恋してたんだよ、この人。と、再確認したところで、前回よりの続き、将来なにになりたいか、その夢を聞くというやつね。ヒバリがなにか深刻そうで、これはなにかあるのかな? そう思ったところで、文化祭にて演劇をします。即興劇です。そこで皆の夢を叶えてみましょう。ぐいぐい話を動かしていきます。そして金髪碧眼の女の子。狭山椿。この人、ヒバリのこと見てましたよね。というところで次回に続くのですが、ここでサブストーリー、レンと響の話がくるんですね。昔話ですよ。ふたりの出会った頃のこと。内気な響が華やかなレンに話しかけられなくて、今とは随分違うんだなあ。今となっては、窓から大声で呼び掛けたりなんかしちゃうわけでしょう? 学校へいく。道がわからない。このままじゃ進級が危ない! レンが頼りなんだ! とまあ、そんな話です。幼稚園の頃のね、響がすごく内気で、人の目とか気にしてて、対してマイペースで堂々としているレン。その決定的に仲良くなる、その場面がですね、もう、ぐっときましたね。髪がひっかかってしまった。外すのは難しい。少し切らないことには、となって、嫌がる響、その理由を聞きましてね、レンがその長い髪、自分の髪をざっくりと切ってしまう。風に舞う髪、そのシーンの美しさがあって、そして響の心にしっかりとその跡を残して、ああ、いい話だった。もうね、ちょっとした話なのですよ。けど、それが、じーんと響いたんですよ。ほんと、ですよ。

夢喰いメリー』、イチマちゃん、ついに君の正念場だ。みなとについているイチマだけれど、その内面には不安が渦巻いていて、みなとは気さくにイチマに話しかける、友達になろうとしてくれているのだけど、イチマは自分がこの子にしたことを覚えている。それをみなとが思い出すと、友達になんてなれない、きっと嫌われるだろう、拒否されるだろうと怖れている。そんなイチマが、みなとに手をのばすんですね。縫い合わされた袖をといて、みなとの差し出してくれた手をとろうとした、ところがその光景がみなとの記憶を呼び覚ましてしまったんですね。怯えるみなと、困惑しつつも状況を受け入れて絶望にくれるイチマ。ああ、イチマ、この子がヒロインだと思う。なんという切ない状況であるか。続けて、ノータイムでつっこまれてくる、以前みなとたちを襲った夢魔。攫われてしまったみなとたちを助けようと駆け出すイチマ、その胸中に吹いたろう嵐に、もう読んでいる私の思いも千々に乱れる、そんな思いでありましたよ。丁寧に、イチマの表情の変化に、その内に鬱屈させた感情を浮かびあがらせてきて、最後の最後にあの健気な疾走でしょう。これまで自分で自分を縛っていた、そのくびきが解かれて、今、イチマの内にある感情の発火、思いの速さ、強さはどれほどのものか。駆け出したイチマの、あの決して力強いとは見えない様子、けれど彼女はただでは終わらせないだろう、ただではすませないだろう。そういう予想が、あるいは信頼があるから、もうたまらんものがありますね。ああ、イチマちゃん、ヒロインだわ。イチマちゃん、君は最高だ。

『ルイは友を呼ぶ』、見事に雨降って地固まるの展開。ネルとルイの口論、ルイの言葉、ズルをしているという指摘に、虚を突かれたのか、あるいは痛いところを突かれたのか、気色ばんで反論するネルですよ。酷いことをいう、手をあげそうになる、それを見事にミアが仲裁する。仲裁? 取り乱していては話し合いにもならないと、ネルのこと眠らせてしまったんですね。だーっと感情を高ぶらせて、それを鎮火させる。その上で、冷静な当事者からふたりの関係を説明させる。そこには対立というようなものはなく、むしろネルに対する憧れのようなものがあって、それを聞いたネルですよ、涙なんて流しちゃってね、自分の劣等感、自分の怖れについて、素直に話してくれた。これまで、自分より下だと思ってきた人たちと同じ高さに立つことができたんですね。素直に向き合って、気を張ることもなく、自然体でいられるようになったんですね。ええ、ルイ、ネル、そしてミア。皆が、本当の友達になったんだってこと、しっかりと伝えて、ネルの心の不安も解消されて、ええ、これからが彼女の本当が見えてきそう、そんな風に思われて、そしてそれがなんとも頼もしいんですね。ほんと、これは目が離せない感じ。それくらい、ネルの表情、活き活きとして素敵だったんですね。

『そこテストにでます!』、状況に、女の子たちの心境に、変化が訪れてきている、そんな感じでありますね。もみじはすっかり穏やかになって、その自然体、優しげなる様、ああ、素敵ではないですか。数馬はやりにくいなんて思ってるわけですが、まあ、これまでとは違った態度、戸惑うのはしかたないとも思いますよね。塾が終わってから、もみじ、いろはをともなって、茜の家にいくことになるんですね。数馬、茜になにをいおうとしているか、事前にもみじ、いろはに聞き取りされて、全然わかってないとダメ出しされる。ああ、もみじさん、内心がちょっと漏れ出しそうになっちゃってますよ? さらにそこで聞かされる、かえでと帰宅した話。もみじに走る衝撃! いろはの素直な物言いに、しかしもっとも動揺しているのはもみじで、あの表情。すごいな、この子、こんななるんだ! いやもう、もみじ、いいですよ。ほんと、すごく面白い、といったら申し訳ないけど、多様な表情、心の動き見せてくれて、こんなにも魅力的。ああ、ほんと、すごくいいですよ。そしてさらにもうひとつ波乱が放り込まれそう? そこまでいかない? 次号、大いに期待されますね。

『病めるときも健やかなるときも』、最終話でした。おおう、びっくりしましたよ。人形である柘榴が動けることを知ったいばら。けれど驚いている様子もなく、むしろより仲良く暮らしている、そんな風であるんだけど、おおう、これ、ほんとにそんな終わりかたするのか。詩李に姫沙羅が語るんですね。いばらというのがどういう子かを。いばらは本当は人形が嫌い。そんないばらの本性が、姫沙羅の語るいばらの本質とともに明らかにされていって、うわー、これって、そういう話なのか。そういうことだったのか。うわー。こうしたことを前提に読み返したら、また全然違った感想が出てくるのかも知れない。本当、なかなかにひやりとされられる最終話でありました。

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