2010年2月22日月曜日

『まんがタイムスペシャル』2010年4月号

『まんがタイムスペシャル』2010年4月号が発売されました。4月、もう春の装いであります。桜餅を手にしたちるみさんに、お花見? お重にもたれかかった別所センパイと、そしてこれは桜の精なのか? なんかピンク色の花のドレス着たマキ、リコが桜餅食べてる。そうかあ、桜餅かあ。実をいいますと、私、桜餅自体は嫌いじゃないんですが、あの葉っぱがちょっと苦手でして、どうしてもよけてしまうんですね。

さて、今回は新連載がふたつ、終わったのがふたつ? 新連載ひとつ目は、松田円の『トンネルの華子さん』。2009年10月号にゲスト掲載されたものが連載となって帰ってきたのですね。小さなトンネルに出る幽霊らしくない幽霊、華子さんがヒロインであります。永遠の24歳。どうも、かなりの昔に死んだ人みたいなんですが、もう死んでいるだなんて思わせないほどに生き生きとした姿が魅力的。自信過剰でほがらかで、大抵幽霊といったら陰気だったりしめやかだったりするものですが、真っ向から違ってる。そのギャップ、ナンセンスさはいい感じ。また、華子さんの明るさもよいんですね。

もうひとつの新連載は、カラスヤサトシ『強風記』。最初、またなにかナンセンスなエッセイもの描くのかと思ったものだから、これは意外。この人、創作ものも描くんだ。そんな感想に、自分がこの人に対して持っていた偏見突き付けられる思いがしまして、自身驚いています。しかしこの意外性のためなのか、結構この連載悪くなさそうです。売れない文士の漫画。テイストはいつものカラスヤサトシ風味、けれどそこについぞこの人に感じたことのなかったロマンのようなもの感じて、これは興味深い。面白そう。後輩に追い越されてしまった主人公の焦り、見栄、ぎりぎりで保たれるプライドが描かれて、もうまったく負けっぱなしというこの男の恋心がほのかに見えた。そのラストにおけるモノローグ、これはいい。好いた惚れたという言葉以上に、心の奥に屈折してゆらゆらと動く気持ちの模様が描き出されていて、これはいい。やけっぱちな、けれど純情な、そんな恋愛ものになるんでしょうか。これ、本当に楽しみな連載になりそうです。

『えんれんCafe』、最終回でした。結婚はいいもの、やっとこさ辿り着きました。かと思ったらそうではなくて、結婚のデメリットや不安みたいなのが表立ってくるというのは面白い。そんなものかも知れませんね。不安を乗り越えての結婚式、クライマックスで終了するというのは漫画の終わりかたとしては当然なんだと思うのですけど、この後に不安的中とかないのか? なんて思ったりするのは私の性格の悪さですね。素直に読めば、これまでの遠距離恋愛で揺らぐことのなかったふたりの気持ちあればこそ、きっと仕合わせでいらっしゃることだろう。そういう感想に落ち着くのでしょうね。

『蝴蝶酒店奇譚』、最終回です。この漫画、好きでした。なんか飄々とした味があって、けれど結構真面目なテーマがあるんですよね。飄々とした雰囲気は、ヒロインでいいのかな? プイプイによるものでしょう。見た目子供、けれど何年生きてるんだかわからない。妖怪みたいなお嬢さんですけど、達観している。なんといいますか、こういうキャラクター、好きなんですよ。だからなおさらこの漫画にひかれていたのだと思います。最終回はライが出てこなかったですけど、そのぶんオーナー、プイプイが前面に出て、ちょっと猥雑で不思議な都市、歌賦都市の魅力というものをよく伝えていたと思います。思えば、キャラクターに加え、この都市の表情も魅力的でした。香港思わせるアジアの都市。活気があって、ちょっと危険そうでもあって、そうした都会に人生を送る人たちの物語。なにか、異郷に郷愁感じさせるような、そんなよさがあったのでした。

これ、まとめて読めるのなら読んでみたい。折に読み返してみたくなる、そんな物語であります。

目次ページの四コマ、『おてんき小春ちゃん』。ちょっとNHKの春ちゃんを彷彿とさせて、けれど全然イメージは違いますよね。魔法使うの? なんともいえないインパクト、展開でしたけど、なんか四コマ目、落ちで主人公が満足してるの見て、ああこういうのもいいねと納得してしまいました。

『キミ待ち!』、なんか魅力的なキャラクター出てきた! ちょっとわがまま? ちょっと強気? けど、なんだか根は素直そうな女の子、詩。めちゃくちゃ可愛いじゃん! というわけで、蕎麦屋サイド、そして職場組、レギュラーでしょうね、出揃いまして、そしてそれぞれの気持ちの向いている先、そのいりまじる様、面白いです。たくさんの人が出てきて、ごちゃごちゃしないのは流石。これ、期待しよう。

『笑って!外村さん』、あいかわらず面白い。落ちに向かうまでのパターンはこんなにも典型的なのに、笑わないではおられない。これで目を覚ませ。「ジョーク」における何でだ!?。あおりにはふびん萌えなんて書かれてるけど、ふびん、勘違いのかげに、外村さんの素直な前向きさが垣間見える、それがいいのだろうなって思うんです。この感覚とは萌えとはちょっと違うような気がするけど、でもがんばれって思ってしまうのは本当ですね。

『ココロ君色サクラ色』、面白かった。漫画家やってる父親の資料写真に翻弄される少年少女。あの、魔法かけちゃうぞ☆っての、めちゃくちゃ可愛いな! そして、キスシーン。翻弄されっぱなし。けどさ、好きな女の子前にして、あのシチュエーシュン。そりゃその気になってもしゃあないよなあ。でもって杏ねえちゃん、彼女もまた最高で、翻弄されっぱなしの葉介可愛すぎ! でも、この父親、可愛い娘が誰かとキスするとか平気なのか、飛んでるな、なんて思ってたら、決してそういうわけでもなかったというのが明かされて、そういう気持ち、複雑なパパごころよのう。結局、この親父さんも可愛いのでありました。

『放課後エア部』、ゲストです。相変らず、自由というか、なんでもない日常を、ただ思いつくままに楽しもうとする女の子三人。残念ながら私は女子高生というのがよくわからないけど、彼女らの行動見てたら、昔、学生のころ、あんなだったなあって思い出して、ちょっと懐かしい。なんでもないこと。けれど、そのなんでもないことの中に楽しみはあふれている。忘れたくない感覚です。いつまでも瑞々しく、わいわいと他愛もなく楽しんで、日々を、その時々を送る。この気持ち、やっぱり大切だよなあって思う、そんな漫画です。

『ミニパトっ!』、親不知話です。おお、私も抜いたよ。昨年末に抜いたところですよ。けど、あんないいことなかった……。親不知は本当に人それぞれ違うっていいますけど、私の場合はいったその日に抜いて、抗生物質は出たけれど、痛み止めとかなし。だいたいそもそも最初から痛みもなければ腫れたりもしてなかったからなあ。そんなわけで、似た状況を経験したというのに、全然共感にいたらないっていうね。残念だわ!

  • 『まんがタイムスペシャル』第19巻第4号(2010年4月号)

引用

  • 水森みなも「笑って!外村さん」,『まんがタイムスペシャル』第19巻第4号(2010年4月号)100頁。
  • 桑原草太「ココロ君色サクラ色」,同前,120頁。

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