

『ひろなex.』が、イノセンスの影に仕掛けられた色気に惑う漫画だとすれば、『かみさまのいうとおり!』は怒濤の下ネタ連呼が独特の推進力をもたらす、そんな漫画でありまして、なんだかびっくりです。最初の頃は、それこそ素朴なネタ、誰もが思いつきそうな駄洒落レベルのネタがアクセント程度にさしはさまれる程度だったのに、今となればものすごい深化を遂げて、テクニカルだは、密度は濃いは。一読程度では、気付かないことさえあるくらいです。ああ、まりあがね、鼻血出してるコマを見て気付くんですよ。あ、いま、下ネタがあったんだ! って。ほんと、あれだけのものを考えつく作者の発想力には恐れ入ります。
しかし、作者も後書きにいう、シモネタ漫画になるとも思ってなかったよね — …
。まあ、実際そうなんでしょうね。始まった当初は、宗教ネタの方が多かったのが、だんだん下ネタにシフトしていって、今や下ネタのない『かみさまのいうとおり!』なんて考えられない、と思うくらいに、下ネタは重要な要素となっています。この漫画の面白さには、まりあの空耳、聞き違いから鼻血のコンボが欠かせないのかも。とはいうんですが、下ネタといっても、それが下品にならないのはたいしたものだと思います。まあ、品がいいとはさすがにいえないでしょうけど、でもただエロネタ連呼するだけの展開は避けられて、あくまでも通常の会話中に現れる言葉、まあたまに苦しかったり、無理矢理っぽかったり、あからさまだったり、山伏がわざといってたりするんですが、でも基本はそうじゃない。エロを感じさせない、普通の台詞回しに、まりあの鼻血へのキーをしこむ。そのクオリティは上がる一方で、いやあ、あれは本当にすごい。ほら、ええと、5巻には収録されてないから6巻か。よくあんなの思いつくなあ。やっぱり恐れ入るのであります。
でも、エロばかりじゃない、下ネタばかりじゃない。そうしたのりから離れたところで笑わせられる、そんなネタも当然あって、やっぱりこの人はうまいよなあ、そう思います。期待させて外す、思わせぶりにふって外す、その振り方がうまいんだろう、そんな風に思っていて、例えばまりあの母の真実とか、信用されている神父さんとか、あれは笑わずにはおられんかったです。女の子四人がわいわいやっている、いや、今は七人か、三人は基本別行動だけど、その華やかなる様も魅力だけど、ただ可愛いだけじゃない、華やかなだけじゃない、そこにはやっぱり、笑いや面白さの追求があって、多様な要素がうまくバランスをとっていると感じられます。やっぱりこれはうまいっていうことかな。あるいは、よほどの練り上げ — 、試行錯誤や検討があるんだろうなあ。表にそれと感じさせることはないのですけれども。
そしてうまいのは、感情の流れを作るところ、です。それと気付かないうちに、ひとつの流れが作られている。それと気付かないうちに、少しずつ膨らまされている。それが、最後にそっと手渡されるような感触があって、壊れないように、そっと、けれど、しっかりと手渡される。ああ、いい話じゃないか、そう思わせてくれることがままあって、やっぱりこれもうまいのだろうと思います。ハワイ編の中盤なんか、よかったもの。それはもしかしたらできすぎなのかも知れないけれど、けれどそのよくできた話に乗ろうと思えるのは、そこにあざとさや作為なんかではない、感情の受け渡しがあるからだと思います。こんなだったらいいという、そういう気持ちがあるからだと思って、だから私は、その時々、その流れに身を委ねようとするのだと思います。
湖西晶は確かにうまい漫画家だとは思います。見せる場面は、うまく見せますしね。けど、ただうまいだけの人じゃないと思っています。うまさがあって、うまさをまとめるうまさがあって、そしてうまさによらないストレートな気持ちの発露がある。これらがこの人の漫画を決定づけるものであると思っています。
- 湖西晶『かみさまのいうとおり!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2004年。
- 湖西晶『かみさまのいうとおり!』第2巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2005年。
- 湖西晶『かみさまのいうとおり!』第3巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2006年。
- 湖西晶『かみさまのいうとおり!』第4巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2007年。
- 湖西晶『かみさまのいうとおり!』第5巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
- 以下続刊
- 神代いづみ『かみさまのいうとおり! — おやすみの日のすごしかた』湖西晶原作 (芳文社KR文庫) 東京:芳文社,2007年。
引用
- 湖西晶『かみさまのいうとおり!』第5巻 (東京:芳文社,2008年),118頁。

『
ある日、届けられた大荷物を開けると、出てきたのはキャサリンと名乗る金髪美女。しかしその実体は、
『ダブルナイト』が始まった時は、女装美少年か、ふーん、割と冷静に読んでいて、けれど最初はあんまりぱっとしない感じであると思っていました。髪の長い女子校出の女の子、きっぱりと凛々しいしゃべり口がいいななんて思ったりはしたのですが、その割には没個性的に感じます。でもそういいながらも、第一回をきっちりと、その話の流れから、また印象にいたるまで覚えていたというのですから、無個性であるとか無味乾燥であるとか、そういう風にいうことはできません。あまり尖った自己主張はないけれど、しっかりと記憶には残る、そういうタイプの漫画であるのかも知れない、そんな風に思っていて、だから印象としては不思議。不思議と引きつけるものがあるみたいです。

本日は、Littlewitchの新作、『ピリオド sweet drops』の発売日だったので、ちょっぽくさ電器店に寄って受け出してきました。でも、当分プレイすることはないんだろうな……。っていうのは、前作、というか本編である『ピリオド』をまだ開封さえしていないからなんですが、ええと、これも発売日に買ったんですね、公式通販で。でも、いいんです。自分の習性を考えると、これらはおそらく正月休みくらいに消化されるはずで、ええと、まず『


最初は『
つ、ついに買った。山川出版社の『詳説世界史研究』。もちろん日本史も一緒にさ! いやね、
ここ数日、




今日、
この数日は

今や巷では
9月12日はクイズの日! いや、実際の話、クイズの日は1月9日らしいんですが、つまり9月12日をクイズの日といってるのは、『
この本を知ったのはいったいいつごろだったっけか。それはおそらく一昨年の初頭あたり。その頃私は某MMOに参加していて、科学、SF方面に強いクラスメイトにいろいろ話を伺うのを楽しみにしていました。ネビル・シュートの『渚にて』、この本が話題に上ったのは、その人にお勧めのSFはありませんかと聞いた時のこと。その時の推薦本はきっとどこかにまとめているはずなんだけど、見付けられない。あるいはまとめていなかったのかなあ。ともあれ、『渚にて』はご存じですか、聞いたのは私からでした。核戦争後の地球、直接の被害をまぬがれたオーストラリアにて、人類は緩慢な滅亡を待つばかりとなった。こうしたプロットを聞かされて興味を持っていたのですね。答えはシンプルでした。名作とのこと。そうか、じゃあいつか読もうと思ったのでした。
地上三十階書店の新刊コーナー、平積みされたコミックスの中に『T・Pぼん』を見付けて、うわあ懐かしいなあと、思わず手に取ってしまったのでした。『T・Pぼん』は、ひょんなことからタイムパトロール隊員になった、なにをやっても平凡な少年、並平凡が主人公の漫画です。私は、まだ小学生だった頃でしょうか、これを『藤子不二雄ランド』というシリーズで知り、立ち読みにて親しんで、いやね、貧乏で買えなかったんですよ。だから立ち読み。コミックスにシュリンクなどの立ち読み防止がされていない、今から思えばのどかな時代でした。そんな時代の漫画。歴史に関わる人物の危機を救い、歴史の改変を最小限にとどめる使命を帯びたタイムパトロールの活躍が、ロマンとともに押し寄せてくる。ああこれこそは藤子不二雄の醍醐味であると、今手にしてもわくわくとさせる躍動に満ちています。
四コマ漫画の買い出しに地上三十階書店にいった時のこと。目当ての本をピックアップして、それからなにか買いもらしはないかなとフロアを一周、一緒に面白そうな漫画も探しているのですね。そして、気になったのがこの漫画でした。タイトルは『アンニョン!』。韓国語? 韓国語ですね。もしかしたら韓国の漫画が日本語に訳されたものなのかなと思ったら、レーベルはアクションコミックス、Highの文字が『コミックハイ』に連載されていることを主張しています。表紙には制服のかわいい娘。しかし、それは強い印象を与えるというより、あんまりに素直すぎるという雰囲気の方が支配的で、だから私は最初は流そうかと思ったのでした。でも、そうはならなかった。帯の惹句が私を引き止めたのですね。
いったい、なにがそれほどに私の心を捉えたのか。
私にとって、山田まりおという作家は『

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